2016年3月23日
入院する朝がきた。
寝ても寝ても眠たい朝だ。
というのも、1時間~1時間30分に1回はトイ
レに起きる。
トイレ行かないにしても『漏らしたらどうし
ようか…』ということが気になって、すぐに
目が覚めてしまうのだ。
昨夜はいつもより目が覚めた。
入院する緊張からではない。
入院して、寝てる時にお漏らしでもしたらど
うなるのか…?
そんなことが気になって寝つけなかったのだ。
気にしてもどうしようもないことなのだが…。
身体はとにかく怠い。
『一刻も早く入院したい!』
そんな気持ちでいっぱいだった。
とは言っても早い時間に行ったところで入院
できるわけではない。
はやる気持ちを抑え、シャワーを浴びる。
そして忘れ物がないか再度チェックする。
都心から郊外へと引っ越したため、利便性は
若干悪くなった。
移動手段もバスになる。
だが、この状態でバス移動は厳しい。
移動中にお漏らしするかもしれないし…。
いや、絶対お漏らしはする。
そのため、この日は両親に車で送ってもらう
ことにした。
入院は10時の予定だったが、はやる気持ちを
抑えていたにもかかわらず、30分前に着いて
しまった。
父親が荷物を持っていくと言ってくれたが、
自分で行くから大丈夫だと伝え、病院の入り
口前で降ろしてもらう。
そのまま入院受付に行き手続をする。
入院受付「ヒロ田さん、病室まで自分で行け
ますか?」
ヒロ田「はい、大丈夫です。自分で行きます
ので…」
入院受付「ではナースステーションに行って
ヒロ田さんの名前を伝えていただければわか
るよになってますのでお願いします」
ヒロ田「わかりました」
『よし、これでナースステーションまでいけ
ば入院だ!』
そう思っていたが、そのナースステーション
までが遠い…。
『あー、父親が荷物持っていくって言った時、
素直にお願いしとけばよかった…』
『受付で、自分ではいけないくらい衰弱して
ますと伝えれば良かった…』
そんな後悔をしながらゆっくり歩く。
しばらく歩いてエレベーターに乗って、降り
て歩いて…。
ナースステーションが見えてきた。
ヒロ田「ヒロ田です」
看護師「あっ、ヒロ田さんですね。それじゃ
一緒に病室まで行きましょう」
病室に着いて病衣に着替えて、持ってきた荷
物を整理する。
そして看護師さんが来るのを待つ。
いつもの入院と同じだ。
看護師「早速、点滴打つんですけど、その前
に身長と体重を測りに行きましょうか」
ナースステーション前までまた歩く。
さすがにフラフラだ。
看護師「今日、午後から心電図とレントゲン
がありますけど、自分で行けそうですか?」
ヒロ田「けっこう歩きますか?」
看護師「検査室が1Fなんですよー。なので
けっこう歩きますね」
ヒロ田「あー、それなら厳しいかもです。さ
っき受付から歩いてきたんですけど、フラフ
ラになりました。自分では余裕だと思ってた
んですけどねー…」
看護師「あー、それなら車イスで行ったほう
がいいですねー。呼ばれたら車イスで迎えに
来ます」
ヒロ田「わかりました。お願いします」
とりあえずは心電図とレントゲンだ。
後は手術までの間、どんな検査があるのだろ
か…。
『大腸カメラは絶対あるだろうな…』
『それ以外は何かやるのだろうか…』
『意外と検査は大腸カメラだけで、すぐ手術
になったりして…』
早く手術してほしいと思っていたボクは、お
およその手術日を自分で考えていた。
早く手術できれば、この異常に多いトイレの
回数、そしてお漏らしとおさらばできる。
それに手術をすれば食べれるようになる。
もちろん今は体調不良で食欲はないが…。
ボクは退屈しないようにとパソコン、そして
kindleを持ってきていた。
kindleにはとりあえず10冊ダウンロードして
ある。
だが、手術のことが気になってパソコンも
kindleも開きたくない。
気になってるのは、手術が不安で…というこ
とではない。
手術日がいつか…?というのが気になって他
のことが集中できなくなっていたのだ。
とは言ってもまだ一日目だ。
いきなり『手術はいつですか?』と聞いても
『まだわからない』という答えが返ってくる
だろう。
そんなことを考えていると、助手さんが車イ
スで迎えに来た。
何だか車イスに乗って押してもらうってのも
申し訳ない気もしたが、怠くて歩けないのだ
から甘えさせてもらおう…。
心電図とレントゲンはあっという間に終わり。
もう一日目の検査はない。
せっかちなボクは、もっと検査を詰め込んで
くれても良いと思うのだが、そうもいかない
のだろうね…。
怠くてテレビを見ながら、横になってるしか
ない。
入院して横になっていても、容赦なくヤツは
やってくる。
便意だ。
家にいた時と同じように1時間3~4回トイレ
に向かう。
病室→トイレを行ったり来たり…。
『この便意を早く無くしたい…』
便意なんかなくていい。
ホントそう思ってしまうくらい大変だった。
夜になり、主治医が同じチームの医師を引き
連れ病室に来た。
主治医「どうだい?」
ヒロ田「いやー、もうトイレの回数が多くて
キツイですねー」
主治医「そっかー。まず手術に向けて検査と
かやっていこう。明日はとりあえずエコーと
CT撮ってもらうわー」
ヒロ田「わかりました。お願いします」
こうして入院一日目の夜が過ぎていったので
ある。
ーつづくー
ヒロ田