第59話 手術後5日目に玉子と穴子のお寿司を食す
一泊二日で実家に行ってきたボクの次の予定は、入院中にお見舞いに来てくれた叔母の家に行くことだった。社会人になってから、いとことも会う機会が無かったため、この日、久々に再会する。しかし手術後なのであまり無理しないよう短時間で帰ってくる予定だった。
泣いて暮らすも一生、笑って暮らすも一生
一泊二日で実家に行ってきたボクの次の予定は、入院中にお見舞いに来てくれた叔母の家に行くことだった。社会人になってから、いとことも会う機会が無かったため、この日、久々に再会する。しかし手術後なのであまり無理しないよう短時間で帰ってくる予定だった。
大晦日は実家で過ごすことにした。手術が終わって年内に退院できるとわかってから、『今年の年越しは実家で両親と過ごそう』そう決めていた。クローン病になってもあまり思ってはいなかったのだが、手術したからか急に母親の手料理を食べたくなったのだ。
手術後、いや手術をするために入院した時から、ボクは離れて暮らす母親の料理が食べてくなっていた。『食べれるのが当たり前』と思っていた時、食べることへの感謝の気持ちが少なかったボクは、手術することになって食べれることへの感謝の気持ちが強くなったのだ。
あと2時間後には迎えが来る。病室を片付けなければいけない。けれど面倒でなかなか進まない。テレビを見ながらどうにか片付けをした。退院してからは『ご飯を食べてみる』と決めていた。頭の中は食べ物のことでいっぱいだ。自宅に着いてボクは早速パソコンを立ち上げた。
12月28日の朝を迎えた。今日は退院日だ。手術して何とか年末までに退院できるようになった。嬉しい気持ちと年末年始は病院が休みになるため、不安な気持ちが入り交じる。迎えに来てもらえるのは夕方だ。それまでボクは今までと同じように生活しようと考えた。
昨日は具合が悪くなりエレンタールを途中で中止した。また今日もエレンタールを中止することになると退院も延びてしまうかもしれない。何とか今日のエレンタールは成功させたい。そこでボクは600kcalを1時間あたりゆっくり落として慣らしていこうと考えた。
朝の回診時、食事の話が出ていたので、ボクは『今日から食事が出るのではないのか?』そう期待していた。ところがその期待とは裏腹に、食事をせずエレンタールで栄養を摂っていく。という判断だった。『なぜ手術したのに…』ボクはショックを受けた。
相変わらず歩くときは愛敬礼スタイルだ。点滴スタンドを押しながら前に進む。それでも手術後一日目にはベッドから起きることもできなかったことを考えると進歩している。そんな中、手術後三日目に食事の話が出てきた。『おっ、いよいよ食事開始か…?』ボクは期待した。
尿道のカテーテルは今日抜くか?明日抜くか?と聞かれたボクは、少しでも自分の身体から管を無くしたかったので、今日抜くことを選択した。しかし言った後で少し後悔した。なぜなら『痛いのではないか?』という気持ちが強くなってきたからだ。
手術後二日目。今日こそ歩かなければいけない日だ。ボクは朝からベッドから出て立ち上がっているイメージトレーニングをした。『明日は絶対に立ち上がります!』そう看護師さんにも宣言したのだから、今日もダメだったというわけにはいかない。