抗生剤の点滴が終わるころ、看護師さんがや
ってきた。
看護師「ヒロ田さんどうです?」
ヒロ田「気のせいかもしれないけど喉の痛み
が半減したような気がします。
プレドニン効いてるのかなー…」
看護師「そうなんですねー。早く良くなると
いいですね」
そう言いながら、別の点滴をセットしていく。
病院食は三食いただくのだけれど、エレンタ
ールも900kcalを12時間かけて摂取すること
になってるボクは、20時ころから準備をする。
21時が消灯となっているがテレビやベッドの
電気は22時までつけていてOKだ。
なので実際の消灯は22時ということになるだ
ろうか…。
ただ、ボクは何度も洗面所に行くのが面倒な
ので、エレンタールの準備と一緒に、歯磨き
なども終わらせるようにした。
どうせ、おやつなども食べないし、飲み物も
水しか飲まないし…。
早いもので入院一日目の消灯時間が来た。
なかなか寝付けない。
寝たと思ったらトイレに起きる。
またウトウトしたころトイレに行きたくなる。
こんなことの繰り返しで時計は夜中の2時を
回っていた。
相変わらずトイレの回数だけは多い。
食べているし、エレンタールもやっているか
らだろう。
何度か起きているうちに、喉も渇いてくる。
冷蔵庫で冷やしてある水を飲む。
『うわ、痛ぇ~』
心の中で叫んだ。
やはり冷たい水を飲むと痛い。
夜ご飯を食べた時の痛さが半減したというの
は、やはり思い違いだったのか…?
それともプレドニンの効きが悪くなったのか
…?
そんなことを考えながらウトウトする。
そしてまたトイレに起きる…。
気づけば時計は4時を回っていた。
やっと熟睡に入った頃…
「ヒロ田さん、すいません採血いいですか?」
と看護師さんが起こしてくる。
時計を見るとまだ5時が過ぎたくらいだ。
6時過ぎからではないのか…?
そう勝手に思ってしまったが、眠い目をこす
り、点滴していない腕を看護師さんへ…。
採血が終わったらまた爆睡。
7時過ぎになると病室内が騒がしくなってく
る。
看護師さんが患者さんの体温を測ったり、
血圧を測ったりしにきているからだ。
ボクも眠いがここで起きる。
なぜなら朝ご飯が7時45分頃運ばれてくるた
め、その前にエレンタールが終わるようにし
て、鼻からチューブを抜いてしまいたいから
だ。
エレンタールの後始末をしながら、こんなこ
とを考えていた。
『夜中に水飲んだとき喉が痛かったな。
これで朝ご飯食べると入院前と同じくらい痛
いのだろうか…』
朝食が運ばれてきた。
少し痛さを気にしながらご飯を食べた。
一口食べてみる。
やはり味のついてるおかずは痛い。
それを緩和するかのようにお粥を口に入れる。
『おっ、少し痛みが和らいだぞ…』
『あっそうか、もしかして痛みが出てきた時
にお粥を口に含んでたから喉の痛みが半減し
たように感じてたのかな…』
入院二日目の朝ご飯を食べながらそんなこと
を考えていた。
今回の入院は、喉の潰瘍を治すことと、肛門
周囲膿瘍になっているため、抗生剤で良くす
ること。
この二つが目的のため検査も何もない。
だからとっても暇だ。
体温も36度4分くらい、血圧は108と70くら
いで特に問題がない。
喉が痛いのとトイレの回数が多い、そして膿
が出ていること以外は体調がとても良い。
というか、それが体調不良というのかもしれ
ないけれど…。
毎日お風呂に入り、ご飯は三食同じくらいの
時間に食べることができる。
そんな快適な入院生活だ。
ただ、やはり喉が痛いからか、調子が良い時
のように本を読んだり、パソコンに向かって
仕事をしたりすることができない。
『やらなきゃなー…』
と思いながらも行動ができないのだ。
『なぜ喉の痛みが引かないのか…?』
『なぜこんなに体調不良が長引いているのか
…?』
『仕事をゼンゼンやってないけれど大丈夫か
…?』
テレビを見ながらそんなことを考えたり…。
そうこうしているうちに、夜に寝れてない分、
昼寝をしてしまったり…。
そのうち夜になる。
朝と夕方、IBD専門の医師(以下IBD医師)
が様子伺いに来る。
喉の痛みが引かないので、うがい薬を処方し
てもらうことになった。
喉のうがい薬といえばイソジンくらいしか知
らなかったが、アズノールという炎症を抑え
るうがい薬が処方された。
ボクはうがい薬が届いてすぐにうがいをした。
正直、効いているのかどうかは最初だからわ
からない。
でも、効くのだろうと信じて一回目のうがい
をしてみた。
夜のご飯前にうがい。
後は、20時のエレンタールを準備する際に寝
る前のうがいだ。
プレドニン、そして炎症を抑えるうがい薬。
これで喉の潰瘍が無くなってくれたなら嬉し
いのだが…。
火曜日に入院して土曜日に退院する予定で、
プレドニンの処方は3日分。
木曜日の夜には無くなる計算だ。
IBD医師は、今週いっぱいザイボックスとい
う抗生剤の点滴をして、プレドニンを飲んで
退院後は、点滴じゃなくても良い抗生剤のを
処方するとのことだった。
それまでに、喉の潰瘍を無くしたい。
ボクはそう強く思っていたのである。
ーつづくー
ヒロ田