第165話 ストーマ手術二日前に麻酔科医からの説明を聞く

第165話 ストーマ手術二日前に麻酔科医からの説明を聞く

父親 「じゃあ28日の11時くらいまでに来るようにするわー」

ヒロ田「あっ、ここで帰る?」

父親 「うん、荷物も持ってきてるし病室一緒に戻っても何もすること

ないだろうからこのまま帰るわ」

ヒロ田「わかった。じゃあ28日11時頃ね。何回も来てもらう

ことになって申し訳ないけどお願いします」

父親 「あー、大丈夫だ。また何か変わったりしたら連絡ちょうだい」

ヒロ田「うん、わかった。じゃあ気をつけて帰って」

外科外来を出てからエレベーター前で父親と別れ、ボクは病室へと

戻った。

『外科の先生、手術の予定がずれることは無いと言ってたな…』

『ということは、もう安心して手術後のことを考えて大丈夫だな…』

ボクはモヤモヤしていたものが1つ解決し、スッキリした気持ちで

病室に戻りテレビをつけた。

時間はたっぷりあって、もっといろんなことができそうなものだけど、

何せ便意が常にあることで、集中力が途切れてしまう。

そんなことからかベッドで横になり、テレビをつけてボーッとする時間

ばかりが多くなってしまうのだ。

ストーマ(人工肛門)に関しては、手術を決断する数ヶ月前から情報収集をし、

自分自身の中でメリット、デメリットを考え、そのうえで手術しようと

決断したのでストーマ(人工肛門)になることに抵抗はない。

とにかく1日40回以上もの便意が襲ってくるのだからオムツは欠かせないし、

オムツをしていても、オムツから漏れてしまうのではないか?

ということが常に頭から離れない。

さらにトイレに通う回数も半端じゃない。

何せ落ち着いて寝ている、ゆっくり何かを考えるということができない

状況だ。

そんな状況だったからこそ早くストーマ(人工肛門)になりたい。

そう考えるようになっていたのだ。

『明後日だ。もう少しの辛抱だ』

そう考えながらテレビを見ている。

看護師「ヒロ田さん、麻酔科の先生に呼ばれたので麻酔科外来まで

お願いします」

「歩いて行けそうですか」

ヒロ田「はい、歩いて行けます」

看護師「じゃあ気を付けて行ってきてください」

『よし、これでまた手術に一歩前進だ』

早く手術してもらいたい気持ちでいっぱいだったボクは、

そう心の中で思いながら麻酔科外来へと向かった。

麻酔科医「ヒロ田さん、診察室へどうぞ」

ヒロ田 「失礼します、ヒロ田です」

麻酔科医「初めまして、麻酔科医の多田と申します」

「以前、大腸の手術をされたことがあると聞いていますが、

その時に麻酔の影響で体調が悪くなったとかはありますか?」

ヒロ田 「いえ、特に問題ありませんでした」

麻酔科医「そうなんですね、わかりました」

「それで今回大腸の全摘手術ということで前回の手術と

同じ全身麻酔で行います」

「手術が5~6時間の予定ですので、麻酔やほかの処置など含めて

だいたい8時間くらいの大手術になります」

ヒロ田 「あっ、大手術になるんですね…」

麻酔科医「そうですね、大腸全摘するので大手術になりますね」

「手術に向けて不安になってることとか聞きたいこととかありますか?」

ヒロ田 「あっ、前回の手術の時は痛み止めの入った麻酔というのか、

ペットボトルみたいなものに入った麻酔のようなものを背中から

ぶら下げていたんですけど、それは使うんですか?」

麻酔科医「あー、硬膜外麻酔ですかね。背骨のところに管のようなものを

入れて…」

ヒロ田 「あー、そうです。あれって今回つけるんですか?」

麻酔科医「いえ、今回はつけないです」

ヒロ田 「あれついてると手術後も痛くなかったんですけど、つけなかった

ら痛くならないですか?」

麻酔科医「たぶん大丈夫だと思いますよ。もちろん痛くなったら

痛み止めを使ったりはしますけどね」

ヒロ田 「そうなんですか、痛くないのであればいいんですけど

痛かったら嫌だなーと思って」

麻酔科医「そうですね、痛くならないようにしますので大丈夫です」

ヒロ田 「お願いします。ところで手術の日は先生が手術室にいてくれる

んですか?」

麻酔科医「はい、手術の最初から最後までボクがいますので」

ヒロ田 「わかりました。じゃあ当日はよろしくお願いいたします」

麻酔科医「じゃあ明後日頑張っていきましょう!」

ボクはすっきりした気持ちで麻酔科外来を後にした。

看護師 「ヒロ田さん、麻酔科の先生とお話しできましたか?」

病室に戻ってきて間もなく看護師さんが病室に入ってきた。

ヒロ田 「あー、話聞いてきました」

看護師 「お疲れ様です。じゃあ今日の予定はもう無いので、

後はゆっくりしてください」

「あと明日なんですけど、手術の前日なのでシャワー浴びて

いただきたいんですよね」

ヒロ田 「あっ、何時に入ればいいですか?」

看護師 「時間は何時でも大丈夫です。ただ、シャワー浴びた後に

お臍の掃除をするので、明日、シャワー時間わかったら看護師に

教えてもらっていいですか?」

ヒロ田 「わかりました。時間決まったらお伝えします」

「明日って臍の掃除だけですか?」

看護師 「そうですね。あと予定は何も無いです」

ヒロ田 「わかりました」

こうして消化器内科から消化器外科に移動してきた日の

一日が終わっていったのである。

ーつづくー

ヒロ田

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