第113話 新しい医師との出会い

第113話 新しい医師との出会い

ボクは、前主治医からT先生という医師を紹

介してもらい、その医師と初めて会うことと

なった。

病院は、前主治医のいる病院よりも大きい

病院だ。

正直、大きすぎる病院というのは苦手だ。

特に根拠も何もない。

ただ、ボクは人ごみが苦手なので、大きい病

院=大人数がいるというイメージが強く、何

となく行くのが面倒になってしまう。

だが、行かないことには始まらない。

車を走らせ病院の駐車場へ。

もう駐車場からして広すぎだ。

何だか嫌だなーと思いながらも、車を停め病

院へと向かった。

『何から言い出せばいいか?』

『先生は何から聞いてくるのだろうか?』

『忙しくて、大した人の話を聞かないのでは

ないか?』

いろんなことを想像しながら受付へと向かう。

ボクは病院に来る前から決めていた。

もし嫌な感じの先生だったら、また前主治医

に相談しようと。

『一度診てもらってから何かあれば…』と言

ってたし…。

受付に行き、紹介されてきたこと、そして預

かっている封筒(紹介状とデータ等が入って

るように思われる)を渡した。

中身を確認している間、受付票に記入する。

これが意外に面倒だ。

しばらく待っていると、診察券ができ、

書類を渡され診察室前で待ってるよう伝えら

れる。

15時30分からの診察時間で、受付は15時頃

に済ませた。

ボクは、簡単にわかりやすく説明できるよう、

頭の中を整理した。

どんな先生かわからないけれど、とにかく

ヒュミラやプレドニンは使いたくないという

ことを伝えないと…。

時計を見ると16時になっていた。

『おいおい呼ばれるのか本当に…?』

『周りはどんどん人がいなくなっていくぞ…

?』

待合室から、どんどん人が減っていき心配に

なってきた。

そんなことを察知してか、看護師さんがボク

のところにやってくる。

「ヒロ田さん、すいませんね、先生が検査で

少し遅くなってて、もう少し待っててくださ

い」

幸いなことに、何時に終わるかわからなかっ

たので、この後の予定は入れてない。

何時まででも待つ。

そんなことより、きちんと対応してくれるの

かどうかだけが心配だった。

「ヒロ田さん、ヒロ田さん、診察室へどうぞ」

16時30分近く、医師から呼ばれた。

新主治医「いや~遅くなってすいません」

ヒロ田「いえ、大丈夫です。よろしくお願い

します」

新主治医は、ボクと同じくらいの年齢と思わ

れる。

新主治医「ボクねー、ヒロ田さんが最初に入

院したころ知ってるんですよ。ただ、ずっと

いたわけじゃないし詳細まで覚えてないから

データ見ながらいろいろ聞いていきますね」

ヒロ田「お願いします」

新主治医「とりあえず身長と体重教えてもら

っていいかな?」

そんな感じで、身長、体重に始まり、日常生

活のことなどいろいろ聞いてきた。

タバコは吸うのか?

お酒は飲むのか?

トイレの回数は?

など…。

どのタイミングでヒュミラの件とか言おうか

…。

そればかりが気になっていた。

新主治医が発症した時のことなどを聞いてき

た。

その流れでレミケードを使ってアナフィラキ

シーショックになったこと、狭窄になり、大

腸のバイパス手術(腹腔鏡)を受けたことな

ど、経過を簡単に説明した。

あとは、病院を変えた理由を伝えたい。

ヒロ田「あの、それで今回先生を紹介しても

らったのは、今まで診てもらったIBDセンタ

ーの先生を信じれなくなったからです」

そう伝え、ボクは副作用のことなどを話した。

新主治医が忙しく、時間が無いと困るので、

なるべく簡単にわかりやすく、そして早い時

間で伝えられるように予め考えておいた。

新主治医「あー、あの先生はIBDの先生の中

では今注目されてるよねー」

ヒロ田「でも、人の考えを聞いてくれないと

いうか、これじゃなきゃダメだという感じで

言ってくるので、ボクはちょっとダメでした

ね」

新主治医「あー、まぁ、それなりに地位のあ

る先生だからねー…。それに今の治療法とし

ては、やっぱりレミケードやヒュミラで治療

するというのが主流になってるんだよねー」

「昔と違って、絶食をずっとしながら生活を

するという考えではなく、レミケードやヒュ

ミラで炎症を抑えて食べれるようにしていく

という考え方」

『あれ?この先生も今の治療法というものを

押しつけてくる先生なのか?』

ボクは、話を聞きながら疑問符がついてきた。

確かに食べれたほうがいい。

でも、食べれるようにするために、炎症を抑

える強い薬を使うならボクは少し考えたい。

いや、副作用が出ないならレミケードやヒュ

ミラを使ってもいい。

でもボクにこの2つは合わないようだ。

だからこそ、それを使わない治療が良いと考

えている。

『新主治医も今の治療法というものを勧めて

くる人なのか?』

話を聞いてて不安になってきた。

でも、そう思ってたのはボクの間違いだった

ということに後で気づく。

新主治医「ところで、ヒロ田さんはどういう

治療を望んでるの?」

ヒロ田「レミケードやヒュミラが問題ないの

であれば、それを使っての治療も良いと思い

ます。でも、レミケードもヒュミラも副作用

が出た以上、使わないで治療したいんです。

それを使って副作用が出るくらいなら、エレ

ンタールや高カロリーの点滴で生活したほう

がいいです」

新主治医「ただねー、絶食だとかなり厳しい

と思うんだよねー。やっぱり食べないで生活

っていうのは年齢的にも無理があるんじゃな

いかなーって思ってるんだけど、どう?」

ヒロ田「確かに食べれるのであれば食べたい

ですけど、狭窄とかになって手術をするくら

いなら、絶食をして手術しなくて良い方法を

選びたいです。今も調子が悪くなってきてる

ので、例えばエレンタールを止めて高カロリ

ーの点滴でしばらく生活するとか…」

新主治医「高カロリーの点滴ねー。確かにし

ばらくやってるとかなり良くはなってくると

思う。一回それでやってってみる?」

ヒロ田「そうですね、それでお願いします」

新主治医「ちょっと今日は準備できないけれ

ど、どっちにしても採血とかしたいから、も

う一回来れる日ある?」

ヒロ田「はい、大丈夫です」

こうしてボクは、次回の診察日を二週間後に

決めて再度来ることにしたのである。

ーつづくー

ヒロ田

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