第115話 薬局の人に輸液剤を運んでもらい中心静脈栄養スタート

第115話 薬局の人に輸液剤を運んでもらい中心静脈栄養スタート

院外薬局にFAXするため、一緒に看護師さん

と歩いていると、こう聞いてきた。

看護師「ヒロ田さん、針を刺したのは確認で

きたので良いんですけど、輸液剤につなぐや

り方とか機械にセットするのは大丈夫ですか

?」

ヒロ田「はい、大丈夫です。覚えてますので」

看護師「なんか、自分の目で確認できてない

から気になります…」

ボクが大丈夫だと言ってるのに、どうやら

信用してくれてないようだ…。

無理もない。

今日初めて会った看護師さんなのだから…。

しばらく歩くとFAXの場所に着いた。

看護師「いま一緒に処方箋を薬局にFAXする

んですけど、今度からヒロ田さんが自分でや

ることになるので、覚えてくださいね」

ヒロ田「わかりました」

看護師「薬局どこか指定するところあります

か?」

ヒロ田「いえ、無いのでどこでもいいです」

看護師「それじゃヒロ田さんの自宅近くで、

配達してくれる薬局にしますね」

ヒロ田「はい、お願いします」

「しかし配達してくれるって有難いですね」

看護師「全部の薬局じゃないけど、そういう

サービスをしてくれる薬局もあるんです」

ヒロ田「それはメチャクチャ助かります。

運ぶのが大変ですからねー」

運んでくれる薬局があるのはホント有難い。

体調は少し悪いが気持ちは一気に明るくなっ

た。

処方された輸液剤は1,000ml。

本当は、2,000mlの点滴が欲しかった。

なぜなら、ちょっと栄養を過剰なくらい摂取

して太りたかったからだ。

だったら思いっきり食べ過ぎればいいんじゃ

ないか?

最初の頃そう思っていた。

ところが、クローン病だから食べたら食べた

分でてくる。

結果トイレの回数が増え、余計に悪化すると

いう事態だ。

エレンタールも多くのカロリーを摂ってみよ

うと何度か試みたが、トイレの回数が増える

だけだった。

今回、病院を変えたのをきっかけにエレンタ

ールではなく、高カロリーの点滴を処方して

もらうようお願いした。

新主治医(以後、主治医)も、「点滴で良く

なるかなー?」と半信半疑のようだったけれ

ど、とりあえずボクの主張を受けれてくれた。

ただ、2,000mlを摂取するとなると24時間必

要だと主治医が言う。

以前のボクは、2,000mlでも1時間に200ml

落としたりして10時間で点滴をやっていた。

でも、さすがにそれはオススメできないとの

ことで、早くやっても1時間に100mlが限界

だという。

そのため処方するのは1,000mlの輸液にする

とのことだった。

ボクもわがままを言っているのだから、それ

は受け入れようとOKした。

まずはカロリーを摂取しないと…。

ボクは、先ほどFAXした薬局の人と電話で話

をし、持ってきてもらう時間を約束した。

持ってきてもらってわかったのだが2,000ml

も1,000mlも箱に入っている重さは同じだっ

たということだ。

2,000mlの時は五袋入って一箱だった。

1,000mlも五袋入って…と思っていたのだが、

十袋入って一箱で、結局は同じ10kgが一箱に

入っている。

まぁ、そんなのは良いとして今日から高カロ

リー点滴のスタートだ。

久々だから面倒だけれど、今日は病院で看護

師さんが見てる前で針を刺したから既に針は

刺さっている。

後は、点滴をつなげるだけだ。

たぶん、自宅で針を刺すことになっていたら

『明日からでいっかー』となってたかもしれ

ない…。

ボクは普通にご飯を食べて、少しテレビを見

たりして休んだ後、高カロリー点滴の準備を

してスタートさせた。

点滴のチューブに空気が入ってないか?

ポートに針を刺したが、そこに生食を入れた

か?

久々だったから、いつもよりちょっぴり緊張

しながら何度も確認してスタートさせた。

こうしてボクは、久々に高カロリー点滴を

スタートさせたのだが、一つ心配事があった。

それは、一回針を刺したら一週間使用すると

いう点だ。

今までは、夜、点滴する時に刺して朝終わっ

た時に針を抜く。

そして、また夜になって針を刺す。

その繰り返しだった。

その話をした時、主治医がこう言った。

「いや~、それだとさー皮膚がボロボロにな

っていかないかい?」

確かにそうだった。

今まで高カロリーの点滴をする時は、最高で

二週間。

その理由は、極力、腸を動かしたほうがいい

とのことで、高カロリーの点滴を出してもら

うのは二週間だけで、それ以降はエレンター

ルで経腸栄養をしていた。

その期間でもさすがにポートの入ってる皮膚

は、プツプツと穴が開き『もう刺すとこ無い

んじゃないか?』というくらい穴が開く。

なので、主治医の言う通り、これがしばらく

続ける(三ヶ月とか)と、皮膚が凄い状態に

なることは想像できた。

ただ、一週間もポートに針を刺しっぱなしだ

と、高カロリーの点滴なので生食を入れてお

いても時間が経てば固まらないか?

という点が今の心配事だった。

しかし主治医の診ている患者さんは、一週間

の交換で問題ないとのことだった。

そのためボクも一週間交換でOKしたのだが、

何となく気にはなっていた。

後で知ったことなのだが、針の代金もけっこ

うかかるようだ。

そのため毎日抜き刺しする分を渡すと、医療

費が凄くなるということがわかった。

クローン病は特定疾患のため、本人は医療費

の一部を支払うだけだ。

残りの不足分はどうするか?

不足分は国が支払ってくれていることになる。

これは大変有難いことだ。

しかし、日本全体で考えると、医療費は極力

かけないほうがいいに決まっている。

なので贅沢なことは言ってられない。

改めてクローン病は特定疾患だったことに

有難いという感謝の気持ちと、極力、医療費

をかけないようにしなければ…と強く思った

のである。

ーつづくー

ヒロ田

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