第33話 今度はカツサンドやピザを食べた

第33話 今度はカツサンドやピザを食べた

ボクは空港に向かいながら今回の出張の

出来事を振り返っていた。

初めてクローン病のNG食というものを

口にした。

フランス料理にカツ定食…。

油の料理が多いこと、おまけに牛肉の

ステーキ、最終日にはヒレカツなど…。

『体調は大丈夫か?』

『急にお腹が痛くなったらどうしよう…?』

そんなことを空港に向かいながら気に

していた。

気になるなら食べなければ良かったのに、

ボクは食欲とその場の雰囲気で食べて

しまったのだ。

幸い空港まで何事もなく問題はなかった。

少し痔ろうで切開しているところから

膿はいつもより多く出てはきたが…。

それとお腹が少し張った感じ。

それ以外はまったく問題なかった。

早めに空港に着いたボクは、搭乗まで

時間があったので空港内を散策。

すると何となく小腹が空いてきた。

目に入ってくるものは食べ物ばかりだ。

『あっ、カツサンドだ!』

ボクはカツサンドにロックオン。

クローン病にとってのNG食。

正直迷う。

しかし、、、

『どうせ昼もカツ食べてるんだよ。

何を今さら迷ってるの?』

と自分の都合良いように考え、気づけば

カツサンドを持ってレジに並んでいる

自分がいた。

コーヒーとカツサンド。

ボクは小腹を満たすためにペロリと

食べてしまった。

この日の夜、ボクは20時に人と待ち

合わせをしていた。

食事をしながらちょっとした打合せの

予定。

行き先は特に決まっていない。

ボクは車中でどこに行こうか考えていた。

『うどんや蕎麦というのもなー…』

頭の中に食べ物屋さんをイメージする。

『あそこもあるし、あっちに行けば

こういう店もあったなー…』

そうこうしているうちに待ち合わせ場所に

着いた。

ボクの食べれるものに合わせてくれるので

ボクが食べ物屋さんを決めなければいけない。

ボクは相手にこう言った。

「ピザ食べない?いやピザだけじゃなく

パスタとか…。イタリアンにしよう」

「えっ?いいけど大丈夫?」

相手もビックリしている。

「いや実はさ、トンカツ食べたんだよ。

1日目なんかフランス料理でさ…」

とボクが伝える。

ボクはクローン病のNG食というものを

初めて食べて、しかも思ったより体調が

悪くならなかったから、変に自信がついて

しまったのかもしれない。

この翌日、ボクはレミケード治療が

待っていた。

それも気を大きくさせたのだろう。

『またレミケードをやれば痔ろうも

良くなるさ』と。。。

イタリアンレストランに入り、メニューを

見ながらどれにしようか考える。

メニューを見ていると、いろんな種類の

ものを食べたくなってきた。

数種類を注文し、シェアしようと提案する。

もし車に乗ってきてなかったら、ワインも

頼んでしまおうかという勢いだったが、

さすがにお酒は良くないと思い注文せずに

済んだ。

注文して最初に来たのはパスタだ。

「ピザは焼き上がりまで時間がかかり

ますので、もうしばらくお待ちください」

とウェイターの方がパスタを持ってきた

時に伝えていった。

パスタを食べながら3日間の出来事を

お互い報告しあう。

ボクは体調のことを気にせず、当たり前の

ようにパスタを食べていた。

しばらくするとウェイターの方がピザを

持ってボクたちの席に近づいてくる。

「お待たせしました」

『とうとう来たよピザが!』

ボクは心の中でそう叫ぶ。

ボクはクローン病になる前、ピザという

のをあまり食べたことが無い。

お腹が変にきつくなるから、あまり好んで

食べなかった。

ところが、今回はピザが無性に食べたく

なったのだ。

いつもであればピザを2切れ食べれば十分

なのだが、今回は食べても食べてもお腹が

きつくならない。

『オレ、ホント大食いになってしまった

のではないか?』

と思ってしまうくらい食べた。

『これは体重10kgも増えるよね…』

この時のボクの体重は62kg。

一時的に64kgになった。

クローン病になって入院した時の体重は

49kg。

それからすると15kg増だ。

クローン病になり、太ることができない

だろうと思っていたから増えたことは正直

うれしかった。

同時にボクはクローン病が治ったかのように

食べていく。

絶食解禁後、最初はビクビクしながらお粥を

口にし、それで問題ないことがわかると

今度はうどんや親子丼、蕎麦などに

チャレンジ。

蕎麦はあまり好ましくないと言われているが、

その蕎麦を食べても問題がなかったことで

またさらに自信がつき、今度は出張の時に

食べたフランス料理、トンカツで体調が

悪くならなかったことから、『何を食べて

も大丈夫なんだ!!』と、変に自信が

ついてきたのだろう。

こうしてボクはクローン病にとっての

NG食を食べていき、不良患者として

第一歩を踏み出したのである。

ーつづくー

ヒロ田

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