ストーマ手術から退院2週間後に、外科でストーマの傷口を確認してもらい、WOCナースの林田さんにもストーマ装具の交換時に皮膚の状態等を確認、消化器内科では採血結果や2週間経過後の体調等の話をした。
退院2週間で体重が10kg増もしているのだから、体調は凄く良い。
食べても食べてもお腹が空く。
間食のおやつもいれると5食くらいは食べて、さらにエレンタールを4袋(1,200kcal)摂取していた。
『そりゃ、体重増えるか…』
そんな体調の良い状態ではあったが、1つ気になることがあった。
病院でのストーマ交換時に、面板(プレート)の溶けが激しかったことがわかり、この状態が続くと漏れにつながるのではないかということが気になって不安になってしまったのだ。
そのためオシッコや便の処理などで、トイレに行くたびにストーマ装具のチェックをする。
『あれ、つい先日病院で交換したばかりだけど、また溶けてきてる感じか…?』
溶けてるかどうかは剥がしてみないとわからないのだが、この時のボクは、【溶け→漏れにつながる】という発想になっており、上から見た感じで何となく溶けてるのではないか?と思ってしまい剥がすことを決意。
剥がして確認したところ、溶けてないことが分かった。
『溶けてはいないけれど、なぜ溶けてるように見えたんだ?』
ボクは、原因をいろんな角度から考えてみた。
『昨日、林田さん(WOCナース)は傷が治りかけてきていると言ってたな…』
『溶けてないのに溶けて見えたってことは、皮膚にきちんと面板(プレート)が貼りついていなくて空気が入ってたってことか…?』
『昨日交換してまだ1日しか経ってないのに、こうなるって何か原因あるよな…』
『こうなった原因で思い当たるとしたら…』
『1つは体重の増加というのは考えられるな…』
『あと林田さんが言ってた、手術したところの傷が治りかけていることか…』
『それ以外に何があるだろ…』
いろいろ自問自答しながら自分なりに仮説を立ててみた。
【今回溶けて見えたのは面板(プレート)が体重の増加と手術後の傷が治りかけていることで、皮膚にたるみやシワのようなものができ、皮膚への貼りつきが悪くなっていたのではないか?】
ボクはそう仮説を立て、次に解決策を考えた。
『面板(プレート)を貼りつけた直後から動くのが良くないのではないか?』
『貼りつけてすぐ動くと、面板(プレート)と皮膚の間に隙間ができてしまうとか…』
『それで空気が入ってしまって面板(プレート)が白っぽくなり溶けて見えるのでは…?』
『そのためには面板(プレート)を貼りつけた直後、2~3分は動かないようにしたほうが良いかな…』
『あと、貼りつけた直後は強めに押さえて皮膚と面板(プレート)が速く貼りつくようにしてみよう』
こうしてボクは交換した次の日に再びストーマ装具の交換をしたのである。
自分で立てた仮説は違っていたということを知らないままに…。
交換してから2日経った午前4時頃。
オシッコに行きたくなり目覚めた。
トイレに行き、いつものようにストーマ装具の状況も確認する。
『あれ、パウチ(袋)の上部に便が滲み出てるか…?』
眠たいままトイレにいったボクは、それを見てから急に目が覚めてしまった。
『あれ、どうなってるんだ?これ便が滲み出てるよね?』
『でもそんなに溜まってるわけでもないし、漏れてるわけでもないよな…』
よく見てみると、パウチ(袋)上部のガスで膨らまないようになっているフィルターのところから滲み出ているようだ。
完全な漏れではない。
『しかし、なんでココが…?』
『このフィルターからも漏れる可能性ありってことなのか…?』
ちなみに、パウチ(袋)上部についているガス抜きのフィルターが滲み出てきたのは、後にも先にもこの1回しかないということを先に伝えておこう。
少しでも漏れにつながる可能性があれば交換しようと決めていたので、朝4時からストーマ装具の交換を始めた。
『しかしこれが続くと嫌だよなー…』
『いま使ってるストーマ装具は、3~4日の交換で大丈夫って言ってたよな…』
『先日は1日で交換したし、今回は2日で交換…』
『ストーマ装具をこんなに交換してたら、装具代だけでもけっこうな金額になるな…』
そんなことを考えながらも無事に交換終了。
『よし、新しい装具と交換できたからスッキリだな…』
『しかし、こんなことが続くと気になってしょうがないな…』
『ストーマにして楽にはなったけれど、まさか漏れることが気になるとはなー…』
『まっ、とりあえず毎回の交換で学んでいるんだから、今回は貼り付け後すぐに動いていないし、貼りつくように強めに押さえていたんだからこれで様子を見てみよう…』
漏れなかったこと、そして1つ1つ学んでいることで時が解決してくれるだろう。
そう楽観的に考えていた。
この先に、もっと大変なことが起きることを知らないままに…。
ーつづくー
ヒロ田