第135話 ストーマ決断後インスタントラーメンが食べたくなる

第135話 ストーマ決断後インスタントラーメンが食べたくなる

人工肛門(ストーマ)にする!

そう決めたら、気持ちが楽になってきた。

どうせなら早く人工肛門(ストーマ)にした

い!

そんな気持ちも強くなってきた。

だが、入院は二週間後だ。

早く入院したくても、ベッドに空きがないの

だから仕方がない。

ボクは入院するまでの間、人工肛門について

予習することにした。

ほとんどのことは、人工肛門にすると決断す

る前に知り得た情報だったが、何度も読み返

すことで、入院した時、WOC(ウォック)

の看護師さんに確認しておきたい内容が絞れ

てきた。

・肌荒れしやすいが大丈夫か…?

・他人がボクの近くに寄ってきた時に臭わな

いか…?

・イレオストミー用のパウチ(袋)を必ず

使用しなければいけないのか…?

人工肛門、人工膀胱のことをオストミーとい

うようだ。

その中でも、結腸ストーマはコロストミー、

回腸ストーマをイレオストミーと分けられる。

ボクは、大腸全摘するので回腸ストーマのイ

レオストミーになる。

ストーマの装具も単品系(ワンピース)、二

品系(ツーピース)の二種類があり、その中

でもコロストミー用とイレオストミー用が別

々にある。

イレオストミー(回腸ストーマ)は、大腸が

無いので吸収されず便が出てくるため水様便

が出るようだ。

ストーマの袋(パウチ)を処理する回数も一

日に7~10回くらいだということが調べてわ

かってきた。

一日に40回以上トイレに行ってるボクからす

ると、10回なんていうのは幸せだ。

その処理する回数に抵抗はない。

ただ、イレオストミーは水様便が出るからな

のか、パウチ(袋)がコロストミー用と違い、

ずいぶん大きいのだ。

『これをぶら下げるのはけっこう抵抗あるな

…』

ボクはストーマをつけた時のイメージをして

いた。

『あまり大きいパウチ(袋)だと量が溜まる

分、膨らんで目立ちそうだな…』

『できれば便を処理する回数が増えてもコロ

ストミー用のパウチ(袋)がいいな…』

手術前にWOC(ウォック)の看護師さんに聞

いておきたいことの一つだ。

ストーマ(人工肛門)にすると決めても、相

変わらずトイレの回数は40回以上行っている。

さすがにこんな毎日が長く続いていると精神

的に参ってくる。

ただただ入院する日だけをイメージして…。

入院して手術をすれば今の状況からは解放さ

れるんだ…。

そう考えながら心を落ち着かせていた。

その一方で、ストーマ(人工肛門)にすると

決め、入院が決まってホッとしたのか、食欲

が出てきた。

しかも、食べたいと思うものは全てクローン

病にとって良くないと言われてる食べ物ばか

りだ。

一番食べたかったのが、インスタントラーメ

ンのみそ味。

調理中に割った玉子を入れ、その玉子を崩し

てグチャグチャにし、沸騰して固まるのを待

つ。

これがいい。

溶き玉子ではダメだ。

味噌ラーメンを調理中の鍋に直接入れてから

かき混ぜることで白身の多い部分があったり、

黄身の多い部分があったりするのがいいのだ。

溶き玉子だとキレイになりすぎる。

まぁ、どうでもいい話だが…。

『ストーマ(人工肛門)にするんだし…』

『もう大腸も無くなっちゃうんだから、エレ

ンタールだけじゃあね…』

そうやって罪悪感を無くすよう、自分に言い

聞かせラーメンをすすった。

『うわぁ~、この味だ…』

懐かしい味だった。

健康的な食事…

なんてことはもう頭になかった。

身体が食べたいと思うもの。

それを入院するまで食べよう。

そう考えたのだ。

しかし、食べ始めて三日もすると、体調が悪

くなり、再び絶食生活に戻る。

エレンタールだけで生活していたのだが、好

きなものを食べていた罰があたったのか、大

腸が怒り出してきたのかわからないが、入院

一週間前に体調が一気に悪くなってきた。

立ってるのも辛くなってきたのだ。

仕事に行く準備も面倒で、横になっては少し

回復したら準備、そしてまた横になり、ちょ

っと良くなっては準備…。

入院まであと一週間というのが長い。

しかし、仕事が残っている。

3月23日に入院することで、4月以降の仕事は

入れていない。

だが、3月23日までに終わらせなければいけ

ない仕事が、入院前日の22日まで残っている。

『何とか終わらせなければ…』

フラフラになりながら仕事に行く。

帰ってきたらベッドで横になる。

それでも便意は容赦なくやってくる。

トイレに行くのも面倒だ。

それくらい衰弱していた。

漏れたら大変だから仕方なく行ってはいたが

…。

さらに、トイレの回数が多すぎで、しかもオ

ムツに漏らす回数も多いから、肛門周りの皮

膚がただれて酷かった。

肛門科で処方された塗り薬も、つけてすぐ漏

れてくるから効果が薄れてしまう。

ドラッグストアでベビーパウダーを購入し、

それも使用しながらなんとか凌いでいた。

2016年3月22日。

いよいよ明日は入院だ。

一ヶ月くらいは入院すると思うので、下着や

入院に必要なものを少し多めに購入する。

もう、ほぼボクの思考は停止している。

帰って寝たい。

ただそれだけだった。

これがもう少し長く続いたら死ぬんじゃない

か…?

そう思ってしまうくらい衰弱していた。

とにかく明日入院できる。

『早く入院したい…』

そう考えながら早めに就寝したのである。

ーつづくー

ヒロ田

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