第10話 クローン病での初入院

第10話 クローン病での初入院

入院3日前から、あれだけ嫌だった入院が

早く入院したいという気持に、なり始めて

来ていた。

おそらく、絶食だったにもかかわらず、

エレンタールを飲めないことで、栄養が

取れず、体力が無くなっていたのだろう。

さらに、膝や足首の痛みも出てきた。

後で調べてわかったのだが、クローン病

の合併症で『膝や足首などの関節痛』と

あったから、合併症だったのだろう。。。

入院1日前。

入院1日前というのは、オープン1日前

でもある。

ボクには、大仕事が待っていた。

それは、自宅に届いているカタログを

お店に持っていき、明日のオープンに

備える必要がある。

カタログ20冊くらいだろうか。

たぶん重さも10kgくらい。

自宅マンションの玄関から、エレベーター

までは20mくらいだ。

いつもは平気で持てる10kgくらいの

重さが、この時のボクは50kgくらいに

感じた。

さらに、エレベーターの距離が、

こんなに長かったか?

と思うくらい前に進まない。

歩いても歩いても前に進まない。

そんな感じだった。

膝、足首が悲鳴をあげていた。

ボクは、廊下を壁伝いに歩いていく。

どうにかエレベーターに乗ることが

できた。

これで車に乗ることができれば

あとはビジネスパートナーが車から

荷下ろししてくれる。

ところが、、、

今度は車に乗ることが簡単にできない。

車の乗り降りが普通にできないのだ。

一度シートに座り、片方の足を両腕で持ち

車内へ。そしてもう片方の足も同じような

方法で車内へ。

幸いなことに、近い距離にお店が

あったため、移動時間は短い。

何とかオープン前に準備を終わらせる

ことができた。

オープン日に入院とは、

何とも心苦しかったが、短期間で退院

できることに専念しようと、すべてを

ビジネスパートナーに託すことにした。

入院当日。

病院についたボクは、受付をして入院する

部屋へと案内された。

4人部屋で、窓側向かって左側が

ボクのベットだった。

着替えてから心電図、身長、体重を

測ったりと、着いてすぐはやることが

あって落ち着かない。

10時頃入院して落ち着いたのは12時

少し前くらいだ。

すると、、、

『昼食の準備ができました』

というアナウンスが流れてきた。

食堂で食べれる人は食堂へ。

行けない人は各ベッドに食事を運んで

来てくれる。

4人部屋だったので、運んできているのが

わかった。

ボクは絶食中だから食べることはできない。

でも心の中では『何か出てこないかな…』と

期待していたが、期待するだけ無駄だった。

一人でいるときは気づかなかったが、

こうして4人部屋になり、ボク以外の三人

は食べることができる。

しかも、いい匂いが漂ってくる。

そんな状況にいると、なぜか恥ずかしい

というのか、淋しいというのか、、、

『なんでオレは食べれないのか…』と。

そんな虚しさを覚える昼の時間だった。

午後からは、今後の検査や退院までの

スケジュールを聞く。

どうやら検査ばかりの毎日だ。

医師に膝と足首が凄く痛いことを

伝えると、両足の膝と足首を確認する。

すると、、、

膝も足首も、熱をもって腫れていた。

整形の先生に診てもらったほうが良いと

いうことになり、検査の予定がもう1つ

多くなってしまった。

入院するまでは『早く入院したい』

そう思っていたのだが、、、

いざ入院してみると、検査の予定を

聞かされると、とってもブルーになった。

なぜなら、この時は検査をしたことが

無いから、不安と恐怖感でいっぱいだった。

胃カメラもする必要がある。

注腸バリウムも必要だ。

大腸カメラは入院前にしているからナシ。

他にレントゲンやCT検査。

とにかく毎日検査だ。

レントゲンやCTは良いとしても、

胃カメラ苦手だし、注腸バリウムなんて

したことが無い。

検査するずいぶん前から憂鬱だった。。。

しかも、この入院時点ででのトイレの

回数は14~15回。

もちろんオシッコの数ではない。

なぜ食べてないのにこうなるのか…。

この時は、そう不思議に思った。

トイレは共同のトイレで、これがまた

部屋から遠かった。

足の痛いボクには、トイレが苦痛だった。

早いもので入院翌日の検査は注腸バリウム。

ふつうは、前の日に錠剤の下剤を

飲むようだが、ボクの今の症状から

当日の下剤だけで良いとのことだった。

だが、下剤を飲んでいないのに、

夜中トイレに起きる。

足が痛くて歩くのが辛かったボクは、

点滴の台につかまりながら歩くのが

やっとだった。

それを見た看護師さんが、

「車いすにしますか?」と声をかけて

くれたのだが、「まだ歩けるので

大丈夫です」と断った。

さらに、翌日に控えた注腸バリウムの

検査への不安な気持ちと足の痛み、

入院初日という環境の変化、、、

気づけばあまり眠らずに

朝の6時を迎えた。。。

ーつづくー

ヒロ田

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