第17話 初の鼻からチューブ挿入

第17話 初の鼻からチューブ挿入

病室に戻ってきて着替えが終わったか

終わらないかくらいに看護師さんがきた。

点滴をすぐに開始しなければ、時間的余裕

が無いようだ。

例のED療法は、12時間かけてやるとの

ことで、朝8時30分に外出するボクは

6時には終わっていたい。

逆算すると18時スタート→次の日6時終了

がベストだ。

エレンタールの粉末を、ぬるま湯で溶いて

それを鼻から挿入したチューブを通して

直接、十二指腸に滴下していく。

(十二指腸まではチューブが入って

いないかもしれないのだが…)

エレンタールは、浸透圧の関係で下痢が

しやすいとのことだったので、それを防ぐ

ために、最初はゆっくり滴下して慣らして

いき、日を追うごとに滴下スピードを

速めていく計画だ。

一日の必要摂取カロリー1,800kcalが

摂取できるようになれば退院となる。

一日目は600kcalを1時間50mlで滴下だ。

これがスタートの数字。

そうすると、一週間後には1,800kcalの

摂取ができてないといけないんだから…

と頭の中で計算を始める。

1kcalに対し1mlの水かぬるま湯で溶く

計算だから、600kcalで600mlの水か

ぬるま湯。

1,800kcalだと1,800kcalの水かぬるま湯

で溶く計算だ。

まずは600kcal。

ED療法なんてまったくやったことが

無いし、しかも鼻チュー(鼻からチューブ)

をする。

ボクは嫌な検査と同じくらい不安な気持ち

と緊張感でいっぱいになってきた。

18時スタートまでまだ時間はある。

ボクは点滴をし、実際、鼻に入れる

チューブを見ながら、再度、自分自身で

入れてるイメージトレーニングをした。

感覚がつかめるようになるまで看護師さん

が入れると言ってくれているけれど、

どうしても自分で入れたかった。

理由は2つだ。

1つは、早く慣れて早く退院できること

が目標だったので、看護師さんにやって

もらうとその分、自分でやる機会を逃し

退院が長引くのではないか?という懸念。

もう1つは、他人に入れられると、加減

がわからないので、胃カメラのような

苦しさがあるんじゃないか?という懸念。

それであれば、自分自身でチャレンジ

してみたほうが良いのではないか?

そう自分の中で結論づけた。

それにしてもだ、、、

自分でやるというからには絶対チューブの

挿入を決めなければ!

『苦しくないか?初日から自分で

決めれるか?』

そんなことを考えながらベッドで横に

なっていると、、、

時計は18時近くになったいた。

こういう時に限って看護師さんは時間通り

に来るもんだ。

『もう少し時間遅れても良かったのに…』

そう内心で思っていたのだが。。。

看護師「じゃあヒロ田さん、始めていき

ましょうか!」

ボク 「どこでやります?」

看護師「エレンタールも溶かなきゃいけな

いし、鏡もある洗面所でやりましょうか」

ボク「わかりました」

ボクはエレンタールの粉末2袋

(1袋300kcal)と、溶解ボトル、鼻に

入れるチューブや、その他テープなど、

ED療法ができるように物品を看護師さん

と持って洗面所に移動する。

看護師さんが2人来ている。

1人はベテランさん。

そしてもう1人は初めてチューブの挿入

を見るという新人の看護師さん。

『別に2人いていいのだが、

人数が多いと少しプレッシャーだな』

そんなことを思う。

「ヒロ田さん、どうします?

最初、私やりましょうか?」

とベテランの看護師さんが言う。

「いえ、ちょっとボク自分でやって

いいですか?

チャレンジしてダメだった時お願いします」

ボクは看護師さんにそう言った。

まずキシロカインゼリーという表面麻酔剤

と言われる透明なゼリー状のものを、どちら

かの鼻に少しだけ吸って入れる。

ボクは、感覚的に左側が良かったので、

左側を選択した。

キシロカインゼリーを指の腹に少量とり、

それをチューブの入れる鼻に吸って入れる。

ボクの場合は左側に吸って入れた。

次に、キシロカインゼリーをティッシュに

少量とり、チューブに絡ませながら鼻へと

入れていく。

理屈はわかっている。

ボクは看護師さんに復習の意を込めて

こう聞いた。

「鼻からチューブを入れていき、喉に

入ってきたら飲み込む感じで入れて

いけばいいんですよね?」

「そうです」と看護師さんが答えた。

2人の看護師さんが見ている手前、

ウジウジもしてられない。

ボクはイメージした通りに挿入。

喉までチューブが来た。

『飲み込むような感じで…だったな』

ボクは飲み込むようにチューブを入れた。

その瞬間、『オェッ』と嘔吐反射になり

思わずチューブを全部抜いてしまった。

再びチャレンジする。

同じところでまた同じ状況になった。

『うわっ、ダメかも…』

一瞬、弱気になった。

「私やりましょうか?」

看護師さんが聞いてくる。

「いや、次は絶対決めますから!」

ボクはそう伝えた。

次に絶対決めれる根拠もなかったが、

もしいま看護師さんのお世話になると、

明日も明後日も自分でできないのでは

ないか?と瞬時に思ったので、意地でも

自分自身で決めよう。

そう思った。

「焦らなくていいですよ」

そう看護師さんが声をかけてくれたが、

ボクには、早く決めたい理由があった。

看護師さんが2人いるというのもあるが、

それ以外に、共同の洗面所でやって

いたため、さすがに人が大勢来る中では

やっていたくない。

そんな理由で早く終わらせたかった。

次で決めなければ…。

『よし、やろう!』

そう心で叫び、再々チャレンジ。

ボクはスピード感をもって進めた。

喉のところに来て、『ゴックン』と

飲み込む感じ。

『あっ、通ったぞ!!』

喉のところを上手く通過した。

あとはあらかじめ印をつけた位置まで

入れるだけだ。

どんどん押し進める。

『あれ、、、でもちょっと

違和感あるな…』

何となく鼻の辺りに違和感があるけれど

勢いよく進んでいるんだから、ここで

止めるわけにはいかない。

何とか予定の位置まで入れることができた。

しかし、なぜか入れた左側の鼻から鼻水が

出てくる。

『入れ方が悪かったか…?』

でも看護師さんも問題ないと言ってるし

鼻水を止めるのにティッシュを左側の

鼻に詰めておくことにした。

どうにか鼻からチューブを入れることが

できた。

後は病室に戻って、溶いたエレンタール

を機械にセットしてスタートだ!

ボクはスッキリした気分で

看護師さんと病室に戻っていった。

ーつづくー

ヒロ田

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