第13話 悲観的から楽観的へ

第13話 悲観的から楽観的へ

女性医師に、「クローン病は食べれない

病気だよ」と言われたボクは、ショックで

暗い気持ちが、、、孤独感が、、、

より一層強くなった。

『何が悪かったのかな。。。

昼にカップラーメンばかり食べたり、

ラーメンや焼き肉、その他、何も考えず

好きなものを食べていたからかな。。。』

何が原因でクローン病になったのか?

答えなんか出てこないのだけれど、

自分なりに過去を振り返ってみたりした。

病室のベッドで、すごく落ち込んでいた

ボクは、何だか自分だけひどい病気に

なってしまって、悲惨な思いをしている…。

そう悲観的に考えるようになってしまった。

朝、昼、晩…と食事が病室に運ばれてくる。

ボクの分はもちろん無い。

『食べれる人たちはいいな…』

『自分だけがかわいそうな人…』

『なんて悲惨なオレなんだ…』

そう考えてしまうくらい悲観的だった。

そんな落ち込んでいた時のこと。。。

ボクの斜め前のベッドにいた患者さんは、

年齢がボクより少し若いと思われる男性だ。

病名はB型肝炎とのこと。

お互い明日の検査や治療について話した。

ボクは、胃カメラの検査だと伝えると、

その男性も嫌な治療が待っているという。

治療の内容を聞くと、、、

どうやら足の付け根の動脈からカテーテル

を入れて、直接肝臓に投薬する治療を

するとのことだった。

動脈からカテーテルを入れるため、

治療後は、24時間安静にしてなければ

いけなく、動けないようベッドに身体を

固定し、食事も上を向いたままおにぎりを

食べなければいけない。

何が辛いって、天井をずっと向いたまま

24時間過ごさなければいけないことが

一番辛い。

と言っていた。

話を聞いていると、確かに大変そうだ。

ボクの病室にいた他の2人は、

1人は肝臓がんで3週間に1回入院し、

抗がん剤の投与をしている人。

もう1人は、血液が上手く作れない

病気のようで、2日に1回は輸血を

しなければいけない人だった。

入院したばかりは、まだ誰とも話すことが

なかったけれど、2日目くらいから病室の

人と話をする機会が多くなった。

そこでいろいろ話をしているうち、

ボク自身を客観的に見ることができる

ようになった。

『自分がいかに悲惨で、どれだけ辛い検査、

治療をしているのか…。

おまけにクローン病は食べれるように

なると思わないほうがいいと女性医師に

言われ…』

そう悲観的に、、、

自分が一番大変で辛い病気になった。

と少し前まで考えていた。

『あれ、オレだけが大変なんじゃないぞ』

病室内で話をしていると、ボクよりも大変

だと思う病気だったり、世の中ボクより

大変な病気の人はたくさんいる。。。

少し前まで、『かわいそうなオレ…』

だった。

自分だけ辛い病気になって…。

そんな気持ちになっていた。

しかし、病室内の人と話をしたことで

『オレだけ暗い気持ちになってられない』

そう考えれるようになった。

『オレは、クローン病という病気になった

現実がここにある。

それは避けることができない。

自分には何ができる?』

そう自問した。

『よし、病気になんて負けてられない!』

それがすぐに出てきたボクの答えだった。

少し前まで、女性医師に「クローン病は

食べれない病気だと思ってたほうがいい」

と言われ、ショックで暗い気持ちに

なっていた。

しかし数時間後、ボクは前向きに

考えれるようになっていた。

『食べれないというのは辛いことだけど、

でも食べれなくてもできることは

たくさんある。

食べれない自分が悲惨だというのは

自分自身で悲観的に考えているだけだ』

数時間後には、そう考えれる自分に

なっていたのである。

そんなすごく前向きに考えれるようになった

ボクだったが、明日の胃カメラのことが思い

浮かぶと少し憂鬱になる。

『あの苦しさがあるのか…』

8年前に受けた胃カメラの記憶が

蘇ってくると、慣れてないというのも

あったが、苦しかったという記憶しかない。

あれが再び…と思うと憂鬱だ。

『あ~あ、、、胃カメラ検査は

明日かー。。。』

ーつづくー

ヒロ田

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