第35話 睾丸付近の局所麻酔は痛い

第35話 睾丸付近の局所麻酔は痛い

ボクは睾丸付近に溜まった膿を切開せずに

しばらく様子見ることにした。

肛門付近じゃないから席を立ったり、

座ったり、クシャミをしても痛みは無い。

少し違和感がある感じなだけで我慢は

できる。

ホント不思議なもので肛門付近に膿が

溜まっていると、こんな時にも肛門に

力が入っているのか…とわかるのだ。

今回は肛門付近ではなく、睾丸付近

(睾丸の下あたりで肛門に近い部分)の

ため、肛門から少しずれているからか

ちょっとした事での痛みは無かった。

ただ、歩くとズボンで刺激されるからか

少し痛みが出てくる。

そのため歩くには自然と蟹股歩きに

なってしまう。

肛門付近より痛みはマシだったのだが、

そんな痛みも一週間でピークに達して

きた。

切開すれば楽になることを知っていた

ボクは、『肛門科に行ってから一週間も

経っているし、あれから痛みも増して

きている。膿もけっこう溜まっている

だろう』

そう思い病院へと向かった。

ボク「先生、また来ました!」

医師「あれ?痛み引かないかい?」

ボク「ダメですねー。どうでしょう?

まだ切開できませんか?」

医師「どれ、じゃあエコーで診てみるかー」

看護師さんがエコーの準備をしている。

医師「あー、確かに前より増えてるなー。

これなら浅いとこまで来てるから切開して

も大丈夫かな。どうする?切開するかい?」

ボク「はい、お願いします」

医師が看護師さんに切開の準備をするよう

指示している。

準備している間、ボクはあることが気に

なってきた。

局所麻酔が痛くないか?ということを…。

ボク「先生、ところでココの箇所

(睾丸付近)って麻酔痛くないですかね?」

医師「あー、痛いかもしれないねー。

冷やしてから麻酔するかい?」

ボク「えっ?冷やしたら痛くならない

ですかね?」

医師「冷やせば麻痺して痛みは和らぐと

思うよ」

ボク「じゃあ冷やしでお願いします」

医師「おーい(看護師さんを呼んでいる)、

袋に雪詰めてきてもらえるかい?」

ボク「えっ?先生、雪???」

医師「冷やすんだもん氷でも雪でもおんなじ

だー」

ボク「マジですか…(苦笑)」

この時、外は雪が降っていて積もっていた。

医師と初めて会った人だったら『なぜ氷

じゃないんだ!』と怒る人もいるだろう。

けれど、ボクは今までの流れでそういう

ことをやりそうな医師だと知っていたから

笑っていた。

『そんなこと言ってホントは氷持って

くるんでしょ』

そう心の中で思っていたのだ。

しばらくすると看護師さんがきた。

持ってきたのは、、、

【袋に詰めた雪】だった。

本気で雪を持ってきたのだ。

これには本気で笑うしかない。

ボク「しかし先生ホントに氷じゃなくて

雪なんですね」

医師「だって冷えるものは何でも同じ」

ボク「まぁ確かにそうですけど…」

そう言いながらボクは袋に入った雪を

膿の溜まった睾丸付近、局所麻酔を打ち

そうなところにあてた。

ボク「先生、この辺りで大丈夫ですか?」

医師「うん、そうだねー、その辺でいいわ」

ボク「うわっ、先生冷たいわ~」

医師「そうでしょ、これで十分冷えるんだ」

ボク「ですね」

そう答えたのだが、同時に次なる不安が

出てきた。

ボク「先生、こうして冷やしてますけど、

こんな睾丸付近の皮の薄いとこなら冷やし

ても痛いんじゃないですかね?」

ボクは冷やしながらも局所麻酔、切開

じたいが痛いのではないか?という

不安が出てきたのだ。

医師「そりゃーオレもやったことないから

わからん。確かに薄いから痛いかもなー」

「でもヒロ田さん、歯茎に麻酔したこと

あるかい?」

ボク「はい、歯医者で抜歯するときとか

やったことありますけど…」

医師「いやそうじゃなくて自分でさ」

ボク「いやいや先生ボク医師免許ないから

自分でなんかしたことないですよー」

医師「オレあるんだ。自分で歯茎に麻酔

打ったこと。

これはメチャクチャ痛いぞ!

それに比べたら痛くないと思うけどな」

ボクは自分で歯茎に麻酔なんか打ったこと

ないから痛さなんかわからない。

けれど、医師のその話を聞いてなぜか納得

した。

相当痛いんだろうな。と想像できたから…。

そうこうしているうちに準備は進んでいく。

早く切開して楽になりたい。

そんな気持ちと、睾丸付近の切開という

ことで痛いのではないか?という不安が

頭の中で渦巻いている。

医師「じゃあヒロ田さん、そろそろ始める

かい?」

ボク「先生、お手柔らかにお願いしますよ」

医師「じゃあいいかい、ココに打つよ、

いいかい」

ボク「はい、お願いします!」

ボクは気合を入れた。

しかし、そう言ってから打つまでの

時間が空く。

こちらはいつ来るかと構えている。

まだだ。

医師「いいかい、いくよ打つよ」

ボク「はい、お願いします」

今度は針が刺さってきた。

ボク「やっぱり先生ちょっと痛いですね」

医師「もうちょっとだからちょっと

待ってよー」

そう言いながら何箇所にも麻酔を打つ。

いつもと違ってやはり痛い。

果たして切開するときはどうなるの

だろうか…。

ーつづくー

ヒロ田

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