第31話 懇親会でNG食のオンパレード

第31話 懇親会でNG食のオンパレード

主催者の方が挨拶を終えたと同時くらいに

料理が運ばれてきた。

かぼちゃのスープ。

最初に出てきたのは、かぼちゃのスープ

だった。

みんな一斉に食べ始めている。

ボクは少し躊躇していた。

しかし、1人だけ食べていないのも

おかしく思われる。

緊張しながら、そして何となく

後ろめたさを感じながらスープを一口、

二口といただいていく。

『このあと何が出てくるのだろう…』

そんなことが気になって味が良く

わからなかった。

絶食解禁後、食べるものと言えば安全食と

言われてるものばかり。

確かに冒険して親子丼や蕎麦といった

ものも食べたことがある。

しかし、比較的安全と言われてる食べ物

ばかりを選んで食べていた。

ただ今回は選んで食べるのは難しそうだ。

かぼちゃのスープならまだ良いが、

この先NG食が出てきたらどうする…?

そんなことばかり気にしていた。

ボクがそんなことを考えていると、

懇親会場内では全員が初顔合わせと

いうことで、自己紹介が始まっていた。

『自己紹介やってるよ…。オレ苦手だな…』

料理は何が出てくるのか気になって

いるのに、自己紹介のことまで気に

しなければいけなくなってきた。

そして緊張の自己紹介。

何を言ったかは覚えてないが、無事に

自己紹介は終わった。

かぼちゃのスープの次に出てきたのは

野菜のサラダだ。

ドレッシングがかかっている。

ボクは隣の人と会話しながら、勢いで

食べた。

次に出てきたのは魚料理。

白身魚で安全食と言われてる魚だと

思うのだが油が凄い…。

『コレ油すごいよ…。大丈夫か食べても…』

そう思って食べるのを躊躇っていたのだが、

両隣の人は、ボクと会話しながらどんどん

食べている。

ここでボクがナイフとフォークを止めると

おかしく思うだろう。

ボクは自然な感じで食べるようにした。

ウェイターの方がウーロン茶のおかわりを

持ってくる。

周りの人たちはワインを飲んで気分が

良くなっているようだ。

『あれ、まさか二次会に行くことに

ならないだろうな…』

『でも、行くことになったら明日も勉強会

だからと言ってオレは断ろう』

もし誘われたら断ることを決めた。

魚料理に続いて出てきたのが肉料理。

『うわっ、肉出てきちゃったよ…。

しかも牛肉だ…』

ボクは絶食解禁後、食べれるようになってから

鶏のササミしか食べていない。

これは正直悩んだ。

けれどボクはミディアムに焼かれた

牛肉に、周りの人には『肉大好きですよ』

という顔でナイフを入れた。

一口食べてみる。

『懐かしい味だ』

牛肉は久しぶり。

まさか牛肉を食べることになるとは

思ってもいなかったから嬉しい気持ちで

いっぱいだった。

同時に『お腹は大丈夫か?』という

不安も大きかった。

『今まで真面目に安全食と言われてるものを

食べてきてたのに、ここで多数のNG食を

食べている。

腹痛になったりしなければいいが…』

そんなことを思いながらも牛肉を完食。

最後はデザートのケーキだ。

当然、ケーキもクローン病にはNGと

言われてる食べ物だ。

だけどボクは牛肉を食べたこと、

最後のデザートということでケーキを

頬張った。

ボクは結局すべての料理を残さず食べ、

お腹がいっぱいになった。

もう食べてしまったからしょうがないの

だけれど、罪悪感もいっぱいだ。

絶食を3年間続け、医師から『少しずつ

食べていってみよう』と言われたときの

気持ちに似ている。

『食べていいんだ!』という喜びの反面、

『食べてもいいのか?』という後ろめたい

気持ち。

そう思うたびに『いや、食べれるのが

当たり前なんだから後ろめたい気持ち

なんか必要ない』

そう言い聞かせたものだった。

そして今回、NG食と言われてるものを

食べてしまった。

『もう食べてしまったんだから…』

という気持ちと『食べなければ良かった

か…』という何とも言えない気持ちを

持ったまま懇親会場を後にした。

フランス料理ということもあって、

油ものを摂りすぎた。

しかも牛肉も食べている。

『あの時、肉は食べないように

してるんです』

と言って誰かに食べてもらえば良かった

かな…?

でも、牛肉を食べないと言ったら

宗教上の問題?とか、何で食べないの?

と聞かれて説明することになっても

面倒だしな…。

ボクは食べてしまったことが

尾を引いているようだ。

しばらくホテルに帰りながら懇親会を

振り返っていた。

ホテルまでは徒歩20分くらい。

歩いていると、またお腹が減ってきた。

『何か食べたくなってきたぞ…』

『でも待てよエレンタールもある。

さっき食べてしまったんだから

エレンタールにするか…?』

ボクは歩きながら迷っていた。

しかし、歩いているとこれがまたタイミング

いいことにコンビニが見てきた。

『さっき食べちゃったんだしな。いま止めた

とこで意味もない。食べても問題ないよ』

そうやってボクは都合よく考え、食べ物を

買ってホテルに帰ることにした。

何を買おうか考えたけれど、

NG食を続けるのはさすがにまずいだろう。

ここはやはり安全食と言われてる

食べ物にしたほうが良いだろうと、

オニギリ2個、そして蕎麦を買った。

ホテルに着いて着替えをしてから

買ってきたものを食べる。

食べながら明日の昼食のことを

考えていた。

『昼は弁当が出るようだから、おそらく

各席で食べるんだよな?

そうであれば食べるものを選んで食べよう。

もしNG食があったら絶対食べないように

しよう』

そう心に誓いながらオニギリと蕎麦を

美味しく食べたのである。

ーつづくー

ヒロ田

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