大腸カメラ当日。
ボクはいつも眠って検査をしている。
何度も眠る注射を使って検査をしている
からか、検査中に寝てしまうということが
少なくなってきた。
目の前がフラフラする感じはあるのだが…。
『もしかしたら注射しなくて大丈夫かも』
と思ったことがあり、一度だけ眠る注射を
せずに検査したことがある。
だが、眠る注射を使っているときのほうが
楽にできることがわかった。
ボクはそれ以来、眠る注射は欠かせない。
「ヒロ田さん、そろそろ検査着に着替え
ましょうか?」
待合室で待っているボクに看護師さんが
声をかけてきた。
看護師「ヒロ田さん、便の状態はいつも
通り大丈夫でした?」
ボク「はい、大丈夫です」
看護師「じゃあコレ検査着です。着替えたら
こちらのイスに座って待っててくださいね」
着替えが終わり言われたイスに座って
待っていると検査室からお声がかかった。
ベッドに寝ると血圧やら酸素濃度やらを
チェックする。
ボクは看護師さんに眠る注射も使うことを
告げておく。
「じゃあヒロ田さん始めるかい」
主治医が検査室に入ってきた。
看護師「先生、ホリゾン1アンでいい
ですか?」
主治医「ヒロ田さん、いつも使ってたよね?」
ボク「はい、いつも使ってるのでお願い
します」
主治医「じゃあ1アンでいいよ」
眠くなる注射を打つと最初のうち腕が
ビリビリくる。
次の瞬間フラフラ~っときて気持ち良い
感じになる。
初めて眠る注射をされたときは、一瞬に
して爆睡したが、この頃は気持ちいいだけで
眠ることはない。
主治医「じゃあ始めるよー」
そう言うと同時にカメラが入ってきた。
入ってきて数十秒後、なぜかいつもより
痛い。
ボク「先生、なんかいつもより痛い感じが
しますけど…」
主治医「そうでしょう、ちょっといつもより
炎症あるからだわー」
ボク「えー、そうなんですか?」
主治医「うん、ちょっと良くないなー」
そう言いながら奥へ奥へとカメラを進めて
いく。
いつもならスムーズにいくのだが、今回は
なぜか痛い。
ボク「先生、やっぱりいつもより痛いです
ねー」
主治医「そうでしょう。ちょっと待ってて
よー」
そう言うと、もう1人検査室に来ていた
医師に「ちょっとこの辺りを押してもらえ
るかい?」
そう言っている。
もう1人の医師がボクのお腹を押すと、
痛みが軽減してきた。
そうやって奥へ奥へとカメラを進めていく。
主治医「うわー、狭窄になってるなー」
ボク「えっ?狭窄ですか?」
主治医「うん、これ以上奥見れないわー」
ボク「えっ?見れないんですか?」
主治医「うん、これ以上はダメだわー」
「いやーショックだなー。思ったより
悪くなってるわー」
ボク「えー、、、ホントですか…」
主治医「うーん、ちょっとショックだなー
これは…」
ボクのクローン病は悪化すると痔ろうで
膿が多く出てくるパターンだった。
だが今回は腹痛があった。
ボクはいつもより炎症が激しくなっている
のだと思っていたのだが、それ以上に大腸が
狭窄しているということがわかってきた。
いつもと違う主治医の反応に、ボクも
不安な気持ちが増してきた。
検査が終わり、そのまま違うベッドに移動。
眠くなる薬が切れるまで1時間くらいは
横になる。
もちろん横になってすぐ寝てしまって
いるからここからの記憶は無い。
1時間くらい経って目が覚めたと同じくらい
に看護師さんが来た。
看護師「ヒロ田さんどうですか?」
ボク「大丈夫です。起きました」
看護師「それじゃあ着替えて待合室で待って
てくださいね。先生の診察になったら呼びま
すので」
ボク「わかりました」
数分後、ボクは主治医の待つ診察室へ。
ボク「なんか先生、良くないなーって
言ってたような気がするんですけど…」
主治医「いやー、そうなのさー。狭窄に
なってる所が2箇所あって、1箇所は左側の
横行結腸のところで、そこは何とかカメラ
を通すことができたんだけど、もう1箇所
右側の横行結腸にも狭窄があって、そこは
狭窄が凄くて入っていかないんだよね」
ボク「えー、、、そんなに細いんですか?」
主治医「うん、凄く細いんだよね」
ボク「細いってどれくらいですか?マッチ
棒とかの細さですか?」
主治医「いや、爪楊枝くらいの細さだわ」
ボク「えー、そんな細いんですか?」
主治医「うん、どれくらいの長さが狭窄に
なっているかはレントゲン室で透視しなが
らじゃないとわからないけどね。
これだとエレンタールでも通過するとき
痛み出るわー」
どうやらボクの右下腹部の痛みは、爪楊枝
くらい細くなった狭窄からのようだった。
『エレンタールしか摂取してないのに
何で痛みが出るんだ?』
そんな今までの疑問が今日で解決した。
同時に腸がそこまで細くなるのかと
改めて人間の身体って不思議だな…と
思った。
そんなことよりも今後どうなるのか?
どういう治療があるんだ?
ボクは主治医がどういう治療を提案
してくるか、気になりながら主治医の
言葉を待っていたのである。
ーつづくー
ヒロ田