第142話 ストーマ手術のための入院七日目は胃カメラ検査

第142話 ストーマ手術のための入院七日目は胃カメラ検査

2016年3月29日。

入院七日目の朝がきた。

昨日の小腸バリウム検査はお漏らしが一番

辛かった…。

ボクにとっては鼻から検査用のチューブを

入れるほうが、まだ楽だった。

検査終了後は、シャワーを浴び、キレイな

オムツと下着、パジャマに着替え、身体も

気持ちもスッキリすることができたけれど…。

『これでゆっくり寝れれば…』

そうだ、これでゆっくり寝れれば最高だ。

しかし、そんな思いとは裏腹にトイレ通いは

続く…。

『検査の時、あんなにお漏らししたのに、ま

だ出るのか…』

日中はもちろん、寝ていても1時間30分に

1回はトイレに行く。

そしてしばらく寝れない。

ちょっと寝たと思ったらトイレへ…。

そんなこんなで迎えた入院七日目の検査は

胃カメラ。

胃カメラは、鼻からできるようになって随分

楽になった。

胃カメラ検査を受けることは特に苦ではない。

もちろん率先して受けたいとは思わないが…。

その検査よりも気になってることがある。

それはいつものごとくお漏らしだ。

昨日のように検査時間が長くなると確実にお

漏らしをする。

そのことだけが気がかりだ。

10時20分。

看護師さんが病室に来た。

看護師「ヒロ田さん、胃カメラ呼ばれました。

いま車イスで迎えにきますね」

体力がないため相変わらず車イスでの送迎だ。

何だか申し訳ない気もするがココは甘えさせ

てもらおう。

内視鏡室に着くと検査を受けるための準備を

するため、すぐに呼ばれた。

鼻から麻酔を入れたりするのだが、胃カメラ

を入れるよりも、この麻酔液のほうが嫌だな。

前はそんなことを思ったことはなかったが、

今回、体調が悪いせいか、麻酔液が凄く嫌に

なった。

特に吐き気がするとかそういうわけではない

のだけれど、味が嫌なのかな…。

検査前の準備をして10数分経ったろうか。

検査室に呼ばれた。

中に入ると看護師さんが1人検査の準備をし

ている。

ベッドに横になっていると検査をするための

医師が入ってきた。

主治医と同じIBDチームで、女性の山口先生

【仮名(以下、山口先生)】だった。

山口先生「ヒロ田さん、それじゃ検査してい

きますね」

ヒロ田「はい、お願いします」

山口先生「今日、鼻からの検査をご希望とい

うことでしたよね?」

ヒロ田「そうです」

山口先生「鼻からだと眠りながら検査できな

いですけど大丈夫ですか?」

ヒロ田「はい、口から入れるなら眠りながら

受けたいですけど、鼻からなら苦しくないの

で大丈夫です」

山口先生「わかりました。じゃあ今日は食道

や胃にも潰瘍とかができていないか胃カメラ

の検査で診ていきますね」

ヒロ田「はい、お願いします」

鼻からの胃カメラがスタートする。

山口先生「はい、ちょっとココ苦しくなりま

すよー」

『あっ、喉を通過するんだな。いつものこと

だから大丈夫』

『あれ、ちょっと辛いぞ…。先生、そこ早く

入れてくとこー…』

この喉を通るときのタイミングが悪いと少し

辛い。

『山口先生、検査に慣れていないのかな…。

ちょっと苦しいぞ』

山口先生「いま胃のところまで来ましたから

ねー。もう少し十二指腸の辺りまでいきます

ね」

そう言いながら胃カメラを進めていく。

山口先生「じゃあココから診ていきますねー」

ヒロ田「はい」

山口先生が胃カメラを動かしながら胃の中の

写真を撮っていく。

山口先生「ところどころ荒れてる感じはあり

ますねー」

ヒロ田「あれ、クローンですかね?」

山口先生「うーん、見た感じクローンではな

さそうですけど、念のため組織取って検査し

てみますね」

そう言って検査室にいる看護師さんに、組織

を採取するモノを要求している。

すぐ手渡されそうなものだが、ずいぶん時間

がかかっている。

しかも、ちょうど苦しいところで胃カメラが

止まっている。

困ったことに胃カメラの角度がちょうど苦し

いところで止まっているようだ。

山口先生「ヒロ田さん、あと5分で終わります

からねー。もう少しですよー」

『えっ?あと5分もあるの…?』

ヒロ田「先生、ここ苦しいとこです」

山口先生「あっ、苦しいです?ちょっと待っ

ててくださいね」

『どうなってるんだ?組織採取しないのか…

?』

どうやら山口先生も組織を採取するための道

具待ちのようだ。

山口先生「あれ、無いですか?」

そう看護師さんに聞いている。

看護師「えっと、ちょっと異動してきたばか

りで置いてる場所がわからないのですが…。

聞いてきていいですか?」

山口先生「あっ、じゃあ早くお願いします」

『え~、この苦しい状態で待つのか…?』

『異動ってナニ…』

『異動してきていいけど道具の場所把握しと

いてー…』

ヒロ田「先生、この場所で止まったままだと

キツイですねー」

山口先生「ごめんなさい、もう少しですから

ちょっと待っててください」

そこにもう一人の看護師さんが登場し、組織

採取するモノを山口先生に手渡す。

看護師「すいません」

山口先生「じゃあヒロ田さん、組織取ります

ね」

ヒロ田「はい」

山口先生「あと、食道見たら検査終了ですか

らねー。あと2分です。もうちょっと頑張っ

てください」

『えー、あと2分もあるのー?』

検査の時の、あと2分というのは長く感じる

ものだ。

山口先生「ヒロ田さん、終わりました。お疲

れさまでした。それで、胃も所々荒れてるよ

なところがあって、クローンじゃないと思う

んですけど、検査に出してみますからねー」

ヒロ田「わかりました」

『しかし、鼻からの胃カメラ検査でこんなに

辛かったのは今日が初めてだな』

『異動してきたばかりっていうのも困ったも

んだ…』

『まずいいやー無事に終わったんだから…』

迎えに来てくれた車イスに乗り、そんなこと

を思いながら病室に戻ってきたのである。

ーつづくー

ヒロ田

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