第59話 手術後5日目に玉子と穴子のお寿司を食す

第59話 手術後5日目に玉子と穴子のお寿司を食す

実家で一泊二日過ごしたボクは、1月1日の夜

に自宅へと戻ってきた。

自宅に戻ってきて、親に頂いた食べ物を車

から降ろし、神社へと向かった。

初詣に行くために…。

初詣に行くようになったのは、10年くらい

前からで、その後10年間は行っていたよう

に記憶している。

きっかけは、よくあるカウントダウンイベン

トのようなものに初めて参加するも、人混み

が苦手だったボクは、わずか15分で退散。

このまま帰るのも…ということで、仲間と

初詣に行こうとなったのが最初のきっかけ。

ちなみにこの時はクローン病にはなっていな

い時だ。

その初詣も、24時を過ぎ、1月1日を迎えて

すぐくらいの時間だったから、これまた

人混みで凄かった。

しかし、せっかく来たのだからと寒い中

並んでお参りしたのである。

翌年もカウントダウンイベントはあったが、

それには参加せず、初詣だけ行くようにした。

しかし人混みが苦手なボクは、混んでる時間

を避けて行くようにした。

その後は、1月1日に行ければ行くし、行けな

ければ1月2日や3日に行ったこともある。

あまり初詣にこだわってはいないのだが、

1年の節目としてこの時は行っていたように

思う。

初詣に行くと、甘酒が飲みたくなる。

味噌おでんや、フランクフルト、焼きそば…

食べたいものばかりだ。

でも食べ物に一応気を遣っていたボクは、

甘酒だけで我慢した。

余談になるが、神社では【お願いごとをする】

人が多いと聞く。

もちろんボクもその一人だった。

でも、ある時からボクはそれをやめた。

神社は【お願いをするのではなく、感謝する

場所】だということを聞いたからだ。

確かに、人間は自分の都合の良いように神

頼みをする。

『あー、どうかお願いします』と…。

でも、感謝する場所と聞いてから、お願い

をせず感謝するようにした。

それが正しいのか?

間違っているのか?

は、正直わからない。

まぁ、自己満足であればどちらでも良いの

ではないかと個人的には思うが…。

こうして1月1日の夜は終わっていった。

明日からもやることがある。

今日はゆっくり寝よう…。

1月2日の朝が来た。

今年のお正月は、手術後ということもあって、

入院中お見舞いに来てくれた叔母さんの家に

も行く予定になっていた。

仕事で遠方に住んでいるいとこも帰省中だ。

この日、久々に叔母の家で会うことになって

いる。

昔は、夏休み、冬休みになると、よくお互い

の家に泊まって遊んでいたものだ。

それが社会人にもなると会う機会は減って

いく。

いとこに子供がいるとなれば尚更だ。

今回、ボクが手術で入院した時に、叔母が

お見舞いに来てくれた。

いとこも会いたがってるとのことで、お正月

に会おうということになったのだ。

ボクは、15時頃に行くと伝えている。

ボクの頭の中では15時頃に行き、夕食前に

帰ってくることをイメージした。

手術が終わった直後に何でも食べるわけには

いかない。

そのためボクは夕食時前に帰る予定にした

のだ。

ところが話は盛り上がる。

尽きることはない。

叔母さんが、お寿司なら食べれるか聞いて

きた。

ボクは、ご飯前に帰ると伝えたが、どちらに

してもお寿司を取るという。

お好みで作ってもらうから食べれるもの

選びなさいとのことでボクは、玉子や

アナゴなど生ではないお寿司をお願い

することにした。

もちろんサビ抜きで…。

夕食前に帰る予定でいたのだが、一転、

食べていくことになったのである。

久々の酢飯だ。

話は少し逸れるが、ボクはお寿司のネタで

まぐろが一番好きだ。

玉子はほとんど食べることはない。

しかし、この時に食べたお寿司は格別だった。

久しぶりにお寿司を食べたということもある

のだろう。

叔母の家で食べたお寿司は最高に美味しかっ

た。

その後も話しは尽きることなく盛り上がり、

時計を見ると19時になっていた。

帰る予定時間をかなりオーバーしてしまった。

淋しいけれど、叔母さんの家を後にする…。

お正月休みは、あと2日残っている。

友人や知人に会うことも考えたが、お正月

早々、会うのもどうかと思ったことと、

一ヶ月、仕事をしていなかったので、いろい

ろと仕事の準備をしたかったボクは、残りの

2日を自宅で仕事しながら過ごすことにした。

そんな中でも楽しみは食事だ。

お腹が空いたら何を食べようか?

いや、お腹が空く前から何を食べようか考え

るのも、これまた楽しい。

でも作るのが苦手なボクは、外食やコンビニ

弁当に頼るということもできたが、クローン病

には外食もコンビニ弁当も良くないと言われて

いる。

そのためボクはうどんや蕎麦、スパゲティなど

の麺類を購入し、自分で簡単にできるものを

食べることにした。

ただ、この時、気になることがあった。

トイレの回数が増えているのだ。

食べているからだとは思うけれど、

それにしても何だかちょっとおかしい。

トイレが終わっても、またトイレに

行きたくなる感じがする。

調子が悪くなってくると、こういうことが

良くある。

でもボクは手術をしたばかりだから、すぐに

調子が悪くならないのでは?と勝手に思って

いた。

トイレに行っても下痢をしているわけでは

ない。

ただ若干、便秘気味と言えばいいのだろうか?

だからボクは余計に『良くなる前兆か?』と

都合良く考えていた。

トイレの回数が増えてくると厄介なことに

痔ろうが悪化してくる。

トイレの回数増える=痔ろうが悪化。

そんな感じだ。

この時も痔ろうが悪化し、膿が溜まってきて

るのではないか?

そう思ってしまう症状だ。

ボクは、気になったので女性がつける生理用

のナプキンのようなものを下着につけ、膿が

出ても良いようにした。

良くなっていくのか…?

悪くなっているのか…?

ボクは手術をしたばかりで『悪くなって

いる…』とは考えたくなかった。

できれば良くなっていく兆候であってほしい。

『でも良くなっていくのに、こんな膿が

溜まりそうな感じになるのか…?』

ボクの頭の中は、期待と不安でいっぱい

だったのである。

ーつづくー

ヒロ田

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