第133話 トイレに行く回数が一日40回以上になってきた

第133話 トイレに行く回数が一日40回以上になってきた

体調不良になり、いや正確にはトイレの回数

が増えて、お漏らしをする可能性が高くなっ

たと言ったほうが良いな…。

そんな状態になってから、ほとんどの人と疎

遠になっていった。

孤独という言葉がピッタリだ。

しかし、悲観的な気持ちにはならなかった。

むしろ、トイレのことを気にしたり、お漏ら

しを気にしながら人と会うよりは、孤独なほ

うが楽だった。

そんな状況になって数ヶ月が経ち、ボクは都

心から郊外へと引越しを決めた。

今までは都心が良いと思っていたのに…。

『便利なところの方が絶対に良い』と…。

だが孤独になってからは、住む場所はどこで

も良くなってきた。

というよりも、頑張って働いて体調を崩した

りするより、最低限の収入で自宅でゆっくり

できるほうが良いと考えた。

『人工肛門になんか絶対になりたくないし…』

ボクは、収入よりものんびり暮らせるほうを

選んだのだ。

引っ越してからは、仕事と自宅を行き来する

日々を過ごした。

MRIポートは抜去したので、高カロリーの点

滴はできない。

なので体調が悪い時はエレンタールで過ごす。

引っ越してからはエレンタールで過ごすこと

が多かった。

本当はずっとエレンタールで過ごせば良いの

だけど、体調が良くなってくると食べたい衝

動にかられ、それでも数日は我慢するのだが、

どこかのタイミングでプツンと糸が切れる。

こうなると食べずにはいられない。

『しばらく絶食してるから雑炊からか…?』

『いや、煮込んだうどんでもいいかもな…』

『普通のご飯でも良く噛めばいいんじゃない

か…?』

そんなことを考え、食べる気満々なのである。

結局、雑炊か煮込んだうどんから食べていく。

食べるとさすがにエレンタールと違い、トイ

レの回数は一日15回くらい行くことになるの

だが、それもだんだんとトイレ通いも慣れて

きた。

お漏らし防止用でオムツは穿いているものの

人と会うこともなく、外出することもないか

ら、トイレのこともあまり気にならなくなっ

てきた。

仕事で外出している時は気になってしまうが

…。

それでも一人で仕事しているので、外に出て

仕事をしていても、トイレに行きたくなった

ら気軽に行くことができたので、まだ気持ち

には余裕があった。

トイレの場所を把握しておくことは必要だけ

ど…。

そんな毎日を過ごしていたある日。

徐々に体調が悪化していった。

トイレの回数が増えてきたのだ。

一日12~15回くらいだったトイレも15~

20回と多くなってきた。

こうなると、トイレまで間に合わずお漏らし

することも多くなってきた。

『こりゃーまずい。絶食しなければ…』

いつものパターンだ。

トイレの回数が増えてきたら絶食に切り替え

る。

ちょっと良くなってきたら食べてみる。

そんなことの繰り返し。

だが、今回は違っていた。

エレンタールだけにしているのに、トイレの

回数は変わらないのだ。

ほんの少量しか出ないのに、便意を催すから

トイレに駆け込む。

『あれ、何だかおかしいな。いつもと違うぞ』

ボクは、いつもとの違いに少し戸惑っていた。

それでもエレンタールは続けてみる。

あまり変わらない…。

『これなら食べてても同じじゃないか…?』

『結局エレンタールだけにしてもトイレの回

数は変わらないんだから…』

そしてまた食べてみる。

こんなことを繰り返して、時は2015年12月

になっていた。

冬で気温が低いからだろうか。

この頃から少し寒気がするようになってきた。

夜寝る時には湯たんぽが必要だった。

だんだんとトイレの回数も増えてきた。

一日15~20回だったトイレの回数も、20~

25回と増えていった。

2016年1月1日を迎える。

前の日は【大晦日】だから…という理由で、

ビールを2缶飲んだ。

いつもは美味しいと感じるビールも、あんま

り美味しいと感じない。

他にはおせち料理、生寿司をいただいた。

そんなものを飲んで食べて良いわけがない。

体調は悪くなる一方だ。

ボクは1月4日に再び完全絶食をスタートした。

仕事から帰ってきたら、エレンタールを鼻チ

ューで始め、身体に良いと言われる食べ物や

飲み物を調べる。

『ココアは冷え性改善や、炎症を抑える効果

があるのか…。クローン病の炎症にも効いて

くれないかな…』

そう考えてはココアを飲んでみたり…。

『オリゴ糖がいいのか…』

『あっ、乳酸菌もいいのか…』

クローン病に良いとかではなく、一般的に

体に良いと言われてるものを摂取してみよう

と考えた。

『絶食してるけど、ヨーグルトならいいんじ

ゃないか…』

『バナナもいいらしいな…』

『それなら体に良いと言われてる野菜や果物

でジュースを作るか…』

そんなことを思い、チャレンジしてみる。

だが、手遅れだったのだろう。

既に栄養素を吸収できない身体になっていた。

この時点でトイレの回数は、なんと一日40回

以上になっていた。

一時間に3回以上トイレに行く計算だ。

もう、こうなるとトイレは間に合わない。

酷い時は、トイレで用を足し終え、トイレか

ら出た瞬間にお漏らし…。

もう便意を感じると同時に出てしまう状態だ。

水様便だから気にしなければいけないのは、

オムツの内股ギャザーからの漏れだ。

オムツの中に快適パッドをつけ、その上にト

イレットペーパーを何枚か敷き、オムツの上

からボクサータイプのブリーフパンツ、その

上にロングボクサーブリーフパンツと言って

膝近くまでくるボクサータイプのパンツ、更

に冬なのでタイツを穿く。

ボクの頭の中は、漏れないようにすること、

そしてこの状況から、どうやって体調を良く

していくか…?

そんなことで頭がいっぱいだったのである。

ーつづくー

ヒロ田

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