第168話 ストーマ手術当日(いよいよ手術の時が来た)

第168話 ストーマ手術当日(いよいよ手術の時が来た)

「ヒロ田さん、準備できたら一緒に行きま

しょうか!」

手術室に行く準備をしていると、男性の方が

立っていた。

「外科医の市村です。準備できたらボクも一

緒に手術室行きますので」

ヒロ田 「えっ?先生も一緒に行くんですか?」

市村医師「そうです。一緒に行きますよ」

ヒロ田 「わざわざいいですよ。忙しいでしょ

うから…」

市村医師「いえ、病室から手術室まで医師と

看護師が一緒に行くというのが決まりになっ

てるので」

ヒロ田 「そうなんですか。それも大変ですね」

「あっ、もう行けますよ。大丈夫です」

「父はこのまま待合室で待っていれば良いで

すか?」

市村医師「そうですね。でも手術室の入り口ま

では一緒に行けますから、このまま一緒に来て

もらっても大丈夫ですよ」

父親 「いや、いいです。このまま待合室

行って待ってますので」

市村医師「わかりました。じゃあちょっと

長い時間お待ちいただきますが、お願い

します。

じゃあヒロ田さん行きましょうか」

11時40分、病室を出て手術室へと向かう。

市村医師「そういえばヒロ田さん、麻酔かか

る前に確認しておきたいんですけど、」

手術室へ向かってる途中、市村医師がボクに

そう話しかけてきた。

ヒロ田 「はい、なんでしょう?」

市村医師「血栓できてから一度IVHのカテー

テルを抜いたじゃないですか」

ヒロ田「そうですね、抜きました」

市村医師「それで、いまヒロ田さんの血管が

点滴入りづらくなってるので、万が一の時の

ために首からIVHのカテーテル入れておい

ていいですか?」

ヒロ田「うわー、IVHしなきゃいけない

ですか?感染しやすいからできれば避けたい

とこなんですけどねー」

市村医師「そうですよね。でも手術後に万が一

腕の血管が使えなくなって栄養が送れなくな

ると、それこそ危険なのでその保険で首から

IVHのカテーテルを入れときたいんです」

ヒロ田 「そうですかー…。感染したり血栓

できたりというのが嫌なんですけどね。手術

が終わって数日して問題なさそうであれば

抜いてもらっていいですか?」

市村医師「そうですね、IVH使わなくても

栄養がとれるようになれば抜いちゃいましょ

う」

ヒロ田 「じゃあそうしましょうか」

「あっ、ということは手術前にIVHのカテ

ーテル入れますか?」

市村医師「そうですね、麻酔効いてから最初に

やることになります」

ヒロ田「わかりました」

そんな会話をしているうちに手術室の前まで

来た。

看護師「ヒロ田さん、ちょっとここで待ってて

くださいね」

そうボクに言うと、外についているインター

フォンで誰かと連絡を取っている。

しばらくするとオペ室の看護師さんらしき人

が来て、ドアを開けてもらい中に入ることが

できた。

そしてそのまま病棟の看護師さんとオペ室の

看護師さんが会話をしている。

引継ぎをしているようだ。

「じゃあヒロ田さん、私はここで病棟に帰るので

頑張ってくださいね」

ヒロ田「わかりました。ありがとうございます」

ここで病棟の看護師さんとはお別れ。

ここからはオペ室の看護師さんが担当だ。

看護師「ヒロ田さん、これから手術室へ向かい

ますが、お手洗いとか大丈夫ですか?」

ヒロ田「大丈夫です」

看護師「じゃあ手術室に向かいましょうか」

ヒロ田「ごめんなさい、やっぱり行っといて

いいですか?」

看護師「あっ、大丈夫ですよ、行ってきて

ください。ゆっくりで大丈夫ですからー」

行っても行かなくても良い感じだったが、

お手洗いという言葉を聞いて、なんとなく

便意を催してきた。

『こうもん様、いよいよお別れの時がきた。

ありがとうねー。辛い思いさせて申し訳な

かった…』

『とうとうストーマになるのか…』

『これで楽になれるな…』

『でも永久ストーマだから後悔できないぞ…』

そんなことを考えながらトイレを出た。

ヒロ田「すいません、ありがとうございます」

「手術台に横になってから漏らしても困るな

と思って…」

看護師「あっ、気になりますよね。でも大丈夫

ですよ漏れても」

ヒロ田「あと漏れても大丈夫なようにオムツ

履いてるんですけど、脱いだあと処分しても

らっていいですか?ストーマになったら不要

になるので」

看護師「わかりました。じゃあオムツは処分

しちゃいますね」

ヒロ田「けっこう長いんですね手術室まで」

看護師「そうですね、手術室が何箇所もある

し、ヒロ田さんの手術室がちょっと奥の部屋

なので余計遠く感じるかもしれませんね」

「あっ、着きましたよ。ここになります」

広い手術室にポツンと手術台がある。

『いよいよか…』

看護師「じゃあヒロ田さん、手術台にまず

腰かけて少し待っててくださいね」

そう言うと、今度は周りで準備していた人

たちが看護師さんの周りに集まる。

『というか、オレ囲まれてるよ…(苦笑)』

看護師「今日のオペの確認をします。患者さ

んは、ヒロ田さんで…』

どうやら間違いが無いように全員で手術内容

などの確認を行っているようだ。

看護師「では今日よろしくお願いします」

全員 「よろしくお願いします」

1分くらいの打ち合わせが終わったようだ。

ボクは、その間も便意を催さないか気になっ

ていた。

麻酔科医「多田です」

ヒロ田 「あっ、先生、よろしくお願いし

ます」

麻酔科医「よろしくお願いします。頑張って

いきましょうね」

市村医師「ヒロ田さん、じゃあよろしくお願い

します」

ヒロ田 「あっ、さっきはありがとうござい

ます。よろしくお願いします」

『ところで説明してくれた外科医の本田先生が

いないけど、どうなってるんだ?

本田先生が手術するって言ってたけどな…』

看護師「ヒロ田さん、じゃあ横になってもら

っていいですか?」

「まず血圧測ったりしますね」

手術室は薄暗い。

その中でどんどん作業が進められていく。

「ヒロ田さん、じゃあよろしくお願いします」

「あっ、本田先生、よろしくお願いします」

麻酔科医「それじゃヒロ田さん麻酔していき

ますね」

ヒロ田 「はい、お願いします」

麻酔していきますと言われてから何秒経った

ろうか。

数秒後、ボクは完全に夢の世界に入っていった

のである。

ーつづくー

ヒロ田

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