第80話 結核の疑いがかかるも検査用の痰が出ない

第80話 結核の疑いがかかるも検査用の痰が出ない

結核の疑いで個室に隔離されたボクだったが、

さらに困ったのは痰の検査だ。

朝から看護師さんが来て「痰でそうですか?

」と聞いてくるのだが、咳も出なければ痰が

絡むこともない。

痰を出そうと何度かやってみたけれど無理だ。

「吸入器を使ってみましょう」ということで

看護師さんが吸入器を持ってきてくれた。

「10分くらいこれを吸ってください」と言っ

ている。

『こんなことをやって痰でるのか…?』

と思いながらも10分間やってみる。

痰を出してみようとするが出ない。

早く終わらせたいのに痰が出ないというのは

何とも落ち着かない。

時間を空けてから再度、吸入器をかけてみる。

それでも出ない…。

オシッコ検査もそうだが、ボクはせっかちな

のか、やらなければいけないことを先延ばし

にするのが苦手のようだ。

オシッコ検査も当日いきなり「採尿していっ

て」と言われるとガッカリする。

というのも診察前にオシッコをしていて、す

ぐには出ない状況だからだ。

「すぐじゃなくてもいいですよ」と看護師さ

んは言ってくれるのだが、ボクはカップを持

って待っているのが嫌なのだ。

痰の検査もそうだ。

「ゆっくりでいいですよ」

と言われているものの、痰を取るまでは落ち

着かない。

努力しているが、痰が出ることはない。

ボクはスマホを取り出し検索してみる。

『結核疑い 痰の出し方』

そうすると、吸入器を使って深呼吸するよう

な感じで…というようなことがいろいろ書か

れている。

その通りに実行する。

けれど出ない。

痰が取れなければ、胃液を取るやり方や

気管支鏡を使って取るやり方などが書かれて

いた。

胃液を取るということは、たぶん鼻からチュ

ーブを入れて取るのだろうなと想像ができた。

であれば、ボクはエレンタールを鼻からチュ

ーブを入れてやっている。

このチューブを使って取れないか?

チューブを使って取ってもらったほうが良い

んじゃないか?

ボクは最悪そうしてもらったほうが良いなと

考えた。

個室に隔離されて2日目の朝。

どうやったって痰が出ない。

しかし、痰が取れないことには先に進まない。

クローン病の治療に入れないというのだ。

再度、吸入器を使って痰を出すことにチャレ

ンジする。

咳も出なければ、痰も絡まないボクには、こ

の時間は辛いものだ。

咳が出て痰も絡んでいるときなら、いくらで

も取ってくださいという感じなのだが…。

結局この日もダメだった。

夕方、IBD専門医師(以下IBD医師)とどう

するかを話した。

明日は痔ろうの手術をする。

そのため今日の20時から絶食でエレンタール

もストップさせる。

ただ、鼻からのチューブは抜かずに、そのま

まにしておいて、明日の朝の回診のときに胃

液を取ってみようということになった。

そして翌日。

入院してからちょうど一週間がたった。

今日は12時から痔ろうの手術をする。

結核の疑いがあるということで、隔離されて

3日目の朝だ。

IBD医師が朝の9時頃回診にきて胃液を取る。

鼻に入れたチューブを使い、注射器で吸って

胃液を取るのだが、どうも上手く取れない。

少し時間はかかったが、どうにか少しだけ

取って、それを検査に出してみるとのこと

だった。

手術まであと3時間。

朝の6時から絶飲も始まっている。

相変わらずお腹も空かないし、喉も渇かない。

それよりも、手術で膿が排膿される時間が近

づいてきて少し嬉しくなってきた。

たぶん、膿が溜まってることで身体がだるい、

そして37度2分から5分くらいの熱が夜になる

と出る。

切開して楽になりたいなーという気持ちが強

かった。

今回の痔ろうの手術は、腰椎麻酔をして骨盤

の辺りに麻酔を効かせ、そして全身麻酔をし

て手術を行うというパターンだ。

腹腔鏡手術の時は、全身麻酔のみ。

しかも、オシッコの出るところに管は入るし、

手の甲には太い針を入れて点滴をしてるし…。

もちろん、すべて麻酔が効いてから行ってる

から、ボクはまったく無痛だったけど…。

今回、腰椎麻酔をしてから全身麻酔と言って

るけれど、全身麻酔してから腰椎麻酔はでき

ないのか?

出来ることなら痛いことは寝てしまってから

にしてほしいのだが…。

『そうだ、オレいま隔離されてるんだけど、

手術室に行くときはどうやっていくんだ?

手術室ではどうなるんだ?』

そんなことを自分で考えていたところで、聞

かない限り解決しないのだけれど、手術室に

行く時間になるまで、要らぬ心配をしていた。

「ヒロ田さん、時間になったのでそろそろ行

きますか」

そう言いながら看護師さんが病室へと入って

きた。

ーつづくー

ヒロ田

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