「ヒロ田さん、おはようございます。
採血していきますねー」
ヒロ田「はい、お願いします」
看護師「今日ストーマ交換の日でしたね？」
ヒロ田「そうなんですよ。WOCの林田さん
が来るみたいなんですけど、何時に交換す
るかわかったら教えてもらえると助かり
ます」
看護師「わかりました。時間わかったら伝え
にきますね」
2016年5月2日。ストーマ手術後4日目の
朝が来た。
今日は平日だ。
病院内は休みの日とは違って、何となくバタ
バタしているように感じる。
そんなボクも、心の中はバタバタしていた。
『今日のストーマ装具交換は1人でやってみる
日だな』
『手順は頭の中で何度もシミュレーションして
るから大丈夫だと思うけど…』
『あとは実践してみないと何とも言えないな…』
今日はストーマ装具の交換日。
手術後につけたストーマ装具は、2日に1回
交換するタイプなので、マメに交換しなけれ
ばいけない。
しかも、今日は初めて自分で交換する日だ。
早く退院したいと考えているボクは、なるべく
自立できるよう、前回の交換時に自身で交換
することを申し出ていた。
とはいえ初めてのことなので不安はつきまとう。
「ヒロ田さん、おはようございます」
手術を担当してくれた外科医の本田先生が来た。
ヒロ田「あっ、おはようございます」
本田先生「順調そうですね！」
ヒロ田「はい、昨日お腹の管も抜けたので、
身体がスッキリしています」
本田先生「じゃあちょっと傷口見せてもら
っていいですか？」
ヒロ田「はい、お願いします」
本田先生「うん、いい感じですね」
「それでヒロ田さん、入院する前は食事って
どうされてました？」
ヒロ田「基本的にはエレンタールで栄養取っ
てました」
本田先生「そうですか」
「じゃあ食事のことは内科の先生と決めて
もらったほうがいいかな…」
「まず今日からエレンタール始めていきまし
ょうか？」
ヒロ田「あっ、そうですか。どれくらいの
量をやっていけばいいですか？」
本田先生「そうですね、ちょっと様子見た
いので徐々に始めていきましょう」
「あれ1パックって何mlでしたっけ？」
ヒロ田「1パック300mlで300kcalです」
本田先生「そっかー。どうしようかなー…」
「中途半端になっちゃうけど450kcalくらい
にしてもらえますか？」
「それで問題なさそうであれば明日900kcal
にしてみましょう」
ヒロ田「わかりました」
「どれくらいで落とせばいいですか？」
本田先生「そうですねー、6時間くらいか
けてやっていきましょう」
ヒロ田「わかりました。スタートする時間は
何時でもいいんですか？」
本田先生「うん、そうですね、時間はヒロ田
さんに任せます」
ヒロ田「わかりました。じゃあ昼くらいから
スタートして夕方終わるようにします」
本田先生「わかりました。それでお願いしま
す」
手術をして、ストーマにしたら食事再開…
そう思っていた。
というか消化器内科の主治医が言っていた
ので、期待していたが、残念ながらエレン
タールからのスタートとなった。
『このままエレンタールだけで退院というこ
とはないだろうな…？』
『まぁ、もしエレンタールだけで退院となっ
ても家に帰ったら食べるぞ！』
『そのために手術したんだから…』
「ヒロ田さん、ストーマ交換なんですけど、
9時30分～10時の間にWOCの林田さんが来る
って言ってましたけど大丈夫です？」
看護師さんがストーマ装具の交換する時間を
伝えに来た。
ヒロ田「あっ、わかりました。9時30分～
病室にいるようにしますね」
看護師「はい、お願いします」
ヒロ田「あと、本田先生が今日からエレン
タールやっていってくださいって言ってた
ので、450mlを12時30分くらいから18時
30分の間でやろうと思ってます」
「スタートするとき声かけたほうがいいです
よね？」
看護師「ヒロ田さん経鼻でやってるんでした
っけ？」
ヒロ田「そうです」
看護師「ポンプとか物品は揃ってるんですか？」
ヒロ田「はい、それは持ってきてもらってる
んで、いつでもできる状態です」
看護師「あっ、じゃあ大丈夫ですね」
「ヒロ田さん慣れてるから声かけてもらわな
くてもいいんですけど、一応スタートする時
にナースコールしてもらっていいですか？」
ヒロ田「わかりました。じゃあスタートする
時、ナースコールしますね」
ストーマ手術後4日目に食事再開とはいかな
かったが、エレンタールをスタートすること
になった。
まずは退院に向けて一歩前進だ。
「ヒロ田さん、おはようございます」
WOCナースの林田さんが病室に来た。
（以下WOC）
WOC「ヒロ田さん、ストーマの交換自分で
やりたいって聞きましたよ！」
「すごいですね」
ヒロ田「いやいや、どうせ最終的には自分で
やらなきゃいけないので、早くやってみない
と慣れないじゃないですかー」
WOC「確かにそうですね！でも交換2回目で
やってみるって凄いですね！」
ヒロ田「あっ、まずいですか？まだ早いって
いうんだったら、1人でやって大丈夫になった
時でもいいんですけど…」
自分でやらなければ…という気持ちもあった
が、自信がなかったボクは自分で交換できる
日が延びても良いとも思っていた。
WOC「いえいえゼンゼン問題ないですよ」
「感心するなーと思って…」
ヒロ田「えっ、皆さんはどうなんですか？」
WOC「人それぞれ違いますけど、早くても
1週間とか経ってからですかねー」
ヒロ田「へぇ、そうなんですか。でもこれ
自分で交換できるようにならないと退院でき
ないんですよね？」
WOC「そうですね。最終的には私が確認して
問題なければOK出して、後は先生たちが退院
して良い日を決めるって感じですかねー」
ヒロ田「であれば今日頑張ってやってみます！」
WOC「そうですね、頑張ってみましょう！！」
こうして初めてストーマ装具交換を自身で
やっていくことになったのである。
ーつづくー
ヒロ田