第125話 シートン手術を終えクローン病の診察へと向かう

第125話 シートン手術を終えクローン病の診察へと向かう

ボクのシートン手術が終わると、手術を担当

してくれた医師は別な診察室へと移動した。

看護師さんが、手術後の処理をしている。

看護師「ヒロ田さん、もうちょっとそのまま

で待っててくださいね。いま車いす持ってき

ます。麻酔がすっかり切れるまで別の場所で

寝てもらいますので…」

ヒロ田「わかりました」

看護師「あれ、そういえばヒロ田さん、この

あとクローン病の診察に行くって言ってまし

たよね?何時からでしたっけ?」

ヒロ田「13時に採血なので、それまでに行け

ば大丈夫です」

麻酔してから順調にいけば3時間後には帰れ

ると予め聞いていた。

8時30分から麻酔を打っているから、順調に

いけば11時30分に麻酔がすっかり切れる予

定だ。

少し様子をみても、最悪12時30分くらいに

出れば問題ない。

でも万が一の時は、時間を遅らせてもらおう

と考えていたから大した時間は気にしていな

かった。

看護師「今だとそうだなー、上手く麻酔が切

れてくれたら12時くらいには大丈夫だと思う

けどねー」

ヒロ田「わかりました。何となく今も足が動

き出しているので、大丈夫そうですね」

仙骨硬膜外麻酔というのは初めてやったが

ちょうど手術が終わるくらいには、膝から下

が少しだけど動かせるようになっていた。

膝より上はガチガチに効いているけど…。

そうこうしているうちに、看護助手さんが

車いすを持ってきた。

下半身麻酔をした時は、看護師さん4~5人く

らいでボクを持ち上げ、手術台の横にストレ

ッチャーを置いて、そこにボクを寝かせる。

そしてそのまま病室へ移動。

病室へ移動したら、病室のベッドに看護師さ

ん4~5人でボクを持ち上げベッドに移動させ

る。

それに比べたら、仙骨硬膜外麻酔は人手が少

なくて良いもんだ。

ベッドの前に車いすを置いて、そこにボクが

手を使ってずれながら乗り込む。

看護師さんが両サイドにいてボクをサポート

してくれるから安心だ。

車いすに乗り込むとベッドのある部屋へ移動

する。

看護師「それじゃヒロ田さん、だいたい11時

30分くらいまで様子見て、大丈夫そうだった

らそのまま帰れますからねー。

何かあれば、ここにあるボタンで呼んでくだ

さい。また来ますからー」

そう言い残しベッドのある部屋から出て行っ

た。

初めての病院で、シートン手術をしたという

こともあり、緊張と終わってホッとした気持

ちからか、気づいたら1時間くらい寝ていた。

目が覚めて時計を見ると11時くらいだ。

そこからまたあることを気にし始めた。

麻酔が徐々に覚めていくのがわかる。

と同時に、このとき急にトイレに行きたくな

ったらどうなるのか?

そんなことが、また気になりだしたのだ。

『そんなにトイレのことが気になるなら、起

こされるまで寝ていたかったな…』

目が覚めてしまったばっかりにトイレのこと

が気になり出した。

一度起きてしまうと、こんなときは寝ようと

してもなかなか寝れないものだ。

『今は11時。あと30分も経てばOKが出るだ

ろうか…?いや、出てほしい』

若干、足の動きは鈍いものの、もうほぼ動か

すことができる状態だ。

後は看護師さんの判断に任せるしかない。

こんな時は時間が長く感じるものだ。

静かな部屋に秒針の音だけが響く…。

11時30分。

看護師さんがやってきた。

看護師「ヒロ田さん、どうです?時間はもう

大丈夫な時間なんですけど…」

ヒロ田「はい、大丈夫だと思います」

看護師「それじゃ、もう帰って大丈夫ですね。

本当は、明日とか傷口見せに来てほしいんで

すけど、来ることできないです?」

この時期、ボクは予定をビッチリ入れていて

今回のシートン手術も、クローン病の診察の

ある日に無理やり入れた感じだった。

なので、傷口だけ見せに来るのは厳しい。

ヒロ田「すいませんが、もう予定が入ってい

て厳しいんです。体調がおかしくなったり、

傷口が痛んできたりしたら来るというパター

ンではダメですか?」

看護師「うーん…。じゃぁ、そうしましょう

か。何かおかしいと思ったらすぐ来てくださ

いね」

会計を済ませてからクローン病の診察へと

別の病院へ向かう。

シートン手術をする1ヶ月くらい前から高カ

ロリーの点滴を始めていた。

体調が悪かったのだろう。

エレンタールでも上手くカロリーの摂取がで

きないので、高カロリーの点滴をしたいと、

主治医に申し出て、処方してもらっていた。

本来、完全絶食してやればいいのだが、どう

しても食べたくなってしまうものだ。

相当、意志を固くすれば良いのだろうけれど、

ボクの担当してくれてる主治医も、1日に1~

2食は食べてもいいよと言ってくれる医師だっ

たので、その言葉に甘えて食べていた。

食事プラス、高カロリーの点滴をするから

おかげさまで栄養状態は良くなってきていた。

今回はその点滴の効果を診る2回目(二ヶ月

目)の日だ。

ただ、ボクには一つの心配事があった。

それは、高カロリー点滴の針を刺すポートの

部分に、今回のシートン手術をする2~3日前

から痒みが出てきていた。

ちょっぴり腫れてるような、赤みがあるよう

な…。

痛みがあるような、痒みがあるような…。

そんな状態だった。

『診察の時に、このことは忘れずに聞かない

と…』

診察に向かう車の中で主治医に聞くこと、

話すことを頭の中でまとめていたのである。

ーつづくー

ヒロ田

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