第48話 大腸バイパス手術が終了した

第48話 大腸バイパス手術が終了した

テレビドラマなどを見ていると、手術で麻酔

をかける時「1から数字を数えてくださいね」

そう言われ、1・2・3・4・5… zzz

と数えていくうちに寝てしまうパターンを

見たことがある。

大腸カメラの検査をやるとき、眠りながら

検査を希望した場合は、眠る注射を打つの

だが、注射を打つとフラフラ~っと気持ち

良くなって眠りに入る。

そういうのと同じで麻酔をされたとき、

もしかしたら番号を数えている時、気持ち

良くなって寝ていくのかなー…。

そんなことを勝手にイメージしていた。

手術を執刀してくれる外科医とも挨拶を

し、いよいよ麻酔だ。

麻酔科医「それじゃ麻酔していきますね」

そう言って注射針が血管に刺さった。

『おっ、気持ち良くなってくるのかな…』

『麻酔科医が数字数えて…と言ってくるの

かな?』

「麻酔する」と麻酔科医が言った瞬間、

そんなことを思っていた。

ところがだ…。

何と注射針が刺さってすぐに意識がなくな

ったのだ。

恐るべし麻酔…。

こうしてボクの手術は始まった。

もちろん手術している過程はわからない。

『ヒロ田さーん、ヒロ田さーん、聞こえ

ますかー』

何だか遠くから声が聞こえる。

どうやら麻酔科医がボクを呼んでいる

ようだ。

返事をしようとするが声が出ない。

『ヒロ田さん、ヒロ田さん、聞こえたら

この手を握ってください』

麻酔科医がボクの手を握っている。

ボクは2回握り返した。

『ヒロ田さん、ボクが合図したら自分で

息吸ってくださいね』

『はい、息吸って!』

ボクは思い切り息を吸った。

しかし、息を吸った瞬間また意識を失った。

『息を吸って』となぜ言ったのか、その時は

良くわからなかったが、気道を確保するための

挿管チューブを抜くためだったようだ。

所々で目が覚める。

ストレッチャーに寝かされて病室に戻って

いるようだ。

起きてはすぐに寝て、また起きては寝て…

を繰り返しているうちに病室に着いた。

看護師さん数人がベッドの位置をずらしたり

いろいろやってるようだ。

目を開けたいのだがすぐ眠くなるため開けれ

ない。

「せーの」

ボクの身体が宙に浮いた。

看護師さん数人で持ち上げ、ベッドに移動

している。

ベッドの移動が終わると1人の看護師さんが

残っているようだ。

看護師「ヒロ田さん、病室に移動してきた

ので、何か必要なものあれば取りやすい

場所に置きますけどどうします?

一応、温かめのお茶はストローで飲める

カップに入れて置いときますけど…」

ヒロ田「あっ、それじゃ携帯電話を近くに

置いてもらっていいですか?」

看護師「携帯電話ね」

ヒロ田「ところで、いま何時ですか?」

看護師「今ねー18時30分過ぎたとこ」

ヒロ田「えっ?まだそんな時間ですか?」

看護師「そう。でも手術6時間かかったん

だよ」

ヒロ田「えー、そうなんですね。もう夜中

かと思ってたんですけど…。

寝れなかったら嫌ですねー」

看護師「うん、でもたぶん麻酔も効いてる

し、寝れるとは思うけどねー。

また後で何回か来ますけど、何かあれば

枕元にナースコール置いとくので、呼ん

でくださいね」

ヒロ田「わかりました」

『まだ18時30分かー…』

ボクはちょっぴりショックを受けた。

なぜなら寝れなかったらどうしようかと

いう不安があったからだ。

手術後は、すぐに動くことができない。

歩けるとしても明日からだ。

この状態で寝れない時間が続くと暇で

嫌だな…。

目はパッチリ開いている。

看護師さんがいなくなった後、ボクは見れ

る範囲で病室内を見渡した。

血圧を自動で測定する機会があったり…

『あれ、両足のふくらはぎに何か巻かれて

いて、定期的に圧がかかっているぞ…』

後で聞いてわかったのだが、寝たきりで1日

過ごすので、エコノミー症候群にならない

よう定期的に圧をかけて予防しているとの

ことだった。

あと、何だか口元が苦しい。

近くに置いてあった鏡を手に取り口元を

見てみた。

『酸素マスクだ』

何だか息苦しい感じがして外してしまいたい

気持ちに一瞬なったが、万が一何かあっても

困るので、ちょっと息苦しかったが我慢した。

『このまま眠れないんじゃないか…?』

そう思っていたのだが、不安になる必要は

まったくなかった。

なぜなら、その後すぐに寝てしまった

からだ。

後になって気づいたのだが、麻酔科医が

言ってた定期的に痛み止めと麻酔が入った

ボトルをぶら下げていて、そこから自動注入

されていたため寝れたわけだ。

ちょっと目が覚めてはすぐに寝る。

またちょっと目が覚めてすぐに寝る。

そんなことの繰り返し。

途中、何度か看護師さんが来て、血圧とか

測っているのだろうか…。

何かやっているのだけれど起きていられない。

結局、そのまま朝まで爆睡だった。

気づけば朝の6時だ。

看護師さんが血圧などを測りに来ていた。

手術後の痛みは無い。

きっと定期的に自動注入される痛み止めと

麻酔のおかげだろう。

ボクは看護師さんに今日の予定を聞いてみた。

「先生の診察や、レントゲンを撮ったりして

午後からは起き上がって歩いてみましょう」

とのことだった。

ボクは歩いているイメージをした。

『いや~早いなー。手術して翌日には歩ける

んだから…』

そんなことを思っていたかと思えば、

『あれ、ところでレントゲンてどうやって

撮るんだ?歩けないし…。

またストレッチャーに乗ってレントゲン室

までいくのか?』

目がすっかり覚めてしまったボクは、

考えてもどうしようもないのに、いろいろ

考えてしまったのである。

ーつづくー

ヒロ田

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