主治医の異動に伴い、ボクも主治医のいる
病院に行くことになった。
その病院でIBD専門の医師(以下IBD医師)
と出会い、痔ろうがどういう状態になってる
のか、MRI検査でわかるとのことだったので、
そのMRI検査をまずはしてみようということ
になった。
MRIの検査を受けるために、いくつかの注意
事項説明を聞く。
・ご飯は食べずに来てください。
・造影剤の注射で具合悪くなったとかアレル
ギーはありますか?
・閉所恐怖症ではないですか?
こういった内容の説明を受ける。
まあ、ほとんどCT検査と同じような内容だ。
ただ、閉所恐怖症ではないですか?って何だ?
どちらにしてもボクは閉所恐怖症ではないか
ら問題ないが…。
検査当日、その閉所恐怖症と言ってる意味が
わかった。
CTのように丸い輪の中に入っていくんだけ
れども、それがCTのように広くはなく、か
なり狭い。
『あ~、なるほどな。確かにこれは閉所恐怖
症の人だと辛いかも…』
そう感じた。
検査当日は採血もあったため、まずは採血を
する。
そしてそのままルートをつけたままMRIのベ
ッドに横になる。
ここまではCTと同じような流れだ。
ところが、次にボクが目にしたのはヘッドホ
ンだ。
『何だコレ…?』
「ヒロ田さん、ガンガン音がするのでこのヘ
ッドホンしてください。これをつけててもち
ょっと音は聞こえますけれど…」
そう言ってヘッドホンをつける。
いったい何が起こるんだ?
ボクは、CTとの違いにちょっぴり不安になっ
てきた。
「では、ヒロ田さん始めていきますね。まず
造影剤使わずに検査しますから」
そう言うとレントゲン技師の人は別室へと移
動する。
しばらくすると…
ガツン、ガツン、というような音が鳴りだし
てきた。
『何だこの音は…?』
ガツン、ガツン…
ガン、ガン、ガン、ガン…
そういった音がなっていたと思うと、今度は
ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ…
そういった高い音が鳴り響きだした。
『何なんだこの音。確かにヘッドホンつけて
てもうるさいな…』
音楽がヘッドホンから聞こえているとまだ
良いのかもしれないが…。
ところが音楽なんてものは聞こえない。
そのためヘッドホンをつけててもけっこう
うるさいのだ。
15秒から20秒くらい経った頃だろうか、今
までうるさかったその音が急に止まり静かに
なる。
『終わったか…?』
ガツン、ガツン…
『うわっ、また始まったよ…』
さっきと同じような感じで再び始まった。
『どれくらいで終わるんだ?あと数分くらい
で終わるかな…?』
『そんなに長い時間はかからないだろう』
そう考えていた。
ところが、そんなボクの考えに反して、同じ
ようなことが何度も繰り返される。
最初は、音もあまり気にしていなかったけれ
ど、さすがに長く続いてくるとうるさく感じ
てきた。
『いったいいつ終わるのか…?』
どれくらいの時間こんなことやってるのか、
まったくわからなかったので、だんだんと不
安になってきた。
CTと同じくらいで、すぐに終わると考えてい
たボクは、こんなに長くなると思わなかった。
さらに、うるさい音付きなものだから、不安
な気持ちがますます強くなっていく。
『おいおい、いったいいつ終わるんだ?音が
凄く気になってきたぞ…』
どれくらいMRIの中にいただろう…
ボクの感覚としては10分くらい検査していた
ように感じるが、4~5分てとこだろうか。
ガチャッという扉の開く音が聞こえた。
どうやらレントゲン技師の人が入ってきたよ
うだ。
「それじゃ、次に造影剤を入れて撮影します」
そういって造影剤を血管に入ってるルートか
ら入れ、また検査室に一人になった。
『また同じ時間あの音を聞くのか…?』
ボクはガッカリしたと共に、またあのくらい
の時間がかかることを想定し、辛抱しようと
心に決めた。
しかし、あのうるさい音を聞く時間は意外と
短かった。
時間にして1分くらいのことだろう。
造影剤を入れてからが大事だと思っていたが、
どうやらそうではなかったようだ。
レントゲン技師の人が入ってきて、MRIの
機械を動かし、ボクはMRIの筒の中から出て
きた。
(筒と言っても頭は少し出ているけれど…)
「いや~、ヘッドホンしてるから大したこと
ないと思いましたけど、けっこう音うるさい
もんですねー」
ボクがそう言うと、
「そうなんですよねー。ヘッドホンしてても
けっこう響きますよね」
そうレントゲン技師の人が苦笑いしながら言
っていた。
「CTと機械が似てるから同じくらいに考え
てましたけど、ゼンゼン違いますね。この検
査は今までやったことないです」
そんな話をレントゲン技師の人と話している
と、看護師さんが入ってきて血管に入ってる
ルートを抜いてくれて今日は終了。
本当は、結果をすぐにでも聞きたいところ
だけれど、今日はIBD医師のいない日だと
聞いていたので、後日、採血の結果とMRI
検査の結果を聞きに行くことになっていた
ため、ボクは検査結果を気にしながら、そし
てMRI検査を振り返りながら病院を後にした
のである。
ーつづくー
ヒロ田