第117話 生食を変更しても輸液剤はスムーズに流れない?

第117話 生食を変更しても輸液剤はスムーズに流れない?

生食(生理食塩水)20mlをフラッシュする

ことで、詰まることはないだろう。

そう期待しながら自宅に帰ってきた。

その日の夜、ボクは20mlの生食でフラッシュ

してから高カロリーの点滴をスタートさせた。

翌日、朝起きてからも同じように20mlの生食

をフラッシュし、仕事へと向かう。

ここまでは特に問題は無い。

10ml多くなったことで、フラッシュにちょっ

とだけ時間がかかる程度だ。

夜、自宅に帰ってきたボクは、早速高カロリ

ーの点滴を準備し、準備が整ってから20mlの

生食をフラッシュする。

『あれ…重い。流れていかないぞ…』

なんと生食20mlをフラッシュしても流れて

いかない。

『なぜだ、なぜなんだ…?』

ボクは10mlの生食をフラッシュしていた時

と同じように、押したり引いてみたりする。

何回かやっていると生食が流れるようになっ

た。

『いったい何なんだ?』

結局10mlの生食も20mlの生食も変わらない。

『それともちょっとは変わっているのか?』

ボクは、高カロリー点滴のエルネオパをスタ

ートさせながら、頭を整理していた。

次の日の朝、また同じように20mlの生食を

フラッシュする。

そして仕事に向かう。

自宅に帰ってきて、点滴の準備をし20mlの

生食をフラッシュしてから高カロリー点滴を

スタートさせる。

2日目も、状況は変わらず10mlの生食をフラ

ッシュしている時と同じで流れづらい。

何度か押したり引いてみたり…。

『いったい何なんだ?生食の量を20mlに増

やしたのに変わらないなんて…』

20mlの生食をフラッシュするようになって

3日目に入った。

朝起きて、いつもと同じように20mlの生食

をフラッシュする。

針は一週間つけっぱなしだから、まだ取り換

える日ではない。

いつもと同じようにフラッシュしてからシャ

ワーに入り、仕事に行く準備をする。

『しかし、なんで上手くいかないのかなー…

シャワー浴びながら何故うまくいかないのか

を考えてみる。

今日は、午前中だけ仕事をする日だ。

そして、またその日の夜というか深夜近くか

ら仕事がある。

そのため、午前中の仕事が終わって、すぐに

高カロリーの点滴をする必要がある。

午前中の仕事を終えたボクは、すぐに高カロ

リー点滴をスタートさせる。

朝、20mlの生食をフラッシュしてから4時間

後に再び高カロリー点滴のスタートだ。

いつもと同じように20mlの生食をフラッシュ。

すると、スムーズに流れるではないか!!

『あれ?やっぱり4時間くらいの時間だと詰

まらないのかな…?』

そんなことを思いながらスタートさせた。

こうなるとボクの頭は、ますます混乱してき

た。

針をつけっぱなしでもフラッシュしてから

4時間後くらいなら次に生食をフラッシュし

ても流れが良い。

でも8時間以上超えちゃうと(仕事を終えて

帰ってくると8時間は超える)10mlの生食だ

ろうと20mlの生食だろうと関係なく詰まっ

てしまう。

『ということは、やはりフラッシュしてから

時間が空くと輸液剤が固まりやすいというこ

とか…?』

何が原因かがわからなくなってきた。

朝を迎えたボクは、いつもと同じように

点滴の後処理をする。

20mlの生食に変わってから4日目の朝を迎え

た。

針を新しいものに交換するのは二日後。

当然のことだが、針を抜いて新たに針を刺す

ときは、生食もスムーズに流れるので心配す

ることはない。

いつものように仕事が終わり、自宅に戻って

きて点滴の準備をする。

20mlのフラッシュをするために針のチュー

ブを見てみると…

『あれ…クランプが外れているぞ…』

針についてるチューブ(ヒューバー針を使用)

に、空気が入ったりしないようカチッと止め

れるクランプがついている。

そのクランプが開いているではないか。

『朝は確かに止めたはずなのに…』

普通であればクランプが開くと、液が漏れた

りしてきてチューブの中身(生食)が空にな

り、空気が入ったりする可能性がある。

しかし幸いなことに、チューブの先にあるル

アーコネクターというところにジョイントを

つけていた。

点滴とつなげるときに、押して回すことで点

滴が流れるようになっているため、たとえク

ランプが開いていたとしても、漏れたり空気

が入ったりすることがないというものだ。

『いや~良かった』

そのジョイントというものがついていたおか

げで助かった。

いつもは、生食の入ったシリンジをチューブ

と接合させてから、クランプを開きフラッシ

ュする。

しかし今日に限っては、その必要がない。

すでにクランプが開いてしまってるからだ。

なのでコネクターに生食の入ったシリンジを

差し込み、そのまま注入する。

いつもは、この時にスムーズにフラッシュす

ることができない。

その原因が、チューブの中に残っているであ

ろう高カロリー点滴のしわざ。

今回もスムーズにいかず、何度か生食の入っ

たシリンジを押したり引いたりして圧をかけ

て流さないとダメなんだろう。

そう思っていた。

しかし…

なんと一回でスムーズに生食が流れた。

重くもなくスーッと簡単に押せたのだ。

『あれ?何でだ?』

ボクはすぐにいろんなことを考えた。

今までと何が違うのかを…。

決定的に違うことといったら、クランプが

開いていたということだ。

今までクランプが開いていたということはな

い。

だけど、クランプが開いていてなぜスムーズ

にフラッシュができたんだ…?

ボクは今まで起きたことを頭の中で整理し始

めたのである。

ーつづくー

ヒロ田

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