第30話 食べるものが増えてきた

第30話 食べるものが増えてきた

ボクは、ダイエット終了後にリバウンドする

人たちと同様、みるみる体重が増えていった。

さらにボクのチャレンジは続く。

今度は親子丼にチャレンジだ。

うどんだけだと正直飽きてきたので

玉子と鶏肉がメインの親子丼は大丈夫じゃ

ないのか?と思い、チャレンジすることに

した。

しかし、親子丼だけではお腹が空くと思い、

親子丼とうどんのセットを選び食べてみる。

うどんの大盛りや2人前を食べるよりも

ご飯と麺のセットは最高だ。

美味しくいただき、その後の体調も

変わることなく問題は起きなかった。

これで食べれるメニューがまた1つ

増えたことになる。

昼は、親子丼を食べたり、うどんにしたり、

少しお腹が減ってきたらオニギリを食べる。

夜は夜で、うどん2人前を自分で作って

食べるか、どうしても外食が必要であれば、

親子丼とうどんのセットを食べる。

本当は外食をしないほうが良いと言われて

いる。

というのも、味付けが濃かったり、食材が

何を使ってるのかわからなかったりする

からのようだ。

確かに自分で作るのが一番良いのだと思う。

しかし、ボクは仕事で夜も遅くなるので

外食することがどうしても多かった。

家に帰って作って食べて…ということが

時間的に厳しかったのだ。

ご飯が好きだったボクは、普通のご飯が

食べれるようになったことで、雑炊など

の柔らかくしたご飯は食べなくなった。

『人間食べれるだけで幸せだ!』と

お粥や雑炊を食べれるだけで幸せを感じて

いたのに、この頃になるとその有難さを

忘れてしまっていたように思う。

『やっぱり普通のご飯でしょ!!』

と、思いは変わっており、だんだんと

贅沢になっている自分がいた。

人間は、辛かった時のことを忘れるように

できているのだろうか。。。

この時は、絶食の辛さなんか忘れて、

食に対する欲求だけが強くなっていた。

体調が良くなり、食欲も出てくると

何を食べても大丈夫な気がしてきた。

『うどんだけじゃなく、蕎麦でもいいん

じゃないか?』

『胃潰瘍の人だって蕎麦を食べてるぞ』

そう自分の都合いいように考える。

当然ながらボクは蕎麦を食べてみる。

これがまた問題なかった。

どんどん食べれるものが増えてきて

嬉しくなってきた。

この後も、安全食と言われてる食べ物は

一通り試していった。

魚であればカレイやさんま、サバなどは

安全食と言われている。

クローン病になる前、魚より肉ばかり

食べていたのだが、この頃は魚が

大好物に変わっていた。

他には豆腐も良く食べた。

白菜の葉先なども安全食と言われていて

鍋にして良く食べた。

豆腐、白菜、鶏のササミ、それにうどんを

いれた鍋は、手間もかからず食べることが

できたので良く食べていた。

そんなある時、ボクは仕事で2泊3日の

出張が必要になった。

ある勉強会に参加することになり、

1日目は13時~17時まで、2日目は

9時~17時まで。

最終日は、9時~14時で終了し解散と

いうスケジュール。

ホテルは1人部屋だから良いとして、

問題は昼食をどうするかだ。

スケジュールを見ると、昼食は弁当が

出ることになっている。

『弁当ならおかずを選んで食べれるか…』

そう思い、ボクは主催者に余計なことを

言わず参加することにした。

この頃の体調、症状を伝えておこう。

トイレの回数は2回くらいで、体調は悪く

ない。

ただ、痔ろうから若干の膿は出ている。

もちろんレミケード治療も継続中だ。

CRP(炎症反応)は、2.30前後。

(正常値は0.03以下)

数字で見ると良いとは言えないのだが、

体調は悪くなく、自身では普通の状態と

思えるような感じだった。

主治医も、CRP(炎症反応)を気に

しすぎてストレスになっても良くないし

見た感じも体調良さそうだから、

あんまり数字気にしなくていいよ。と

言ってくれていた。

弁当にNG食があれば、というかNG食

のほうが多いだろうけど、申し訳ないが

それは残そうと考えていた。

こうして迎えた出張1日目。

この日は13時に集合だ。

集まった人たちは20数名だろうか。

集まってすぐに勉強会が始まった。

17時。

勉強会が終了。

『よし、ホテルに帰って鼻チュー

しようかな』

ボクは、2泊3日分のエレンタールを

予め宿泊するホテルに送っておいた。

弁当も食べるので、極力ホテルに

帰ってからはエレンタールだけに

しようと考えていたのだ。

しかし、勉強会終了後、講師が何やら

言っている。

「今日、初めてお集りの方が多いので、

17時30分から別の会場で懇親会を

行いたいと思います」

『えっ…?懇親会するってことは…?

お酒飲むのか…?』

『お酒は断ったにしても、食事はどうだ?

立食とかのバイキング形式とかならいい

んだけど…』

懇親会なんて聞いてなかったから

急に不安になってきた。

本当は『ボクは病気で食べれないので…』

と言えばいいのだろうけど、この場で

そういうことを言える雰囲気じゃないし、

言える勇気が自分にはなかった。

言われるがままに懇親会場へ。

会場に着くと、席がロの字型になって

いる。

しかも、名前の付いたプレートが

テーブルに置かれている。

どうやらフランス料理のコースらしい。

『フランス料理って…。肉出てくるよね?』

『魚も出てくるのか…?』

ボクは今まで安全食と言われてるものしか

口にしていない。

絶食解禁後、麺類やご飯をたくさん食べる

ようになった。

しかし、NG食はチャレンジしたこと

ないぞ。。。

さすがにボクも不安な気持ちが強く

なってきた。

「お飲み物は何にいたしましょうか?」

ウェイターの方が聞きに来た。

「ウーロン茶をお願いします」

ボクは迷わずそう答えた。

皆はビールを頼んでいるようだった。

主催者が挨拶をし、懇親会がスタート。

食事は何が出てくるのか…

そればかり気になって、何を話しているか

まったく耳に入ってこなかったのである。

ーつづくー

ヒロ田

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