第182話 お尻のドレーンも抜け手術後初めてシャワーを浴びる

第182話 お尻のドレーンも抜け手術後初めてシャワーを浴びる

ストーマ交換が終わった後は久々のシャワー

だ。

『しかしお尻のとこにあったドレーン(管)

を抜いたばかりだというのにシャワーって

大丈夫なもんなのか…?』

『まぁ、看護師さんや先生が言うんだから

大丈夫なんだろうけど…』

『そういえば手術前の打ち合わせでは肛門を

くり抜いて…って言ってたよな。どうなって

るんだろ…』

『シャワーを浴びたらストーマのパウチ(袋)

が濡れちゃうな…』

『濡れても拭けば大丈夫なもんなのか…?』

いろんなことが頭の中を駆け巡る…。

戸惑いもあったが、約一週間ぶりのシャワー

ということもあって少し足早にシャワー室へと

向かった。

病衣を脱ぎながらお腹を確認する。

『腹腔鏡で手術してるから傷口は目立たない

な…』

『しかしパウチ(袋)でかいなー…』

『大きいからトイレに行く回数は減るかもし

れないけど、回数増えてもパウチは小さめの

ほうが良いな…』

『今まで1日に数えきれないくらいトイレ通い

してたから、それに比べたら7~10回くらい

トイレに通ってもゼンゼン問題ないしな…』

そんなことを思いながらシャワーを浴びる。

『あっ、そうだ、肛門くり抜くって言ってた

とこ、どうなってるんだろ…』

ボクは恐る恐るお尻に手を伸ばす。

『あっ、こうなってるんだ…』

くり抜いて縫うと言っていたので、肛門の部

分だけをくり抜き、その部分だけ縫っている

と思っていた。

だから本当にわからないくらいの傷口かな…

と頭の中でイメージしていた。

けれど実際は肛門の箇所だけではなく、少し

広い範囲で縫っていたので、極端な話をする

とお尻の割れ目が無くなっていると言えばわ

かりやすいだろうか…。

大袈裟に言うとそんな感じだ。

もちろん、完全にお尻の割れ目がなくなった

わけではない。

ただ、手術前に想像していた感じとは違って

いたので少しびっくりした。

『あれ、これ大きく足広げれるのかな…』

『激しい動きをしても問題ないんだろうか…』

『歩くことは問題ないからいいんだけど…』

ボクは肛門様がいなくなったことを改めて実

感した。

『いやー、本当になくなったんだな…』

『なんだか少し寂しい気もするけど…』

『でもストーマになったから楽になれたんだ

し…』

『肛門を取っちゃうっていうんだからこう

なるよな…』

そんなことを思いながらストーマにしたこと

を納得させる自分がいた。

何せ手術後初めてのシャワーだ。

ストーマになってから初めてのシャワーとも

言える。

ボクはストーマのパウチを濡らしていいものか

どうか考えていた。

『パウチが濡れた場合、バスタオルで拭けば

大丈夫なんだろうか…?』

『でもどう考えたって拭いただけじゃ乾かな

いよな…』

『ドライヤーで乾かす…?』

『と言ってもココは家じゃないしな…』

ボクは結局シャワーがパウチにかからないよ

うにしようと決めて入った。

約一週間ぶりのシャワーは気持ちよかった。

シャワーを浴びただけなのに気分が高まって

いくのがわかった。

ボクはそのまま病院内をウォーキングする

ことにした。

『歩くと腸が動いて良いって言ってるしな…』

『それに腸が癒着するのも嫌だし…』

『何より早く退院できるようにしたい』

『今から体力つけていって退院したらもっと

パワーアップしているようにしよう』

『よし、毎日ウォーキングと読書をしていく

ぞ!』

入院した時の、あの凄かった便意はもうない。

手術して1週間後にこんな前向きに考えれる

ようになっているとは思ってもいなかった。

ボクは約20分のウォーキングを終え、病室へ

と戻ってきた。

戻ってきて間もなくボクは読書を開始。

2時間くらい読書をしたらまたウォーキング。

その繰り返しをして2016年5月6日が終わっ

ていった。

翌日、2016年5月7日。

またしても病院はお休みの日。

職員数が少ないからか閑散とした院内だ。

この日も朝から読書とウォーキング。

午前中にシャワーを浴びてスッキリして、

再び読書、ウォーキング…。

2016年5月8日の日曜日も同じような行動

パターンだ。

外科の先生も朝の回診には来るし看護師さん

も1日に3回くらいは来るが、ボクのように

体調が回復した患者になるとほとんどやるこ

とは無くなる。

体にあったドレーン(管)はすべて無くなり、

点滴も無くなった。

水分に制限もなく、エレンタールは1日に1,2

00kcalを摂取。

それ以外にやることはない。

食事はどうなるのか?

消化器内科の医師は手術前に、食べてみて

様子を見て退院と言っていた。

ということは入院中に食事を摂ることになる。

それはいつになるのか…。

外科医は、食事について消化器内科の先生と

相談して決めてくださいと言っている。

今のボクはどっちつかずな状態だ。

外科の病棟に入院しているが、消化器内科に

移っても良い状態なのだ。

ただ何せゴールデンウィークがあり、平日が

1日あってまた土日で休みということもあり、

移動したくてもできないというのが現状だ。

ボクは読書、ウォーキングで1日を過ごす。

ただ、気分は物凄く良い。

たった1週間しか違わないのだが、手術前と

手術後でこんなに違うのか…と改めて思う。

『明日から通常業務だな…』

『すべては明日決まる』

『退院に近づいていることは間違いない』

そんなことを思いながら2016年5月8日も

終わっていったのである。

ーつづくー

ヒロ田

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