えっ?こんなものまで痔ろうの穴から出てくるの?

えっ?こんなものまで痔ろうの穴から出てくるの?

睾丸の場所にできた痔ろう(睾丸につながっ

てる訳ではないが)から便が出てきたのには

少しショックを受けた。

だがショックを受けたのはこれだけでは

なかった。

ある時、トイレに行き用を足してから、

何気なく睾丸のところを確認した。

それは、また便が出てきたりしてないか?

という確認のためにだ。

すると、黄色っぽい色の膿のようなものが

見えているではないか。

『また便がここから出てきたのか…』

ボクは、トイレットペーパーで拭き取ること

にした。

けれど、なかなか拭き取れない。

『あれ?おかしいぞ?』

二度、三度と拭いてみた。

そうすると、拭き取れたわけではなく、少し

飛び出てきたような感じになったのだ。

『あれ?なんだコレは…?』

もう一度やってみる。

もう少し飛び出てきた。

『えっ?これ膿じゃないのか?』

ボクは、なかなか拭き取れない何かを確認

するために、いつも携帯している手鏡で

チェックすることにした。

肛門付近にできた痔ろうであれば、ここまで

気にすることもなかった。

ところが、睾丸のところに痔ろうの穴ができ

てからは、容易に見れるようになったことと、

睾丸のところからも便が出てくるようになっ

ていたため、気になって仕方なかったのだ。

ボクは手鏡で確認しながら、その突起物を

掴むような感じで持ち、少し引っ張ってみ

ると、また少し飛び出てきた。

ボクは、その飛び出てきたものを引っ張って

抜いてみることにした。

そして引っ張ってみると、スポッと簡単に

抜けたと同時に、じんわりと睾丸のところに

できた痔ろうの穴から膿が出てきた。

ボクは、あわててトイレットペーパーで押さ

える。

『抜けてきたのは何だ?』

ボクは、恐る恐るトイレットペーパーを広げ、

確認してみた。

直径は3mmくらいか…?

長さ2cmくらいだろうか…。

トイレットペーパーでその物体を掴みながら、

固さを確認してみる。

固すぎず柔らかすぎずだ。

『これ、いったいなんだ…?』

ボクは、しばらく考えた。

『えっ…?もしかしてコレ昨日食べた弁当の

紅ショウガじゃないか…?』

昨日のことを振り返ったのだが思い当たるの

はそれしかない。

なんと小さな痔ろうの穴、しかも睾丸のとこ

ろにできた痔ろうの穴から直径約3mm、

長さ約2cmの紅ショウガが出てきたのだ…。

『こんなことってあるの…?』

ボクは痔ろうの穴から紅ショウガが出てきた

ショックでしばらく動けなかったのである。

その他にもリアルな話をすると、痔ろうの穴

から出てきたものは他にもある。

もちろん、その日だけではなく今までのトー

タルでということだが…。

例えば、ゴマ、ネギ、ニンジン…。

あと、粒マスタードもあった。

こういった消化のしないものは出てくる。

その他、普通の人にとっては良いとされて

いるが、クローン病の人にとっては要注意の

食べ物が食物繊維。

痔ろうがあると、その痔ろうの穴から出てきたりする。

ボクはそれ以来、ゴマやネギ、キャベツや

ショウガ、野菜類など食べないようにした。

もちろん、体調が良く普通便であれば問題

無いと思うが、下痢をしている時は避けた

ほうが良い食べ物だ。

例えば、蕎麦を食べるのであれば、かき揚げ

蕎麦などは食べないし、ネギも入れて食べる

こともしない。

蕎麦と玉子くらいにしておく。

トウモロコシなんて言ったら最悪だろうね。

きっとそのまま出てくる。

そのまま消化せずに出てきそうなものは

食べないようにする。

あと、きのこも消化しないようだから食べ

ないようにした。

それ以外には、痔ろうの穴から出てきたわけ

ではないが、キャベツやレタスなんていうの

は、噛んで飲みこんだままの状態で出てきた

りするからコレも良い気はしない。

さすがにそういった大きいものは痔ろうの穴

からは出てこないのだろうけれど、痔ろうの

穴から出てきそうなものは、ほとんどが出て

くると思っていたほうがいい。

紅ショウガやニンジンなどが痔ろうの穴に

詰まっていたことを考えると、不安になった

ことが1つある。

それは、もし痔ろうの穴より少し大きいもの

が痔ろうの穴を塞いでしまったら、膿が溜ま

るいっぽうで再び膨れ上がり、痛みを増して

いくのではないのか?

もしくは行き場の無くなった膿が新たな痔ろ

うの道を作り出すのでは…?

そんな不安を抱えたのである。

そう考えると、だんだん食べるのが怖くなっ

てきた。

『やはりここは絶食してエレンタールで栄養

摂取するのが一番だ』

そこで絶食してエレンタールにする。

固形物を食べないことで、少しでも痔ろうの

悪化を抑えたい。

その気持ちで絶食をしたのだから、身体が楽

になることを考えると、絶食も苦ではない。

ところが、いつもはエレンタールだけにすれ

ばトイレの回数は減ってくるのだが、今回は

なぜかトイレの回数が減らない。

『久々のエレンタールだからか?』

エレンタールも副作用で腹痛があったり、

下痢をしたりするとも言われている。

『そのせいなのだろうか…?』

気にしながらも続けていると若干、トイレの

回数は減ってくるのだが、今度は水下痢のよ

うになり、痔ろうの穴から水下痢が出てくる

ようになる。

これには参った。

睾丸の所にできた痔ろうの穴から出てくるも

のだから、皮膚が慣れてないのだろう。

そこから便が出てくるとヒリヒリ痛むのだ。

結局、それが辛いから今度はエレンタールを

避けるようになる。

そうすると栄養が取れなくなるから、何か食

べなきゃいけないなとなり食事をする。

こんなことの繰り返しだった約15年の

痔ろう生活。

そんな痔ろう生活も2016年4月28日、

ストーマ(人工肛門)になったことで

終わりを迎えたのである。

ヒロ田

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