クローン病と診断された32歳の頃、正直食の
ことについて深く考えたことがなかった。
例えば、野菜を多く食べたほうが良い。
バランスよい食事を心がける…etc。
親元を離れたのが15歳。
15歳と言っても一人暮らしではなく、下宿
生活だったので、三食きっちり食べていたし、
週末は親のところへ帰るという生活を三年間
送っていた。
その後、18歳で本格的に一人暮らし。
一人暮らしをしてからは、もっと食について
考えることをしなかった。
今では少し歩けば、そこかしことコンビニが
ある。
当時は今のようには多くなかったけれど、
一人暮らしのボクにとっては便利で有難かった。
食べるのが当たり前。
というか、食べることを意識したことがない
と言ったほうが良いかもしれない。
空気と同じ感覚。
空気を吸わなきゃいけない!
なんて思わない。
当たり前に、ごく自然と空気を吸っては吐い
ている。
食事もそんな感じだった。
当時は食事をする時間というのも決まって
いなく、お腹が空くと夜中だろうと関係な
く食べるという食生活。
遊びたい一心で、食事をするのも睡眠をとる
ことも無くていいな…と思ってたくらいだ。
『2時間しか寝てないのに8時間くらい寝た
感じにならないかな…』
『ガム1枚しか食べてないのに、1食分に匹敵
する食べ物ってあったらいいな…』
そんなことを思ったりしていた。
そんな思いは、その後もずっと続く…。
24歳の頃、チクチクする胃痛が3日間続き、
初の胃カメラを経験するが、特に異常がない
ということで胃薬の処方で終わり、薬を飲ん
だ次の日には痛さも無くなったので、そこか
らまた自分の中での当たり前の生活に…。
その後、睡眠不足は当たり前になり、お酒の
飲む量も増えた。
そしてお酒を飲んだ後のラーメン。
夜中にだ…。
そんな生活をしていたある日、ジワジワと
体調に異変が起きてくる。
【クローン病】という診断結果だった。
診断されたその日から、絶食と言われたが、
【食】というものにこだわったことがなかっ
たボクは、絶食ということも重く受け止めな
かった。
『あっ、食べなくてもいいんだ…』
くらいの感覚だ。
もちろん体調不良で食欲がなかったというの
もあるだろう。
この時は食べなくても平気だ。
そんな気持ちだったのだ。
けれども、体調が回復するとともに空腹感も
増してくる。
次第に、見るテレビは料理番組が多くなった。
入院してる時も家にいるときも…。
3分で作る料理番組や、旅番組、食べ歩き番組
なんて最高だ。
そういえば、ボクはダイエットをしたことはな
いけれど、ダイエットしてる人も同じような心
境になるようなことを聞いたことがあるな…。
こういった状況になったとき、初めて食につい
て深く考えるようになった。
そして絶食が解禁。
ボクは、クローン病にとって危険と言われて
いる食事は止め、推奨されている低脂肪、低
残渣、高カロリーの食事をするよう心掛けた。
感謝しながら三食いただく。
食べれるって有難いことだなーと感じながら
…。
しかし、、、
その後、体調不良は何度も襲ってくる。
クローン病患者のQOLを高めるために、治療
方法も絶食が基本ではなく、食事ができる治
療をしていこうという方向に変わっていった。
クローン病患者にとっては有難いことだった。
けれど、ボクはそれがダメだった。
このブログを書いている2020年10月25日時
点でクローン病歴は18年と半年になる。
その間に、痔ろうの手術は5回、外来で局所
麻酔の切開は4回。
全身麻酔で大腸のバイパス手術1回、そして
大腸全摘でストーマ手術が1回となる。
他に治療したものは、レミケードを2年くらい
やるが、副作用でアナフィラキシーになり使用
中止。
その後、ヒュミラを使用するが口内異常が起き、
使用中止。
GCAP(顆粒球除去療法)もやったが最初だけ
効果があったように思うも、あまり効果がない
と医師の判断で中止。
…とクローン病の治療はすべてやってきた。
現在は、ステラーラを8週間に1回治療を受
けていて、16回になるが今のところ問題は
なく、CRPも低く保てている。
食事は極力取らないようにしている。
というのも、イレウス(腸閉塞)で2回入院
しており、未だに食べ続けるとジワジワ腹痛
が起きてくるので、イレウスでの入院を避け
るためにも極力食事は取らないように心掛け
ている。
その代わり、食べるときは好きなものを食べ
ていて、気をつけることと言ったら野菜を極
力食べないようにする、もし食べたいのであ
ればなるべく小さく刻んだりペースト状にし
て食べる。
あと気をつけてることは食べ過ぎないことだ。
お腹いっぱい食べたり、毎日、毎食食べ続け
ると腸が疲れるのか、ボクの場合は詰まりや
すくなってイレウスを起こしやすい。
なので、お腹いっぱい食べないことと、食べ
続けないことは意識している。
「お腹空かないの?」
と聞かれたりするが、コーヒーやお湯、時に
は具の無いスープを飲むことで満たされるの
で食べたいという気持ちは薄れる。
それよりも、イレウスで調子が悪くなり、入
院することのほうがボクにとってはストレス
だ。
なのでボクは今のパターンが一番合っている
ように思う。
ここ最近は、食事に関する考え方が人それぞ
れあって、一昔前のように三食きっちり食べ
ないと…という考え方はなくなってきている
ように思う。
一日一食で日々過ごしている人もいれば、三
食絶対に食べないとダメだという方…。
ベジタリアンやヴィーガン生活をしている方
…。
人それぞれだと思う。
ボクは昔からそうだったが、お腹いっぱいに
なると眠くなるタイプ。
30分は頭が働かない。
食べてまずは休むか…となる。
そうこうしているうちに二食目の時間だ。
そしてまた休む。
…ということは無くなった。
ボクは食べないくらいがちょうど良いのかな
…。
最近はそう思っている。
今の自分に後悔はしていないが、もし1つだ
け叶うことがあるのなら…。
15年くらい前に時代を戻してもらいたい。
そしてボクは今の食生活にしているだろう。
そうすると外科手術はしなくて済んだかもし
れない…。
ーおわりー
ヒロ田