ストーマ手術の退院二週間後くらいから、面板(プレート)の溶けが多くなってきた。
入院中は何事もなく、ストーマにしたことで頻回にトイレに行くこともなくなり、このまま快適に生活できるぞ!
そう思っていたのも束の間。
ここにきて不安材料が増えてしまったのである。
2016年6月1日。
この日は久しぶりに仕事復帰する日だ。
頻回にトイレに行くことも無くなり、万が一のためのオムツも不要になった。
ただ、面板(プレート)が溶けて仕事しているときに漏れては来ないか?
他人と会った時、ストーマにしたことで臭ったりはしないか?
そんなことが気になり、いつもより少し早めに目が覚めた。
ボクの使用しているストーマ装具は、4日に1回くらいの交換で良いのではないかと言われている。
2日前に交換したばかりだが、仕事しているときに漏れても困ると思い、早朝から装具交換をすることにした。
『あれ、2日しか経ってないのに、けっこう溶けてるぞ…』
『なんで2日しか経ってないのにこんなに溶けてるんだ…?』
『これホント4日持つんだろうか…』
『2日でこんなに溶けているなら、2日に1回交換しなきゃいけない…?』
『となると1ヶ月で15枚の装具が必要ってことか…?』
『だとすると、今の装具を使っていたら1ヶ月でけっこうなお金がかかるな…』
『2日に1回交換用の装具に変えたほうが良いってことかな…』
ボクはそんなことを考えながら面板(プレート)を皮膚から剥がした。
『あっ、これって、へそ側が極端に溶けている感じだよね…』
『ということは、他の箇所の皮膚と違ってへそに窪みがあるから、溜まった便がへそ側に寄っていってるってことか…?』
『へそ側以外に溶けはないし…』
『入院中は問題なかった。でも二週間経って溶けが気になるようになった。考えられることと言ったら…?』
『体重が12kgくらい増えたな…』
『あと筋トレをやってるな…』
『うーん…、あとはなんだろ…、思いつかないな…』
ボクはそんなことを考えながらストーマ装具を交換した。
『いま二品系(ツーピース)を使ってるけど、単品系(ワンピース)のほうが金額的に安いよな…』
『それで一日おきに交換というのもありか…』
『そうするとして、今ある二品系の残りはどうする?』
『今ある二品系で試すことと言ったら、きっちり貼りつけるということか…』
『あと皮膚保護剤があるって言ってたな…。それが今の自分に必要か調べてみるか…』
ストーマ装具の交換が終わってからも、頭が休まる暇もない。
今後よりよくするためにどうすべきか?ということをひたすら考えていた。
午前中に仕事を済ませたボクは、午後からメーカーに気になっていることをメールで問い合わせた。
すると数時間後TELがかかってきた。
ボクは、今まであったことの状況説明と、対策として皮膚保護剤を使用したほうが良いか聞いてみた。
皮膚保護剤は、便で皮膚が荒れないように保護すること、同時に面板の溶けも軽減させるのが目的とのことだった。
購入する前に皮膚保護剤のサンプルを送付するので使ってみて判断してほしいということになり、有難く送ってもらうことにした。
早々に届いたため、早速使ってみる。
『1つをそのまま使うようだが、カットして気になるところだけにつけても良いと言ってたな…』
『まず様子見でへそ側が気になるからそこだけつけようか…』
そう考えながら面板(プレート)を皮膚から剥がした。
『あれ、やっぱりへそ側だけ溶けてるな…』
『へそのところの傷跡が原因なのかな…』
『あと考えられるのは、面板のカットの大きさか…』
面板のカットは、自身のストーマサイズより2㎜くらい大きくカットすると教わった。
けれど、その2㎜大きくカットしていることが良くないのではないか?
そう考えたのだ。
というのも、手術後は、ストーマサイズも不安定だが、徐々に落ち着いて術後よりも小さくなってサイズが安定するようなので、術後2週間でボクのストーマサイズも小さくなり、それで落ち着いたのでは?
そう考えたのだ。
ボクは、ストーマサイズと同じ大きさでカットすることにした。
『えっと、今まで35㎜くらいでカットしてたから33㎜くらいでカットするか…』
『で、いただいたモルダブルリングをカットして…』
ボクはサンプルでいただいた皮膚保護剤モルダブルリングを3分の1カットして、へそ側のストーマ横に貼りつけた。
『よし、じゃあ面板(プレート)をこの上から貼りつけて…』
『あっ、もう少し小さくカットしても良かったか…』
『33㎜でカットしたけど、次回から32㎜でカットしても良いかもな…』
面板を貼りつけてから気づいたのだが、ストーマとの間に少し余裕があることに気づいた。
しかし、それ以外のやるべきことはすべてやった。
ボクは今までより2㎜小さくカットしたこと、皮膚保護剤のモルダブルリングを溶けやすいへそ側のストーマ横に貼りつけたことで少しホッとした。
しかし、このあとも試練はどんどん訪れるのである。
もちろん、当の本人はそんなことを思っていないのだが…。
ーつづくー
ヒロ田