第150話 ストーマ手術のための入院十八日目は再びIVHの提案

第150話 ストーマ手術のための入院十八日目は再びIVHの提案

消化器外科の本田先生と話し終えた後、ボクは病室へと戻り、父親はそのまま帰路に

つく。

病室について時計を見ると11時30分だった。

病室を出てから戻ってくるまで1時間20分てところか…。

この後の予定は何もない。

またテレビを見ながらボーッとする時間だ。

時に外科医の先生が話した内容を振り返ったりする。

『しかし肛門くり抜くって表現にはビックリしたな…』

『まぁ、手術では切ったりとかではなく、本当にくり抜くからそう言ったのだろう

けど…』

『だけど言われた直後は一瞬くり抜いたままだとどうなるのか…と真面目に想像して

しまったな…』

『勃起障害や射精障害が起こるかも…とも言ってたな』

『ホントそうなったら淋しいもんだ…』

『でもストーマになることを決めた時点で女性とお付き合いするとか、また結婚する

なんてことは自分の頭の中から無くしたんだよな…』

『だからもし障害が起きてもいいんじゃないのか…?』

『今も体調不良で障害が起きてるようなもんだ』

『性欲というものがまったく無いもんな…』

テレビを見ながらそんなことを思ったりする。

【肛門をくり抜く、性機能障害…】

ボクにとっては衝撃的な言葉だったのだろう。

この日は一日中その言葉が頭の中を行ったり来たりしていた。

2016年4月9日土曜日、入院十八日目の朝を迎えた。

今日も予定は何もない。IBDチームの医師が回診に来るくらいだ。

9時頃、IBDチームの木村先生が来た。

木村先生「ヒロ田さんどうですか?」

ヒロ田「いやー、もう早く手術したい気持ちです。トイレの回数が多くて…」

木村先生「ですよねー。あっ、昨日外科の先生から手術の話聞きました?」

ヒロ田「あっ、聞きました。肛門くり抜くって言われたときはちょっとビックリ

しましたけど…。それで手術は4月21日を予定していると言ってましたね」

木村先生「そうですね、ちょっとまだ少し先ですけど、とりあえず手術予定が

決まって一安心です。それで先日IVHのカテーテル感染で、熱が出ちゃったから

IVHやらないで点滴をしていたんですけど、やっぱり手術ギリギリまでIVHで高カロリー

の点滴をしたほうがいいだろうってことになったんです」

ヒロ田「えっ?またIVHやるんですか?」

木村先生「そうなんです」

ヒロ田「いやー、もうここまできたらやらなくていいんじゃないですか?また感染して

熱出ちゃったら手術延びちゃうじゃないですかー」

木村先生「そうなんですよねー。ただ、やっぱり今の栄養状態だとちょっと心配なんですよ。

大手術なので…」

ヒロ田「えっ?大手術になるんですか?ストーマ手術って…」

木村先生「大手術ですよー。なので少しでも体力つけておいてもらわないと、治りが

遅かったりしますので…」

ヒロ田「そうですかー。ボクは感染する恐れがあるようなことは、これ以上したくないと

思っていたんですけどね…。それで、やるとしたらどこにカテーテル入れます?また鎖骨下

ですか?」

木村先生「いえ、鎖骨下は止めてピックにしようかと思ってます」

ヒロ田「えっ?ピックって?」

木村先生「あっ、腕のところからやっていこうかなーと思ってます」

ヒロ田「腕で大丈夫ですかね?血管出ないから看護師さんも大変な思いしてますよ」

木村先生「あー、血管は目視でやるんじゃなく、透視しながらやっていくのでおそらく

大丈夫だと思います」

ヒロ田「そうなんですね。それでいつやりますか?」

木村先生「今日はできないので来週の月曜日にしようと思います。まだ時間わからないん

ですけど、おそらく午後からになってしまうと思いますけど」

ヒロ田「わかりました」

『またカテーテル入れるのか…。大丈夫か…?』

IVHと言えば、つい先日感染症で熱を出したばかりだ。

できれば何もせず普通の点滴で手術日まで過ごしたいのだが、体力をつけないと…と

採血結果を見せられて言われたら返す言葉もない。

その4月9日の朝に採血した結果はこんな感じだ。

白血球数→2.1L ヘモグロビン→8.5L 血清総蛋白→6.3L S-アルブミン→2.2L

CRP→3.87H…。と数字が良くない。

栄養状態は、血清総蛋白とS‐アルブミンで見るようだが相当悪いようだ。

カテーテルを入れることには気が進まないが、このままでは手術ができないと言わ

れたら入院が長引くだけだ。

ボクは医師の言葉通り来週の月曜日にIVHのカテーテルを入れることにしたのである。

ーつづくー

ヒロ田

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