第87話 結核ではないのに痰を3日間取ることになった

第87話 絶食続きで塩気が欲しくなり昆布茶を探す

入院してから2回目の日曜日がきた。

そんな日曜日の朝も、IBD専門医師(以下IB

D医師)はやってくる。

「ヒロ田さん、どうですかー?」と…。

患者としては担当してくれている医師が来て

くれるのは有難いし安心する。

ただ来てくれるのは嬉しいのだが、休んで

ないのが心配だ。

ヒロ田「しかし先生、日曜日も毎回出てきて

凄いですねー。休んでないんじゃないですか

?」

IBD医師「大丈夫、日曜日は来て顔出したら

すぐ帰ってるから(笑)」

「何とかあと2日間、頑張って痰出してくだ

さい。血液検査の結果とか尿検査、あと痔ろ

うの手術したときに膿も取っているので、そ

の検査結果が月曜日か火曜日くらいに出てく

ると思うので、それで問題なければクローン

病の治療に入っていきましょう」

とりあえずこの時点で月曜日までは個室にい

ることが決定だ。

個室は嬉しい。けれど退院が延びるのは嫌だ。

そう思うのはボクがわがままなのだろうか?

それとも人間という生き物がわがままに

できているのか…?

日曜日は検査もなく何もすることがない。

あるとすれば看護師が数回来て体温と血圧を

測り、体調はどうか聞いていくだけだ。

それにボクは点滴があるから、その交換くら

いなもの。

とにかく午前中にシャワーを浴びてスッキリ

する。

だんだんと頭の中は仕事モードに入ってきた。

体調不良の時は、正直何も考えたくなかった。

というより、考えなければいけないんだけれ

ど集中できないため、ボーッとしながらテレ

ビを見ることしかできなかったのだ。

けれど、今日からは何かが違う。

テレビを見ずに、パソコンに向かうことが多

くなった。

やることがたくさん出てきたのだ。

気力も必要だけれど、やはり体力が限界にく

ると人間、動きが止まってしまう。

気力だけでは動けなくなる。

今回ボクは改めてそう思った。

退院してからの計画、これからやろうと思っ

ていること、今までやってきたことを見直し

たり…。

そんなことをやっていると、あっという間に

夜になっていた。

明日は月曜日だ。

結果がすぐにわかってくれたら嬉しい。

そう思いながら入院して2回目の日曜日、

入院して12日目が終わっていったのである。

月曜日の朝がきた。

検査結果はどうなっているのか?

結果が出てくれば、次の治療に進める。

そして最後の痰を取る日だ。

ボクは早々に痰を取り終え、結果を待つのみ

となった。

午後からは、お見舞いに来てくれる人がいる。

前回も来てくれた20数年来の友人だ。

ボクは、昆布茶か梅昆布茶が飲みたくなり、

またしてもローソンでチェックしてみようと

友人と1Fで待ち合わせることにした。

友人が来る少し前に1Fのローソンへ行き、

昆布茶を探してみる。

けれど、やはり前回と同じでどこにも見当

たらない。

『昆布茶は置いてないんだな…」

『塩気のものが欲しい。何かないかな…」

昆布茶に代わるものを探してみたが、それに

代わるものもなかった。

そうこうしているうちに友人が来た。

1Fにはタリーズが入ってる。

そこでコーヒーを買おうとボクが提案した。

友人は一瞬びっくりした顔をして「飲んで大

丈夫かい?」そう聞いてくる。

でも、ボクは何か温かいものが飲みたかった。

「大丈夫。入院前まで飲んでたし…」

そうは言ってみたものの、ボクは鼻からチュ

ーブを入れている。

いかにも病人という感じだ。

それでコーヒーを買いに行くのはちょっと

気が引けたので、友人にカフェアメリカーノ

を購入してほしいとお願いした。

病室に戻ると、しばらくして看護師さんが

やってきたので結果がでたのかと思いきや、

エレンタールの減り具合の確認だけだった。

「あれ?今日先生きますよね…?」

そう聞いてみると「来るとしたら夕方だと

思いますよ」

早く結果を知りたいと思ったが、待つしか

ない。

ボクは友人とコーヒーを飲む。

誰もいない個室は、お見舞いに来てくれた時

に便利だ。

デイルームなどに移動する必要がない。

個室で気にすることなく話ができる。

他愛無い話から、仕事の話まであっという間

に2時間くらいが経っていて16時30分頃、

友人が帰った。

ボクは、トイレこそ10回~12回くらい行くけ

れど、絶食しているから、体調は徐々に良く

なっていってる。

痔ろうの手術をして排膿されてきてるのも楽

になった要因だ。

友人が帰ってから、いろいろと考え事をした。

退院してからのこと、仕事のこと、そして、

この調子だと退院が遅れるのではないか?

遅れた時にどうするか?

そんなことを考えていた。

ちょうどそのときIBD医師がやってきた。

IBD医師「ヒロ田さん、体調どうだい?」

ヒロ田「ずいぶん良くなってきたように思い

ます」

IBD医師「トイレはどうだい?」

ヒロ田「トイレは相変わらず10~12回は行

ってます。抗生剤飲んでる影響はないでしょ

うか?」

IBD医師「それではないと思うなー、種類変

えてるし…」

ヒロ田「違うんでしょうかね」

「ところで検査結果って出たんでしょうか?」

IBD医師「うん、明日か明後日にはハッキリ

すると思う」

ヒロ田「それじゃ退院の予定が延びそうです

ね」

IBD医師「うーん、まず結果みて決めよう。

長引かないように努力するから」

残念だが月曜日に結果はわからなかった。

『ということは、明日の火曜日にわかったと

しても今週の木曜日に退院というのは、ほぼ

無理じゃないかな…』

退院する予定日は22日だった。

そのため仕事などの予定を退院後から入れて

いたのだが、それが延びるとなれば厄介だ。

また関係者に連絡しなければいけなくなる。

ただこればかりはどうしようもない。

結果が出るのを待つしかないのだ。

ーつづくー

ヒロ田

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