第155話 ストーマ手術のための入院二十二日目にヘパリン投与開始

第155話 ストーマ手術のための入院二十二日目にヘパリン投与開始

2016年4月13日、入院二十二日目の10時頃に検査したCTの結果、IVH用のカテーテル

の先に血栓ができてる可能性がある。

と、昼頃IBDチームの長塚先生が伝えにきた。

『一度目は感染で高熱、二度目はカテーテルの先に血栓ができただと…?』

正直、勘弁してほしかった。

『だからあのとき無理に高カロリーの点滴はしなくていいんじゃないか?と

言ったのにー…』

血栓ができたかもしれないと聞いたときは、ボクも少し感情的になった。

IBDチームの長塚先生は、まだ血栓だとハッキリ決まったわけではないと言って

いたので、ここは血栓じゃないことにかけるしかない。

とは言っても、結果がわかるまで気になって何も頭に入ってこない状況だ。

『もし血栓だって言われたらどうする?』

『まず手術が延びてしまうのか確認しないとダメだな』

『あっ、明日は外出の予定だ。それは許可もらわないと…』

『しかし結局これでまたカテーテル抜くことになるんだったら最初からやらなくて

いいって話だよなー…』

『これで手術延びるってなったらどうするかな…。もういい加減延びたら嫌だな…』

そんなことを思いながら時間が過ぎていく。

16時過ぎた頃だろうか…。

長塚先生と主治医の勝田先生がボクのいる病室に来た。

長塚先生「ヒロ田さん、やっぱり血栓でした」

ヒロ田「えっ?血栓だったんですか?」

主治医「うん、ホント小さいんだけどね、ボクらと技師さんで何回も見て判断したけど

血栓で間違いないってことになってさ」

ヒロ田「うわー、そうなんですか。それならカテーテル抜いたほうがいいんじゃない

ですか?」

主治医「いや、いま抜いたら逆に危ない。カテーテルから血栓が飛んでしまっても良く

ないから、まずヘパリンていう点滴を処方するので準備できしだい点滴始めていって、

血栓が無くなってからカテーテル抜く感じかなー」

ヒロ田「どんな点滴なんですか?」

主治医「血栓を溶かす点滴でね、機械つけて点滴落としていくんだけど、24時間

点滴してなきゃいけないんだわー」

ヒロ田「あっ、でも明日は外出お願いしますね」

主治医「あっ、外出は厳しいわー。24時間点滴しなきゃなんないから…」

ヒロ田「えー、それなら困りますねー。外出して帰ってきてからだったらダメなん

ですか?」

主治医「うん、血栓が飛んで心臓とかにいくと怖いからさー、すぐ点滴しないと

ダメだわー」

ヒロ田「それじゃー、手術も来週できないってことですか?」

主治医「うーん、それは外科の先生が何て言うかなんだよね。そんなの気にしないで

やるっていうかもしれないし、様子見るっていうことになるかもしれないし…」

ヒロ田「うわー、もしこれで手術延びたらキツイですねー。もうトイレが辛いんですよ」

主治医「うん、今日の夜に外科の先生たちとミーティングすることになってるので、その

とき確認してみるからー」

ヒロ田「お願いします。トイレ行くのもかなり辛いので…」

主治医「うん、ボクらは早くやってあげたいんだけどねー。ただ外科の先生が決めること

だから何とも言えないけど話してみるわー」

ヒロ田「お願いします」

こうして楽しみにしていた明日の外出は無くなった。

一気にテンションが下がっていく…。

しかし落ち込んでもいられない。

まずは親に連絡をしなければ、明日病院に向かってきてしまう。

ボクは母親に連絡をして事情を説明し、明日の外出はできなくなったことを伝えた。

病室に戻ってしばらくすると看護師さんが点滴を持ってきた。

看護師「ヒロ田さん、血栓できたみたいですね?」

ヒロ田「そうみたいです。あれ?それが点滴落とす機械?」

看護師「そうなんですよー。なんか確実に点滴を落とさなきゃいけなくて、

それで機械につなげて点滴を落としていくんですよね」

ヒロ田「へぇー、そうなんですね。あっ、これ電気つなげておかないとダメ

なんですね?」

看護師「そうですね、充電されていればしばらく持つんですけど、それでも長時間は

持たないのでベッドにいるときはコンセントにつないでもらって、ベッドから離れる

時は面倒だと思いますけどコンセントから抜いてもらってトイレに行ってもらったりする

感じですかねー」

ヒロ田「あー、まぁそれはいいんですけどね。それより今回の血栓で手術が延びたらキツイ

ですわー」

看護師「そうですよねー。来週の予定でしたっけ?」

ヒロ田「そうです。4月21日が予定だったんですよ。勝田先生も外科の先生と今日の夜ミー

ティングするのでその時に外科の先生が何て言うか…とは言ってましたけどね」

看護師「今日水曜日ですもんね。そうですね、今日の夜ミーティングありますね」

ヒロ田「あっ、毎週水曜日の夜はミーティングしてるんですか?」

看護師「そうですね、翌週の手術の最終打ち合わせをするんです」

ヒロ田「へぇー、そうですか。そこで決まったことって後日変更になることってあるん

ですか?」

看護師「いやー、ほぼ無いですね。なんか緊急の手術が入ったりしない限りは今日決めた

予定でいきますよ」

ヒロ田「あっ、そうなんですね」

ボクは手術が予定通りいくのか気になっていた。

看護師さんに聞いたところで看護師さんが決めれるわけないんだが…。

それはわかっているんだけど…。

それはわかってるんだけど気になってしまい、それとなく聞いてしまっている自分がいる。

IBDチームの医師も自分たちでは決めれないと言うし…。

外科の先生と話す機会もないしね…。

こんな時は夜遅くなってからでも病室に結果を伝えに来てほしいものだ。

けれど残念ながら医師が現れることなく消灯の時間を迎えた。

ボクは相変わらず頻繁に襲ってくる便意と闘いながら、来週の手術は予定通り

行われるのか、気になっていたのである。

ーつづくー

ヒロ田

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