第55話 退院日~頭の中は不安と食べ物のことばかり
12月28日の朝を迎えた。今日は退院日だ。手術して何とか年末までに退院できるようになった。嬉しい気持ちと年末年始は病院が休みになるため、不安な気持ちが入り交じる。迎えに来てもらえるのは夕方だ。それまでボクは今までと同じように生活しようと考えた。
泣いて暮らすも一生、笑って暮らすも一生
12月28日の朝を迎えた。今日は退院日だ。手術して何とか年末までに退院できるようになった。嬉しい気持ちと年末年始は病院が休みになるため、不安な気持ちが入り交じる。迎えに来てもらえるのは夕方だ。それまでボクは今までと同じように生活しようと考えた。
昨日は具合が悪くなりエレンタールを途中で中止した。また今日もエレンタールを中止することになると退院も延びてしまうかもしれない。何とか今日のエレンタールは成功させたい。そこでボクは600kcalを1時間あたりゆっくり落として慣らしていこうと考えた。
朝の回診時、食事の話が出ていたので、ボクは『今日から食事が出るのではないのか?』そう期待していた。ところがその期待とは裏腹に、食事をせずエレンタールで栄養を摂っていく。という判断だった。『なぜ手術したのに…』ボクはショックを受けた。
相変わらず歩くときは愛敬礼スタイルだ。点滴スタンドを押しながら前に進む。それでも手術後一日目にはベッドから起きることもできなかったことを考えると進歩している。そんな中、手術後三日目に食事の話が出てきた。『おっ、いよいよ食事開始か…?』ボクは期待した。
尿道のカテーテルは今日抜くか?明日抜くか?と聞かれたボクは、少しでも自分の身体から管を無くしたかったので、今日抜くことを選択した。しかし言った後で少し後悔した。なぜなら『痛いのではないか?』という気持ちが強くなってきたからだ。
手術後二日目。今日こそ歩かなければいけない日だ。ボクは朝からベッドから出て立ち上がっているイメージトレーニングをした。『明日は絶対に立ち上がります!』そう看護師さんにも宣言したのだから、今日もダメだったというわけにはいかない。
「手術翌日から、皆さん起きて歩いてますよ!」ボクは手術前にこの言葉を聞いていた。『そんなに回復が早いのかー』と感心していた。そして手術翌日を迎える。朝から腹部のレントゲンを撮る。『少し動かされただけでも痛いぞ。大丈夫か?』
大腸バイパス手術を執刀してくれる外科医とも挨拶をし、いよいよ麻酔だ。『麻酔されるとフラフラ~っときて一瞬気持ち良くなってから寝ていく感じなのかなー』『それとも数字を数えている間に寝てしまうというあのパターンか…』そんなことを一瞬にして考える。
2009年12月21日。いつもと変わらない朝を迎えた。今日は大腸バイパス手術の日だ。不安も緊張もない。なぜなら手術後のイメージができていたからだ。順調にいけば一週間後には退院できる。年末年始はゆっくり休むことができ、しかも楽しみながら食事ができるぞ!そんなことをイメージしていた。
手術をする前に術前検査というものがある。ボクは手術2日前に身長、体重、肺活量や耳たぶに針を刺してどれくらいで血が止まるかを計測する。痛いこと辛いことは何もない。淡々とこなすだけ。手術前日には麻酔科医と外科医からの最終打合せがあった。