シートン手術が終わり、ボクはクローン病の
診察へと向かった。
13時~採血をして、14時過ぎから診察の予定
なのだが、シートン手術後まっすぐ来たため
予定より早く着きすぎた。
時間は12時をちょっと過ぎたくらい。
ただ、採血は早くても良いので、病院に着い
てすぐに採血へ。
予定通りでいくと診察までの時間は1時間30
分ある。
コーヒーとか飲みながら、のんびりと待って
ようと考えたが、シートン手術後だからか少
し身体がダルい。
それに喉も渇いていて、コーヒーという感じ
じゃなかった。
ボクは自販機で水を買い、診察室近くの待合
室で待ってることにした。
シートン手術が終わって安心したからなのか、
それともシートン手術後の疲れ?麻酔の影響?
何が原因かはわからないが、いつしか待合室
の椅子で寝てしまっていた。
30分くらい寝たのだろうか…。
「ヒロ田さん、ヒロ田さん…」
女性の声が聞こえてきた。
ハッとして起きたボクの横には、外来担当の
看護師さんがいる。
看護師「いや~、寝てるからさー、起こさな
いでいたんだけど、もう少しで診察だから起
こしちゃったんだけど、どう?体調?」
ヒロ田「肛門科行ってシートン手術してきた
んですよ」
看護師「えっ?いつ?今日?あららそれは大
変だったね」
ヒロ田「そうです。その影響からか、何とな
くダルい感じがします」
「あと、ここ見てください」
そう言ってボクは、MRIポートを入れた左側
の鎖骨下を見せた。
看護師「あらー、どうしたの?赤くなってる
よ。いつから?」
ヒロ田「2~3日前からなんですけど、ちょっ
と痛痒くなってきて…」
看護師「あれー、熱ないかい?」
ヒロ田「いやーどうでしょう?」
看護師「ちょっと測ってみよう」
そう言って看護師さんが体温計を持ってきた。
測ってみると37度5分だ。
『ダルい原因はコレか…』
看護師「あれー、熱あるね。ポートのところ
化膿しちゃって熱出てるのかねー…」
ヒロ田「いやー、シートン手術したからなの
か、ポートの影響なのか、どっちかわかんな
いんですよね…」
看護師「そうだよねー、とりあえずもう少し
で診察だからさ、先生に言ってみて」
何と、ダルかったのは熱が出ていたせいだっ
た。
看護師さんに見てもらうと、ポートを入れて
るところの皮膚が赤く腫れあがっていると言
っていた。
『いやー、厄介だなーこのポートの腫れてる
のは…』
ボクはシートン手術も終わり、後はポートで
しばらく高カロリー点滴をやれば、ずいぶん
良くなるだろうと考えていた。
だが、状況が変わった。
一体どうなってしまうのか…。
そんなことを思っていると、主治医からボク
の名前が呼ばれた。
ボクは、診察室へと入っていく。
主治医「どうだい?」
ヒロ田「今日、紹介してくれた肛門科に行っ
てシートン手術をしてきました」
主治医「あっ、行ってきたんだー。どうだっ
たい?」
ヒロ田「はい、順調にいって排膿もされてる
ようで楽になりました」
「ただ、ここ見てください」
そういってボクはMRIポートの入っている左
側の鎖骨下を見せた。
主治医「あれ?化膿しちゃった?いつから?」
ヒロ田「2~3日くらい前から、なんだか痒み
が少し出てきて、ちょうど針の差し替え時期
だったから、ちょっと痒みがあったけど、新
しい針と交換したんです。それでもゼンゼン
良くならなくて、徐々に痛痒い感じがしてき
て少し赤みが出てきたのが今日なんですよ」
主治医「うわー、それなんか嫌だなー…」
「あっ、CRPも高いもんねー」
ヒロ田「えっ?どれくらいです?」
主治医「7.00あるもんなー…」
ヒロ田「さっき熱も計ったら37℃5分でした。
でもシートン手術もしてるし、どっちで熱が
あってCRPが高いのかも今となってはわかり
ませんよね…」
主治医「いやー、どっちにしてもそのポート
は抜去しちゃったほうがいいねー」
ヒロ田「もう使うことは出来ないですか?」
主治医「やめたほうがいいわー」
ヒロ田「うわー、そうですかー…。せっかく
シートン手術して、しばらく高カロリー点滴
すれば、ずいぶん良くなっていくと思ったん
ですけどねー…」
主治医「うん。でも、それは早いうちに抜去
しないとダメだわ」
ヒロ田「いつやります?」
主治医「できれば今日やっちゃったほうがい
いなー」
どうやら8年くらい前につけたMRIポートは
とうとう使えなくなったらしい。
そのままにしていると感染症になって危ない
とのことだ。
確かにMRIポートを入れる時に、こういう状
況になったら取らないとダメだということは
聞いていた。
5年でダメになったりする人もいるらしい。
ただボクの場合は、そんなに使ってなかった
し、使う時は毎日針を刺し換えていた。
それが良かったのか、長持ちしたほうだ。
おそらく、今回も毎日針を刺し換えていれば
こうにはならなかったのかもしれない。
でも、もう手遅れだ。
仕方がない…。
主治医はこの後も診察があるため、抜去は違
う医師にお願いしようと、電話でいろんな医
師に抜去できないか確認している。
ボクは、MRIポートが無くなってから、どの
ように栄養を摂るのが良いか?
今日からどうする?
エレンタールになるのか?
『シートン手術が終わり、これから栄養管理
もしっかりやって体調良くしていこうと思っ
ていたのになー…』
いろんなことが頭の中を駆け巡っていたので
ある。
ーつづくー
ヒロ田