転院する朝を迎えた。
いま入院している消化器内科を退院して
11時頃までに転院先の病院に行く。
転院先の病院では大部屋が基本で、4~6人
部屋とのことだった。
ボクは別途料金が発生してかまわないので
個室を希望した。
なぜなら、入院しながら仕事をする必要が
あったので、個室のほうが良かったのだ。
しかし、個室に空きが無いと予め言われて
いて、その個室が空くのを待っていると
手術する日がどんどん遅くなる。
そのため、個室に空きが出たら個室に移る
という条件で6人部屋に入院することにした。
受付で手続きを済ませ、病室へと案内される。
どこの病院も同じだと思うが、病室に入り
病衣に着替えると、身長や体重、心電図を
とる。
その後、カウンセリング室というところで
看護師さんにいま飲んでるクスリや心配事、
過去にどんな病気をしたことがあるか…、
緊急連絡先などを聞かれた。
外科手術を担当する医師はその病院の部長
医師で、夕方その医師との面談があった。
手術は12月21日を予定しているとのこと。
入院したのが12月14日なので一週間後と
いうことになる。
予定では腹腔鏡での手術をするとのこと
だった。
転院してくる前に、いろいろ検査してくれて
大腸カメラや小腸バリウムの画像ももらって
いるが、ここの病院でも手術前に改めて大腸
カメラの検査をしてほしいとのことだった。
『ゲゲッ、、、また検査するのか…』
手術ができるという頭でいっぱいだったのに
また検査か…。
正直もう検査はしたくなかった。
体力もなくなっていたし、ここでまた下剤
飲んで大腸カメラ…。
ヒロ田「大腸カメラやってそんなに日にち
経ってないですけど、それでも検査は必要
ですか?」
ボクは思わず聞いてしまった。
外科医師「そうですねー。写真ももらって
いるんですが、手術の計画を立てていく上で
重要な判断をしなければいけないので、この
病院での検査も必要になるんです。検査は
大腸カメラだけで大丈夫ですので」
そうか…。
こればかりは仕方がない。
ボクは了承した。
検査は翌日12月15日に行うとのことだ。
まぁ、早く手術をしたいボクは、ちょっと
急だと思ったが受け入れた。
痔ろうの手術をして膿が排出されるように
なったからか、おかげで熱は下がってきて
いる。
ただ、点滴生活が長いからか体力が無くなり
身体がダルい。
いや体力ではなく、大腸が悪いからなのかも
しれないが…。
とにかく歩くだけでも疲れるという状態だ。
この状態で下剤を飲み、少し遠いトイレまで
歩くのかと思うと少し憂鬱になった。
病室に戻ると看護師さんが翌日の検査の予定
を伝えにきた。
朝6時からニフレックを飲む。
時間はまだハッキリしていないが、お昼近く
だと思うとのこと。
ボクは看護師さんに
「ニフレックに入れるフレーバーをお願い
します。できればアップルがいいです」
そう伝えると、
「えっ?フレーバーですか?」
と、どうも知らないような感じだ。
ヒロ田「ニフレックを飲みやすくするために
粉末のフレーバーがあると思うんですよ」
看護師「あっ、そうなんですね。ちょっと
あるか確認してみます」
しばらくして戻ってきた看護師さんが、
「ヒロ田さん、なんかフレーバー無いみた
いなんですよー」
ヒロ田「えっ?アップル以外でもいいんです
けど、違う味もないんですか?」
看護師「そうなんですよー。フレーバーじた
いココの病院には置いてないみたいです」
ガッカリだ…。
ニフレックにフレーバーを入れないで飲むの
は久々だ。
飲めるのだろうか…。
手術を前にして心配事が増える。
しかし、そんなことも言ってられない。
「しょうがないですね。フレーバー無しで
頑張ってみます!」
そう伝えるしかなかった。
翌朝6時。
看護師さんが採血、体温、血圧を測りにきた。
同時に「これも飲んでくださいね」とニフレ
ック2ℓを置いていく。
『あー、いよいよか…』
トイレはけっこう遠くにある。
ただでさえお腹が下っているのに、ニフレ
ックを飲んだらどんなことになるのだろう…。
不安になりながらも一口、二口と飲んで
いく。
二口くらいまではどうにかいける。
けれど、飲み続けていると不味くなって
くる。
何とか少しずつでも飲み進める。
腸の炎症がひどいからか、すぐ反応がくる。
トイレに駆け込む。
大した量を飲んでいないのに、すぐトイレ
に行きたくなる。
コップ2杯飲んだだけでトイレに6回行った。
絶食もしているからか、すぐキレイになる。
ここの病院ではキレイになった時に、確認
するのでトイレを流さずナースコールして
欲しいとのことだった。
ボクはこれで大丈夫だろうと思う段階で
トイレからナースコールをした。
あまりの早さに看護師さんもビックリして
いたが、キレイになっているのでOKが
出た。
キレイになっているから良かったものの
もしまだダメだったらニフレックを飲み
続けるのは厳しかったかもしれない。
幸いなことに700mlくらい飲んでキレイ
になり、それ以降飲まなくて良くなった
ボクは、気持ちが晴れやかになってきた。
あとは検査の時間を待つだけだ。
ーつづくー
ヒロ田