2016年3月26日。
入院四日目の朝がきた。
土曜日なので検査は無い。
早く手術したいと思っているボクにとっては
土、日、祝は不要だ。
しかし、こればっかりは自分で変えることが
できないからしょうがない。
ただ、入院三日目の昨日、IVHのカテーテル
を入れたので、高カロリーの点滴がスタート
する。
手術に向けて少しでも体力をつけるための点
滴なので、一歩前進しているということにな
るだろうか…。
朝、回診で主治医とIBDチームの医師がきた。
主治医「ヒロ田さん、ちょっとカテーテルの
ところ見せてもらえる?」
ボクは鎖骨下に入ってるカテーテルを見せた。
主治医「問題ないね。それじゃ高カロリーの
点滴を処方しておくから今日からやっていこ
う。おそらく午後からのスタートになると思
うけどねー」
ヒロ田「わかりました」
主治医「それで来週の28日月曜日、小腸バリ
ウムやるね」
ヒロ田「あっ、小腸バリウム必要ですか…」
主治医「うん、そうだねー。手術する前に小
腸にも病変があるか診ておかないと…」
ヒロ田「そうですかー。しょうがないですね。
じゃあ鼻からチューブ入れるの自分でやって
もいいですか?」
主治医「あー、チューブねー。十二指腸まで
入れなきゃいけないから、胃までは入るかも
しれないけど…。まぁ状況見ながらだね」
ヒロ田「はい、ちょっとやれるとこまで自分
で入れたいので」
主治医「うん、まず当日やってみてだね」
ヒロ田「そうですね。お願いします」
やはり小腸バリウムはやらなきゃいけないよ
うだ。
できれば避けたい検査だ。
鼻からけっこう太めのチューブを入れていき、
十二指腸にチューブが到達したら、そのチュ
ーブを利用してバリウムを入れていく。
鼻からチューブを入れるのは慣れている。
ただ、バリウムを入れていくため、終わった
後に下剤を飲まされる。
錠剤だから飲みづらいとかはないのだけど、
トイレの回数が多いうえに下剤を飲まされる
のが辛い。
しかし、ストーマ(人工肛門)にするために
はやらなければいけない。
考えているとちょっぴり憂鬱になってきた。
それはさておき、今日から高カロリーの点滴
がスタートする。
『高カロリーの点滴で少し体重が増えてほし
いな…』
ボクのこの時の体重は44kg。
クローン病になる前の体重は62kgだから、
18kg減ということになる。
高カロリー点滴で増えていくことを願う。
14時頃、看護師さんが高カロリー点滴を持
って病室に入ってきた。
看護師「ヒロ田さん、今日から点滴変わりま
す」
ヒロ田「この点滴でちょっと体重増えてくれ
ないと…」
看護師「そうですねー。手術できるように体
力つけないとですもんね」
こうして高カロリーの点滴がスタートした。
今日の予定はこれで終わりだ。
ゆっくりテレビでも…と言いたいところだが
相変わらずトイレの回数が多くて、ゆっくり
していることすらできない状況だ。
トイレのこと、そして来週月曜日に小腸バリ
ウムがあることで憂鬱になりながら入院四日
目の夜が過ぎていった。
2016年3月27日日曜日。
入院五日目の朝だ。
今日も予定は何もない。
高カロリーの点滴交換くらいなものだ。
時間はたっぷりあるのだから、本でも読んで
みようかと思うけれど、2~3行も読むと飽き
てくる。
というよりも集中力がないのだ。
頭の中がトイレのことと、明日の小腸バリウ
ム、そしてストーマ(人工肛門)になった時
のことなどが頭にあって、とてもじゃないが
本を読む気になれなかった。
ベットで横になり、テレビをボーッとみてい
るか、トイレに行ってるかのどちらかだ。
『ストーマになったら便意を感じないのだか
ら楽になるだろうな…』
『それまではもうしばらくの辛抱だ…』
『明日は小腸バリウムだ。先日は大腸カメラ
をやっているから、そろそろ検査は終わりに
なるんじゃないか?』
『そうすると具体的に手術の日が決まるんじ
ゃないか…?』
『胃カメラもやるのかな…』
『どっちにしても残る検査はそんなにないは
ずだ。小腸バリウムが終われば手術も近いの
では…?』
トイレの回数も多く、お漏らしをするかもし
れないという不安もあるし、小腸バリウムも
翌日に控えてることもあり、精神的に参って
いたが、ストーマ手術が近いということをイ
メージし、どうにか前向きな気持ちを保ちな
がら入院五日目の夜を迎えたのである。
ーつづくー
ヒロ田