「ヒロ田さん、検査呼ばれましたので一緒に
いきましょう」
今日の担当看護師さんが呼びに来た。
2014年5月27日。
今日は、大腸カメラとバルーン拡張術をする
日だ。
担当の看護師さんと透視のできる検査室へと
向かった。
病院が変わって初めての大腸カメラだ。
病院が変わると、若干、手順も変わるようだ。
前の病院は病室から検査着に着替えて行った
のだが、今回の病院では検査室まで行き、廊
下を挟んだ向かい側に着替える場所がある。
ボクは、そこで着替えをして呼ばれるまで待
っていた。
だが、なかなか呼びに来ない。
心配になり「着替え終わりましたから」と
念のため伝えると「もう少し待っててくだ
さいね」と何かを準備しているようだった。
「はい、ヒロ田さんお待たせしました。
じゃあ、こちらに移動しますね。」
そう言われ更衣室から検査室へと移動した。
検査室には医師が二人いる。
1人はIBD専門の医師(以下IBD医師)。
そしてもう1人は検査が上手いと言われてる
医師(以下、検査医)をIBD医師が他の病院
から呼んだとのことだった。
ボクは再度伝えた。
「先生、痛かったらすぐにホリゾンお願いし
ますね。ホリゾン打ってもボク寝ませんから
大丈夫です」
IBD医師「うん、もちろん痛いようならホリ
ゾン打つから心配しないで」
看護師「ヒロ田さん、ホリゾン打っても寝な
いんだー」
ヒロ田「そうなんですよ、慣れたからかお酒
に酔った感じでいい気分になります」
看護師「そうなんですねー」
看護師「それじゃ、まず腸の動きを抑える
注射しますよ」
点滴をしているため、そのルートを使って液
剤を入れていく。
痛みもなければ気持ちよくなるわけでもない。
腸の動きを抑える注射を打ったのを見計らっ
て検査医が「それじゃ始めますか」と言い、
「キシロカインゼリーをお尻(肛門)に塗り
ますね」と続けた。
ヒロ田「あっ、何か痛いですね」
検査医が肛門にキシロカインゼリーを塗るだ
けで痛い。
『肛門が狭くなっちゃってるのか…?』
ヒロ田「なんかやっぱり痛いですねー」
IBD医師「えっ?痛いかい?肛門も狭いのが
良くなってきたと思ったけど…」
検査医「そっかー、これ痛いかー…」
ヒロ田「先生、ホリゾン使ってもらったほう
がいいかも。寝ませんから」
IBD医師「うん、わかった、そうしようか」
検査医「そうだ、いいこと考えた。これ痛く
ないでしょ?」
何かを肛門に入れてるようだ。
ヒロ田「はい、痛くはないです」
検査医「じゃあね、キシロカインゼリーをこ
れで肛門から少し入れて痛みを軽減するよう
にしますね」
どうやら注射器で、キシロカインゼリーを
注入したようだ。
検査医「これで少し効くまで時間おきますね」
その間に看護師さんがホリゾン(眠る注射)
を準備している。
IBD医師「じゃあホリゾン入れるかい」
看護師さんが点滴のルートを使って入れて
くる。
ヒロ田「ゆっくりお願いしますね」
看護師「わかりましたよ。ゆっくりね」
ホリゾンは、血管痛が凄い。
針先がビリビリくるだけならいいけれど、
入れるスピードによっては血管がメチャク
チャ痛くなる。
なので、ゆっくり注入してもらう。
ヒロ田「あー、きましたねー」
だんだんフラフラっとしてきた。
これが何とも言えない気持ちよさだ。
しかし、そう思った瞬間、半分の液剤を残し
打つのを止めてしまったのだ。
『あれ?マジかよ、これで本当効くのか?
それともこれから効いてくるのか?』
そう心の中で思っていた。
検査医「それじゃ始めますね」
検査がスタートした。
いつもの大腸検査とは違い、妙に冷静に検査
を受けていた。
普通の人ならそれが当たり前なのだろうけれ
ど、ボクは眠りながらの検査しか受けたこと
がないから、何だか変な感じだった。
検査医がどんどんカメラを奥に入れていく。
IBD医師「あっ、これ拡張しなくても大丈夫
そうだね」
検査医「そうですね、狭くなってないですか
らね」
IBD医師「ヒロ田さん、これバルーン拡張し
なくて良さそうだわ」
ヒロ田「あっ、ホントですか?狭くなってな
いってことですか?」
IBD医師「うん、たぶん絶食を続けてたこと
と、ヒュミラが効いてきて良くなってるんじ
ゃないかと思うよ」
IBD医師「あっ、これが手術したとこかな…
?」
検査医「そうですね、ここバイパスになって
ますね。ちょっとココ写真一枚お願いします」
検査は、バルーン拡張をやる予定でいたので
透視のできるレントゲン室での検査だった。
どうやら、医師がレントゲン技師さんに写真
を撮るよう指示している。
検査医「ちょっと先生ここでガストロ入れて
撮影しときますね」
IBD医師「うん、そうだね」
検査医「今ね、奥から写真撮りながら検査し
てますからね」
医師が不安にならないよう、ボクに説明しな
がら検査をしてくれる。
ヒロ田「けっこう炎症凄そうですね」
ボクは自分の腸の状態をカメラで見ながら
医師に伝えた。
IBD医師「いや、これはねー、むしろ良くな
っていってる状態かな」
ヒロ田「あー、そうなんですか?なんか炎症
が凄そうに見えましたけど…」
IBD医師「うん、これは良くなっていってる
ところなのさ」
IBD医師とボクが話している最中も検査医は
どんどん続けていく。
検査医「はい、ここで一枚お願いします」
「はい、ここでもお願いします」
IBD医師と検査医は、初めてボクの腸を見た
からか、細かく見ているようだ。
手術した場所が今どうなっているのか?
炎症が今よくなってるのか悪くなってるのか
?
ボクのような素人が見たところでさっぱり
わからない。
けれど、さすがに医師はプロだからそれがわ
かるのだろう。
検査終盤になり、ボクは安心したのか、医師
たちの検査に感心しきっていたのである。
ーつづくー
ヒロ田