第160話 ストーマ手術のための入院二十七日目にIVH用のカテーテルを抜く

第160話 ストーマ手術のための入院二十七日目にIVH用のカテーテルを抜く

2016年4月16日、入院二十五日目の朝がきた。

土曜日なので何もすることが無い。

というより、ボクの場合は手術を待つのみの身だから、平日だろうと土日祝日だろうと

関係ないのだが…。

入院して二十五日目を迎えても、便意は相変わらずだ。

少し変わったことと言えば、水分調整だろうか。

便意があると同時にオムツ内に漏れてしまうのだが、水分を多く摂ってしまうと

量が多く出てしまい、油断するとオムツの脇から漏れ出してしまう。

いや、油断とかではない。

容赦なしにやってくると言ったほうが適切だ。

特に、温かい飲み物はお腹を満たしてくれるから割と短時間で飲み干してしまう。

そうなると、早い時は30分、遅い時は2時間後くらいに多めの量が出てオムツ脇から

漏れ出てしまう可能性が高いのだ。

そのため水分の調整は、この入院期間でプロフェッショナルになってきたのかもしれない。

とは言っても、いつ漏れ出すか…ということは常に気にはなっていたけれど…。

だが気になっても仕方ない。

手術までの12日間はこの状態が続く。

『あと12日だ!』と考えるか、『まだ12日もあるよ…』と考えるか…。

小さいころ良く言われたことを思い出す。

『あと○回寝たら○○だよ!』

例えば、楽しみにしている遠足が一週間後であれば、7回寝たら楽しみにしている

遠足が待っている。

遠く離れた従弟と遊ぶのを楽しみにしているときもそうだった。

今回の手術で言えば、『あと12回寝たら…』ということになるだろうか…。

『あと12回だ!』

そう考えたいところだったが、『あと12回も寝るのか…』という気持ちのほうが強いな…。

『でも日に日に手術は近くなっていくんだ』

『そんなことより手術間近になって延期にならないだろうな…』

『ヘパリンで血栓が無くなりますように…』

そんなことを考えながら頻繁に襲ってくる便意が来るたびにトイレへ…。

こうして4月16日土曜日と4月17日日曜日は同じようなことを考えながら

過ごしたのである。

2016年4月18日月曜日、入院二十七日目の朝がきた。

いつも通り主治医とIBDチームの医師が朝の回診に来る。

主治医「今日さー、CT撮ってもらおうと思ってるんだよね」

ヒロ田「あっ、早いですね今日ですか?」

主治医「うん、CT撮ってもらって血栓が小さくなってればカテーテル抜いても

いいか判断できるからさー」

ヒロ田「そうなんですね、わかりました。それで何時頃かわかります?」

主治医「うんとねー、今日月曜日だからかCT検査の予約がけっこう入ってて夕方しか

取れなかったんだよねー」

ヒロ田「あー、わかりました。それじゃあ夕方で予定しときます。あと手術予定の

一週間前にもCT撮りますよね?」

主治医「いやー、どうかなー。今回のでいいよって外科の先生言ってくれれば撮る必要

ないからねー。できればあんまり被爆させたくないしさ」

ヒロ田「えっ?被爆するんですか?」

主治医「あー、いや期間空けず頻繁に撮ってるとさー、良いとは言えないよねー」

ヒロ田「あー、そうですよね、先生たちも防護エプロンのようなものをつけたりしてます

もんね」

主治医「それはねー、やっぱり患者さんと違って医療従事者は浴びる機会が多いからさー」

ヒロ田「いやー、それも大変ですね」

主治医「まぁ、極力ね期間空けずにCT撮りたくないから外科の先生には言ってみるよ。

もしどうしてもってなったらもう一回撮ってもらうかもしれないけど…」

ヒロ田「あー、それはしょうがないですね。わかりましたよ」

主治医「じゃあ、今日の夕方CT撮ってその結果でカテーテル抜くか決めるからー」

ヒロ田「わかりました」

使ってないカテーテルが腕に入ったままというのも何となく気になっていた。

前みたいに感染なんかして高熱が出たら最悪だからだ。

それがCT検査の結果次第で抜くことができる。

『血栓よ、小さくなってておくれ…』

時計は17時30分。

「ヒロ田さーん、CT呼ばれました」

ボクのベッドのスピーカーから聞こえてきた。

ヒロ田「わかりましたー」

『夕方とは聞いていたけれど、ここまで遅くなるとは…』

『こんな時間にCT撮ったらカテーテル抜けないんじゃないか…?』

17時30分に出て検査を終えたボクは18時30分頃病室に戻ってきた。

19時頃、IBDチームの長塚先生が来た。

長塚先生「ヒロ田さん、CT検査の結果なんですけど、まだ完全に血栓が消えたわけ

ではないんですけど、かなり小さくなったので大丈夫かなーという感じです」

ヒロ田「あっ、じゃあカテーテル抜きますか?」

長塚先生「そうですね、抜こうと思います」

ヒロ田「えっ、でもこの時間から大丈夫なんですか?」

長塚先生「はい、ここで抜いちゃいますので大丈夫です」

ヒロ田「あっ、そうなんですね」

長塚先生「ちょっと待っててください。いま準備してきますので…」

しばらくすると看護師さんを引き連れ長塚先生が帰ってきた。

長塚先生「それじゃ抜きますね」

そう言ってカテーテルを止めてる糸を数箇所ハサミで切っている。

後は引き抜くだけ。

ヒロ田「早いもんですね」

長塚先生「そうですね、抜くだけですから」

ヒロ田「ヘパリンはまだ抜けないんですか?」

長塚先生「これはおそらく手術終わってからも続けると思います」

ヒロ田「えっ?そんなにやってるんですか?」

長塚先生「そうなんですよー。点滴である程度まで小さくなったら今度は飲み薬に

シフトしていかなきゃいけないんです」

ヒロ田「あら、そんなに続けなきゃいけないんですね。ボクてっきり血栓が小さくなったら

ヘパリンも終わるもんだと思ってました」

長塚先生「いえ、けっこう長くやってなきゃいけないんですよー」

ヒロ田「そうですか、まぁしょうがないですね」

長塚先生「そうですね、あとは手術を待つだけだと思うので」

ヒロ田「ホント予定通り28日に手術してくれることを願ってますわー」

長塚先生「はい、大丈夫だと思います」

こうして腕からカテーテルが抜け、一つ不安が解消されたのである。

ーつづくー

ヒロ田

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