第170話 ストーマ手術翌日の朝はレントゲン検査

第170話 ストーマ手術翌日の朝はレントゲン検査

「ヒロ田さん、おはようございます」

看護師さんの声が聞こえてきた。

ヒロ田「あっ、おはようございます」

看護師「ごめんなさいね起こしてしまって。

採血していきますからー」

ヒロ田「あっ、もうそんな時間ですか」

看護師「もう少しで7時になりますね」

ヒロ田「そうですか。さっきまで起きてた

のに、気づいたら寝てました(苦笑)」

看護師「手術後でお薬効いてますからねー。

眠くなりますよ(笑)」

ヒロ田「今日ってもしかしたら起き上がっ

たり歩いたりするんでしょうかね?」

看護師「そうですね、レントゲン撮って採血

の結果を見たりして先生が判断すると思いま

すけど、問題なければ起き上がって病室内を

歩いたりするところからやっていくと思いま

すよ」

「どうですか?いま痛みとかあります?」

ヒロ田「いえ、不思議と痛くはないんです」

「前に大腸のバイパス手術した時は、動くと

傷口のところが痛かったり、何より起き上がる

ことが厳しかった」

「だから今回もどうなるかなと思ってはいる

んですけどね」

看護師「無理せずにやっていってみましょう」

「後で担当の看護師が来ると思いますので」

ヒロ田「わかりました」

『とりあえず今のところ痛い感じはないな』

『でも動いたら痛くなるのかな…』

『大腸のバイパス手術した時は、起き上がる

のも辛かったけど、今回はスムーズに起き上が

れるのだろうか…』

そんなことを思っているうちにまたウトウト…。

「おはようございます。レントゲン撮りに

きました」

レントゲン技師さんが移動型のX線装置を

押しながら入ってきた。

ヒロ田「あっ、おはようございます」

レントゲン技師「寝たままで大丈夫ですので

レントゲン撮らせてもらいますねー」

嫌な記憶が蘇った。

大腸バイパス手術の翌日、同じように寝たまま

レントゲンを撮ったことがある。

背中には板のようなものを敷くのだが、その

板を入れるためにレントゲン技師さんが少し

身体を持ち上げる。

『イタタタ…』

持ち上げられた瞬間、傷口が痛くなったことを

思い出した。

『あの時の痛み再びか…』

そう思い覚悟していた。

レントゲン技師「じゃあちょっと身体持ち

上げますね」

ヒロ田「はい」

『あれ、痛くないぞ…』

レントゲン技師「はい、終わりましたからー

お疲れ様でした」

そう言いながら移動型のX線装置を押し、

病室を出て行った。

『今回は持ち上げられても傷口が痛くなか

ったぞ…』

『薬が効いてるだけか…?』

「ヒロ田さん、おはようございます」

朝9時を過ぎたころだろうか…

手術をしてくれた外科の本田先生が回診で

病室に入ってきた。

ヒロ田「あっ、おはようございます。昨日は

ありがとうございました」

本田先生「いやー、手術して良かったですよ。

大腸全体が潰瘍でグチャグチャだったから、

取っちゃって正解ですねー」

ヒロ田「そんなに凄かったんですかー…」

本田先生「そうですねー。あれはトイレの回

数増えてもおかしくない状態でしたね」

「お父さんには手術終わった後に全部説明

してますからー」

ヒロ田「わかりました。ありがとうございま

す」

本田先生「それでどう?痛みとかない?」

ヒロ田「そうですね、今のところ痛みは無い

ですね」

本田先生「ちょっと傷口見せてもらうね」

ガーゼか何かをめくっているのだろうか…?

痛むのではないかとビクビクしている。

本田先生「うん、良い感じになってるね」

「夕方くらいから少しずつ水分取っていく

ようにしようかな」

ヒロ田「あっ、もう大丈夫なんですか?」

本田先生「そうですね、夕方から少しずつ

始めていきましょう。看護師さんにも伝えて

おくので」

ヒロ田「わかりました」

『なんだか展開が早いな…』

『確かに痛みは無いけどな…』

そんなことを思いながらベッドで横になって

いる。

「ヒロ田さん、今日担当です。よろしくお願い

します」

そう言いながら看護師さんが病室に入ってきた。

ヒロ田「あっ、お願いします」

看護師「今日の夕方から水分取っていいことに

なりましたねー」

ヒロ田「そうなんですよね。早い展開でびっく

りしてますけど…(笑)」

看護師「でも、水分は割と早めに開始していく

ので問題ないと思いますよ」

「あっ、少しずつですけどね…」

ヒロ田「あっ、はい大丈夫です」

看護師「痛みはないですか?」

ヒロ田「はい、不思議と痛みが無いんですよね。

起き上がるとき痛いのかもしれないですけど…」

看護師「そうですねー」

「午後から1回起き上がってみましょうか」

ヒロ田「あっ、やってみますか…」

「前に手術した時を思い出します。起き上がる

とき痛くて、ベッドに座るのも大変だったん

です。今回もそうかなーと思って…」

看護師「やってみて無理だったら明日でも良い

ので、1回後でやってみましょう」

ヒロ田「わかりました。頑張ってみます」

『起き上がれることができれば、寝たまま

よりは行動範囲が広がるな…』

『けれど、問題は起きるときにあの痛みが

出るんじゃないか…ってことだな」

『まぁ、だけどいつかは起き上がらなきゃ

いけないんだからな…』

『頑張るしかないか…』

そんなことを考えながら手術翌日の午前中は

終わっていったのである。

ーつづくー

ヒロ田

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