第43話 痔ろう手術終了で再び消化器内科へ

第43話 痔ろう手術終了で再び消化器内科へ

医師「じゃあヒロ田くん、もう少し背中を

丸めてもらっていいかい?」

下半身麻酔が始まるようだ。

ボクは背中を丸くし、医師が背骨の辺りを

触りながら下半身麻酔を打つ。

背骨の辺り3~4箇所に打っているようだ。

『背骨に麻酔って痛そうだな』

と最初は思っていたのだが、少しくすぐっ

たい感じがするだけで痛みはない。

麻酔を打った後はうつ伏せに寝かされる。

寝ていると太ももの裏側にペタッと何かが

貼りつく。

電気メスを使用するため、対極板を貼るよ

うだ。

触られてる感じはあるのだけれど感覚は

ない。

麻酔が効いてるようだ。

医師が念のため麻酔が効いてるかを確認す

るため太ももの辺りをツネっている。

痛みが無いことを確認し、電気メスで切開

していく。

『ジジ、ジジジ、ジ…』という電気メスで

切っている音と共に焦げ臭い匂いがして

くる。

自分の皮膚が焦げてるのかと思うと、あまり

良い気はしない…。

あとは切開したところにゴムを通していく。

たぶん時間にすると15~20分くらいだろう。

医師「よーし、ヒロ田くん終わったよ。

今回、五箇所にドレーン入れてるからー」

ヒロ田「あっ、わかりました。ありがとう

ございます」

医師はそう言って手術室を後にする。

手術後、看護師さんが4~5人でボクを抱え、

ストレッチャーに移動させる。

ボクの下半身はまったく感覚が無い。

ストレッチャーに乗せられて病室へ…。

病室に着くと同じように4~5人の看護師さん

がストレッチャーから病室のベッドへとボク

を移動させる。

看護師「ヒロ田さん、1時間くらいで足が動

くようになってくると思いますので、ベッド

から起き上がるときナースコールしてもらえ

ますか?立ち上がるとき問題ないか見に来ま

すので」

ヒロ田「わかりました。ありがとうございま

す」

ボクはテレビをつけながら、1つ予定をクリア

したことに安堵し、気づけば寝てしまっていた。

1時間くらい経った頃だろうか…。

足が少しずつ動いてることに気づき、目を覚ま

した。

『あれ?足動くようになってきたのか?』

ボクはボーッとしたまま足を動かしてみる。

まだ完全ではないが確かに動いてきている。

熱があるからか、冬で暖房を使用している

からかわからないが、とにかく暑い。

特に首のあたりが汗でベッタリしている。

首の右側の太い血管にはIVH(中心静脈

栄養)でカテーテルが入っているのだが、

そのカテーテルの入ってるところが、とて

も痒くなってきたのだ。

高カロリーの点滴は24時間つけっぱなし。

痒いのだが、かいてカテーテルが抜けて

しまうのも怖いので我慢する。

そうこうしているうちにオシッコがしたく

なってきた。

『下半身麻酔が切れて初めて起き上がると

き看護師さんを呼ばなければいけないん

だったな…』

ボクはナースコールした。

看護師さんがすぐに来てくれて、起き上が

る時に問題ないか確認してくれる。

トイレから病室に戻ってきたボクは

喉が渇いていたので用意していた水、リンゴ

ジュース、グレープジュースのどれかを飲も

うと迷った結果、リンゴジュースを飲むこと

にした。

しかし、冷蔵庫に入ってないリンゴジュース

は不味かった。

『あー、これで2泊か。キツイな…』

入院していた消化器内科は全室個室だ。

別途料金もない。

冷蔵庫もテレビも全室についている。

パソコンの持ち込みもOKだ。

もちろんどれも電気代は取られるが…。

シャワーもトイレも病室についていて

申し分ない。

しかし、そんなことも言ってられない。

ボクは大腸手術も終わって年内に退院して

いるイメージをして気持ちを高ぶらせた。

そんな気持ちを維持しながら肛門科での

2泊3日の入院生活も終わりを迎えた。

肛門科を退院するときに、1つ厄介な問題が

あった。

肛門科の暖房の温度設定なのか、ボクの体調

なのかはわからないが、IVH(中心静脈

栄養)をするためにカテーテルを入れてる

首のところが痒くなっていた。

そこが少し赤くただれていたのだ。

消化器内科に再入院したボクは、真っ先に

カテーテルの入れた箇所を確認してもらった。

確認してもらったところ、汗疹のようになって

いて特に問題無いとのことで安心した。

次に主治医と手術に向けての話し合い。

ボクが肛門科で入院している間、主治医が

手術を担当する病院の医師と連絡を取り合い、

転院日も決まっていた。

しかし、転院は早くても3日後じゃなければ

できないとのことだった。

それまで主治医のいる消化器内科での入院

生活だ。

ボクは再び逆算する。

『待てよ、3日後に入院するってことは12月

14日の入院か』

『そうなると年内の退院は厳しいのか?』

『入院してすぐ手術ってことになれば年内

の退院は大丈夫かもしれないな…』

『ギリギリでもいいから年内退院できない

かな?』

『主治医も手術したら食べれるようになると

言ってくれてる。できれば年末までに退院

してお正月をゆっくり過ごしたい』

『退院できたとしてもお正月の料理は食べ

れないな…』

そんなことを自分勝手に妄想する。

もうこの頃は早く手術をして年内に退院

したい。

そんな気持ちが強くなっていた。

1ヶ月前までは手術を避けたいと思っていた

のに、『手術する!』と決断した時から、

一転、早く手術をしたい!に変わっていたの

だから人間の思考というのは不思議なものだ。

転院するまでの3日間は、検査もなく、

24時間の高カロリー点滴と退院した時に何を

食べようか?や、退院してからの食生活のこ

となどを妄想する3日間だったのである。

ーつづくー

ヒロ田

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