第164話 ストーマ手術のための入院三十五日目は外科病棟へ移動

第164話 ストーマ手術のための入院三十五日目は外科病棟へ移動

2016年4月26日火曜日、入院して三十五日目の朝がきた。

今日は、消化器内科から消化器外科への移動日だ。

外科医からの手術説明もある。

やっと手術ができるという気持ちと、慣れた消化器内科を移動するのは

ちょっと面倒だな…という気持ちが重なり、夜中に何度も目が覚めた。

気づけば起床時間。

起床後、間もないのにソワソワしだす。

『スムーズに移動できるように片付けなければ…』

時間は朝6時を過ぎたばかりだというのに、そんな気持ちだけが先走っている。

移動する時間は10時過ぎと言っていた。

さすがに片付けるには早すぎる時間だ。

ボクはテレビをつけて気を紛らす。

本を読んだり前向きなことを考えたりする時間は十分にある。

しかし頭の中は、手術のこと、ストーマになってからのこと、

再び手術が延期にならないか…など、考えてもどうしようもない

ことばかり頭の中を駆け回る。

主治医「どうだいヒロ田さん」

そう言いながら主治医が病室へと入ってきた。

時間は9時近くだ。

ヒロ田「気持ちは前向きなんですけど、便意が頻繁にあることが

気になりますねー」

主治医「そうだよね、まぁもうじき手術だから、手術したら

楽になると思うよ」

ヒロ田「そうですね、それを期待してます!」

主治医「もう移動する時間て決まったの?」

ヒロ田「はい、10時過ぎに移動すると言ってました」

主治医「そっか、じゃあもうすぐ移動だね。まぁ外科に移動しても

様子見に行くからさ。

手術前に行けるかなー。もし行けたら行くね。

とりあえず手術頑張ってね」

ヒロ田「わかりました」

10時10分頃、外科へ移動する時間がやってきた。

慣れた消化器内科から消化器外科へ移動。

外科へ移動するということは手術に一歩近づくということだ。

今の状態から良くなることは間違いない。

けれど、人見知りなボクは慣れた環境を変えたくないという

気持ちも強かった。

でもそんなことは言ってられない。

看護助手「ヒロ田さん歩いて病棟に行けますか?」

ヒロ田 「はい、歩いて行けます」

看護助手「じゃあ荷物は私たちが運ぶのでヒロ田さんは歩いて

病棟に向かってもらうだけで良いですからー」

ヒロ田 「わかりました」

消化器外科の病棟に着くとすぐに荷物を片付ける。

と言うのも外科医からの説明時間が迫っているからだ。

父親もそろそろ来るはずだ。

一度4月8日に手術の説明を聞いたが、延期、延期と手術が

延びたことで、再度外科の医師から手術の説明を聞くこと

になったのだ。

説明は11時頃ではないかとのこと。

荷物を片付けていると父親が病室に来た。

そのタイミングで外科病棟の担当看護師さんがやってきた。

『なんだか忙しくなってきたゾ…』

看護師「ヒロ田さん、お熱計ってもらっていいですか?

あと血圧も計りますねー」

朝、消化器内科でも同じことをやってきたのだが、

病棟が変わったからだろう、再び体温と血圧測定だ。

看護師「今日このあと外科の先生から説明と麻酔科の

先生からも説明がありますね」

ヒロ田「そうですね、麻酔科の先生の説明は父親が

同席しなくても大丈夫なんですよね?」

看護師「そうですね、麻酔科の先生はおそらく午後からに

なると思うので、外科の先生の説明だけ一緒に聞いて

もらえれば問題ないです」

ヒロ田「わかりました。外科の先生の説明は11時頃と聞いて

いたんですけど、そのくらいの時間に外科外来に行けば

良いんでしょうか?」

看護師「いえ、外科外来から連絡が来るので、それまで

病室にいてもらって大丈夫です。」

ヒロ田「わかりました」

しばらく病室で父親と話をしながら待っていると

看護師さんがやってきた。

看護師「ヒロ田さん、外科の先生から呼ばれましたので

向かってください」

ヒロ田「わかりました」

父親と共に外科外来へ。

ヒロ田「失礼します。ヒロ田です」

外科医「あー、ヒロ田さん、また来てもらうことになって

申し訳ありません」

外科医「じゃあ今回の手術の説明をさせていただきますね。

前回話したことと違うのは、開腹手術とお話しして

たんですけど、腹腔鏡で手術することにしました」

ヒロ田「あっ、開腹じゃなくて大丈夫なんですか?」

外科医「そうですね、開腹するとどうしても癒着する確率が

高くなるので、極力開かない方向でやりたいと思って

います」

「手術は、朝一番で2時間くらいの手術が入っているので、

その手術が終わってからになりますから、だいたい11時

30分~12時くらいかと思います」

ヒロ田「だけど緊急の手術が入ったら延期になることもあるんで

すよね?」

外科医「いえ、もうヒロ田さんの手術は決定したので、予定通り

手術を行います」

ヒロ田「わかりました。ありがとうございます。常に便意が

あって辛かったので、早く手術したいと思っていたので

良かったです」

外科医「そうですね、明後日ですから頑張りましょう」

「あとは前回話したことと同じで、大腸を全摘します。

肛門は残しておいて癌化するのも嫌なので、くり抜いて

そこを縫い合わせます。

手術の時間は5~6時間を予定しています」

ヒロ田「それじゃあ12時くらいからスタートしたとすると

18時くらいには手術が終わるってことですか?」

外科医「いえ、手術前後で処置があるので前後1時間くらい

かかりますからトータル8時間くらいの手術になると思います」

ヒロ田「あっ、そうなんですね。手術当日、父が来てくれるん

ですが、手術中も病院内にいなければいけないんですよね?」

外科医「そうですね、何かあったときにすぐ対応できたほうが

良いので、できれば待合室で待ってていただけると助かります」

父親 「わかりました。待合室にいますので大丈夫です」

外科医「他に聞きたいことはないですか?」

ヒロ田「いえ、聞きたいことはすべて聞いたので大丈夫です」

外科医「じゃあ明後日なので頑張りましょう」

ヒロ田「はい、当日よろしくお願いします」

一通り説明を聞き終えた後、同意書などの書類に署名をし、

外科外来を後にした。

ーつづくー

ヒロ田

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